異世界行ったら、出会う女性みんな俺を好きになるので収集つかなくなっている ~スケッチブックに想いをのせて 死神に恋した男の無双&ほのぼのハーレム~
2度あることは3度ある
「安心なさいフローネ。御主兄様はすでにキトラとナディアを助けているそうですよ」
安心させるように優しくフローネに語りかけるクロエ。
カケルの眷族となったクロエは、念話による会話や、視覚共有も可能だ。さらには眷族召喚によって、カケルの元へ瞬時に行くことも出来る。
「ほ、本当ですか? 良かった……でもどうして?」
安心して涙を流すフローネ。
「そんなこと決まっています。御主兄様だからです!」
誇らしげなクロエにポカーンとしているフローネ。
「まあ、フローネも旦那様に逢えば意味がわかると思うぞ」
「貴方様だからだよ!」
『主様だからです!』
『お兄様さすがです!』
「お前たち……呼び方が違うだけじゃな……」
「先輩……マジで半端ないって……でもフローネの胸を隠す貝殻エロいわ~」
貝殻を触ろうとして拒否される美琴。
「美琴さん……お兄ちゃんみたい……」
「美琴……気持ちは分かる……」
落ち込む美琴を憐れむアリサと刹那。
***
海賊団の島
「ところでカケルさま、キトラさまはどちらに?」
ナディアの巧妙な罠から何とか脱出した俺は、シードラゴンのシードラを呼ぶ。そのままの名前だが、個人的には気に入っているから許して欲しい。
港からキトラを乗せたシードラがやってくるが、やはりでかい。50メートルぐらいあるからな。
「ナディア!!」
「キトラさま!!」
泣きながら抱き合う2人に胸が熱くなる。
一歩間違えば、助けられなかったかもしれない。いや……これも巡り合わせかな。これが偶然なんて思えない。きっと運命の導きなのだと最近は考えている。
『……主様、元の姿に戻ってよろしいですか?』
「ああ、ありがとうシードラ」
シードラゴンの巨体がみるみる縮んでゆき、シーブルーの髪と瞳の美女の姿になる。
シードラゴンのシードラは、眷族化したことで、神獣となったのだ。
「うーん、シードラ、さすがに人型で全裸はまずいな。ちょっと待ってろ」
妄想スケッチで、シードラ専用のメイド服を創り出して渡す。耐水性があり、魔物化した際には、服は首輪になる優れものだ。
『私はこのままでも構わないのですが……』
「いや、俺が嫌なんだ。シードラの裸を他人に見せたくない」
『ふえっ!? そ、そうなのですか? よくわかりませんが、私が大事だということですね、そうですね? そういうことならば喜んで着させていただきます』
嬉しそうにメイド服を手に取るシードラ。
とはいえ、初めてではメイド服の着方も分からないだろう。よし、手取り足取り手伝ってあげよう! えっ? 神獣だから大丈夫? ……そうか。
『あ、あの……こちらの紺色の布はなんでしょうか?』
「それは水着だ、シードラ。特別な時に着て欲しい」
『と、特別な時とは?』
「うむ、追って指示を出す」
『かしこまりました、主様』
クールビューティーのシードラには絶対にスク水は似合う。だが召喚獣にスク水を着させる変態主という評価は避けたい。
タイミングを慎重に見極める必要があるだろうな。
「旦那!! 出航の準備出来たぜ」
代表団の船の準備が整ったようだ。
「分かったイサナ。今行くよ」
帰りは簡単だ。代表団が乗り込んだ船に手を触れて、転移を発動する。
「本当にアルカディアの港だ……」
「ハハハッ! さすがは英雄さまだ」
「……もう考えるだけ無駄だな……」
目の前に王都アルカディアが現れると、代表団全員が驚きを通り越して呆れている。
突然港に出現した代表団の船に港は大騒ぎとなり、騎士団のカイルたちがすぐに飛んできた。
「閣下、これは一体?」
「船ごと転移で運んで来たんだ。悪いが、海賊団を大量に捕まえたから、手配を頼む」
「た、大量ですか……何人ぐらいでしょうか?」
「全部で3046人だな」
「さ、さんぜん……わ、分かりました! すぐに手配します」
うんうん、カイルは有能な騎士だな。話が早くて助かるよ。
海賊団の島から捕虜を運んで来る。
暴れられると面倒なので、全員奴隷契約スキルで静かにさせている。
奴隷契約には本人の承諾が必要だが、死ぬのと奴隷どちらが良いか聞いたら、みんな喜んで承諾してくれた。
あまり使いたくないスキルだったけど、今回は仕方ないかな。
「旦那、本当にありがとな。みんなを助けてくれてさ……」
イサナが照れくさそうに頭を掻く。
「気にするな。でもみんな無事で良かったな」
「その……格好良かったぜ……すごく」
褐色に日焼けした肌でも分かるぐらい真っ赤なイサナ。
「それでさ、約束通り、報酬を渡したいんだけど……」
上目遣いで身体を預けるイサナ。
上気した顔に潤んだ瞳。全身が熱を帯び、彼女の鼓動が早くなるのが分かる。
だが――――
「ちょっとお待ち下さい、抜け駆けは許しません」
「さあ、キトラさま、イサナは私が抑えておりますので、今のうちに……」
イサナは、半魚人族のキトラとナディアに捕まってしまう。
「ちょっと待て! 俺の方が先約だぜ」
イサナも負けじと言い返すが――――
「いや、私たちの方が先約だ」
いつの間にか、セレスティーナたちが、フローネを連れて現れた。
「キトラさま、ナディア!!」
「無事で良かった、フローネ!」
「心配かけましたね、フローネ」
ようやく再会した3人の姿を、みな涙を浮かべながら見守る。こうしてみると、まるで三姉妹みたいに見えるな。
「カケルさま……キトラさまとナディアを助けて頂きありがとうございました!」
ふわふわしたエメラルドグリーンの髪と瞳が可愛らしいフローネが深々と頭を下げる。
「良かったなフローネ。エメロードラグーンも取り戻すし、王女さまも必ず助けるから安心してくれ」
「……どうやったらこの御恩をお返し出来るでしょうか。カケルさま、もしよろしければ、私の貝殻を――――」
来たか……恒例の罠が。2度あることは3度あるとはよく言ったものだな。
だが、仏の顔も3度まで。ここは甘んじて受けようではないか!
「先輩! 私も私も!」
「駆……私も興味がある」
「大海原さん……」
「んふふ、大海原くん私も混ざるわ!」
美琴……刹那……ありす……ひめか……お前ら最高だな!
「よし、みんなで一緒にフローネの秘密を覗こうか!」
「ふぇっ!? あ、あの……ちょっと待って……」
「んふふ……覚悟しなさいフローネ。この勇者に任せておけばいいの!」
「……一体どうやってくっついているのか、じっくり調べさせてもらう……」
「い、いやあああ!?」
「ごめんなさい……フローネ。頑張るのですよ」
「ふふっ、フローネったら、あんなにはしゃいじゃって……」
遠い目をして距離を取るキトラとナディア。
「……ねぇ、アリサ……異世界人ってみんなあんな感じなの?」
呆れ顔のリーゼロッテ。
「うぇ!? そ、そんなことないと思うけど……多分?」
「うぇ〜ん、もうお嫁に行けない!!」
「大丈夫だフローネ、どうせみんな結婚して家族になるんだからセーフだ!」
「ふぇっ!? ま、まあ、それなら良いかも?」
フローネはついそんなことを言ってしまうが、直後に後悔することになる。
結局、女性たち全員に、じっくり見られてしまう羽目に。
「だ、誰か助けてえええぇっ!?」
だが、フローネの味方は当然いなかった。
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