異世界行ったら、出会う女性みんな俺を好きになるので収集つかなくなっている ~スケッチブックに想いをのせて 死神に恋した男の無双&ほのぼのハーレム~
王都からの使者
(ようやく見えて来ましたか……)
王都を出発してから1週間。
はるか彼方に巨大なプリメーラの城壁がそびえ立つのを見て気持ちが昂ぶるのを抑えきれない。
(お会い出来るのが楽しみです。異世界の英雄殿)
1週間前――――
「陛下、その役目、是非とも私が引き受けたく……」
そう言って頭を下げるのは、アルカリーゼ王国近衛騎士団長ミヤビ=カグラザカ。
四聖剣の紅一点にして、アルカリーゼ最強とも噂される美しき聖騎士だ。
「ほう……ただの使いに騎士団長自らが出向くか……うむ、悪くないかもしれんな……火急を要する案件でもない。休暇を兼ねてお主にまかせるとしよう」
「は、ありがとうございます、陛下」
こうして、カケルを王都に呼ぶための使者が決定した。
先日、突然プリメーラに現れた異世界の英雄カケルに関する情報は、当然王都にも連日連夜届いている。
その活躍はまさに英雄と呼ぶべき規格外のものであったが、カケルが常に最前線を飛び回っている為、未だ王家として接触出来ていない。
聞けば、すでにカケルの周囲には他国の王族の姫たちが集まっているとのこと。
このままではカケルを他国に奪われてしまうかもしれない。そんな焦りも無かったと言えば嘘になるだろう。
(我が国にも姫がいれば良かったのだが、あれではな……)
訳ありの姫を思い深いため息をつく国王レイ。
代わりではないが、公爵令嬢でもあるミヤビがカケルと良い関係を結べれば、国としてはプラスしかないし、悪くない案といえる。
だが――――
ミヤビも女性としては少し……いや、かなり難ありではある。黙っていれば王国を代表する美女であるのに、未だ浮いた話のひとつも無いのには理由があるのだ。
難ありの姪である騎士団長を思い再び深いため息をつく国王であった。
***
「これはこれは……久しぶりだね、ミヤビ」
王都からの使者が来たと聞き、出迎えたアルフレイドだったが、思いもかけず旧知の友であったことに驚きの声を上げる。
「ふふっ、お久しぶりです、アル。そうだ早速やりませんか?」
アルフレイドを前に目を輝かせるミヤビ。
「は? まさか到着早々いきなり模擬戦でもやるつもりかい?」
「模擬戦? 真剣勝負に決まってるじゃないですか?」
ミヤビはいたって当然のように笑顔で答える。
そう、彼女は戦闘狂であった。
普段は鋼鉄の自制心で抑えているが、好敵手を前にすればそうは行かない。
この国で彼女とやり合うことが出来るものなど同じ四聖剣と高位の冒険者ぐらいのもの。
ミヤビが戦いたがるのも無理は無かった。
「私はミヤビと違って戦闘狂ではないんだけどね」
苦笑いするアルフレイド。顔を合わせる度に戦ったせいで、若干トラウマにもなっている。
「戦闘狂とは酷いですね。戦うことがこの上なく好きなだけです。血が騒ぐだけですから」
「それを戦闘狂と世間一般ではいうのだけどね……ところでこんな所まで何用だい? 想像はついているけど」
「よくぞ聞いてくれました! 異世界の英雄殿と死合う為に来ました!」
恋する乙女のように惚けた表情になるミヤビ。
「……ちょっと待って、そんな訳ないよね!? 大方、カケルくんを王都に呼びに来たんじゃないの?」
アルフレイドが呆れてツッコむ。
「…………まあ、そうとも言いますね」
気まずそうに頬をかくミヤビ。
「ふふっ、だけど良かったねミヤビ。カケルくんは期待以上の男だよ」
自信満々に語る友人にミヤビの期待はこれ以上ないほどに高まってゆくのであった。
***
馬車で送るというアルフレイドの申し出を断り、徒歩でカケルの屋敷を目指す。
カケルとの戦闘を考慮して、今のミヤビは完全武装している状態だ。
これだけの美女が完全武装していれば、かなり目立つはずだが、プリメーラの人々の反応は薄い。
カケルたちがやって来てからは、魔物が街中を歩き回ることも増え、ちょっとやそっとでは驚かなくなっていることに加え、
屋敷が出来てからは、美女メイドたちも街中で見かけるようになり、単に人々が美女を見慣れているという事情もある。
(なかなか暮らしやすそうな街ですね……)
王都では街中を気軽に出歩くことも出来ないミヤビにとって、プリメーラの街はとても居心地が良く感じられた。
カケルの屋敷は第一街区にあると言う。
第一街区と言えば、魔物の領域に近く、危険なエリアだが、ミヤビにとっては繁華街のようなワクワク感しか感じない。
(思ったより賑わっていますね……)
軍関係者しか居ないエリアと思っていたが、王都でも珍しい5階建ての巨大な商店があることに驚く。
カルロス商会は王都にも支店があるのでミヤビも馴染みがあるが、さすが本店は桁違いだ。
客は軍関係者が多いが、わざわざここまで買いに来る人も多いのだろうか。
ちょうど店から出てきたメイドたちに目が惹きつけられる。
ミヤビも公爵家の人間だ。メイドたちのレベルの高さはひと目みれば分かる。
(王家付きでもおかしくない……いや、それ以上ですね……)
間違いなくカケルの屋敷のメイドだろうと判断して声をかけた。
「すみません、カケル殿の屋敷はこの辺りだと聞いたのですが……」
するとメイドたちのリーダーであろう女性が微笑みながら答える。
「はい、カケルさまのお屋敷はあちらです。わたくし共はカケルさまの、ワタノハラ家のメイド。私はメイド長のアイシャと申します。王家の使者さま」
「これはご丁寧に。しかしアイシャ殿、なぜ私が王家の使者だと分かったのですか?」
「ふふっ、それは秘密です、使者さま」
妖艶な笑みを浮かべるメイド長に早くも戦慄を覚えるミヤビであった。
王都を出発してから1週間。
はるか彼方に巨大なプリメーラの城壁がそびえ立つのを見て気持ちが昂ぶるのを抑えきれない。
(お会い出来るのが楽しみです。異世界の英雄殿)
1週間前――――
「陛下、その役目、是非とも私が引き受けたく……」
そう言って頭を下げるのは、アルカリーゼ王国近衛騎士団長ミヤビ=カグラザカ。
四聖剣の紅一点にして、アルカリーゼ最強とも噂される美しき聖騎士だ。
「ほう……ただの使いに騎士団長自らが出向くか……うむ、悪くないかもしれんな……火急を要する案件でもない。休暇を兼ねてお主にまかせるとしよう」
「は、ありがとうございます、陛下」
こうして、カケルを王都に呼ぶための使者が決定した。
先日、突然プリメーラに現れた異世界の英雄カケルに関する情報は、当然王都にも連日連夜届いている。
その活躍はまさに英雄と呼ぶべき規格外のものであったが、カケルが常に最前線を飛び回っている為、未だ王家として接触出来ていない。
聞けば、すでにカケルの周囲には他国の王族の姫たちが集まっているとのこと。
このままではカケルを他国に奪われてしまうかもしれない。そんな焦りも無かったと言えば嘘になるだろう。
(我が国にも姫がいれば良かったのだが、あれではな……)
訳ありの姫を思い深いため息をつく国王レイ。
代わりではないが、公爵令嬢でもあるミヤビがカケルと良い関係を結べれば、国としてはプラスしかないし、悪くない案といえる。
だが――――
ミヤビも女性としては少し……いや、かなり難ありではある。黙っていれば王国を代表する美女であるのに、未だ浮いた話のひとつも無いのには理由があるのだ。
難ありの姪である騎士団長を思い再び深いため息をつく国王であった。
***
「これはこれは……久しぶりだね、ミヤビ」
王都からの使者が来たと聞き、出迎えたアルフレイドだったが、思いもかけず旧知の友であったことに驚きの声を上げる。
「ふふっ、お久しぶりです、アル。そうだ早速やりませんか?」
アルフレイドを前に目を輝かせるミヤビ。
「は? まさか到着早々いきなり模擬戦でもやるつもりかい?」
「模擬戦? 真剣勝負に決まってるじゃないですか?」
ミヤビはいたって当然のように笑顔で答える。
そう、彼女は戦闘狂であった。
普段は鋼鉄の自制心で抑えているが、好敵手を前にすればそうは行かない。
この国で彼女とやり合うことが出来るものなど同じ四聖剣と高位の冒険者ぐらいのもの。
ミヤビが戦いたがるのも無理は無かった。
「私はミヤビと違って戦闘狂ではないんだけどね」
苦笑いするアルフレイド。顔を合わせる度に戦ったせいで、若干トラウマにもなっている。
「戦闘狂とは酷いですね。戦うことがこの上なく好きなだけです。血が騒ぐだけですから」
「それを戦闘狂と世間一般ではいうのだけどね……ところでこんな所まで何用だい? 想像はついているけど」
「よくぞ聞いてくれました! 異世界の英雄殿と死合う為に来ました!」
恋する乙女のように惚けた表情になるミヤビ。
「……ちょっと待って、そんな訳ないよね!? 大方、カケルくんを王都に呼びに来たんじゃないの?」
アルフレイドが呆れてツッコむ。
「…………まあ、そうとも言いますね」
気まずそうに頬をかくミヤビ。
「ふふっ、だけど良かったねミヤビ。カケルくんは期待以上の男だよ」
自信満々に語る友人にミヤビの期待はこれ以上ないほどに高まってゆくのであった。
***
馬車で送るというアルフレイドの申し出を断り、徒歩でカケルの屋敷を目指す。
カケルとの戦闘を考慮して、今のミヤビは完全武装している状態だ。
これだけの美女が完全武装していれば、かなり目立つはずだが、プリメーラの人々の反応は薄い。
カケルたちがやって来てからは、魔物が街中を歩き回ることも増え、ちょっとやそっとでは驚かなくなっていることに加え、
屋敷が出来てからは、美女メイドたちも街中で見かけるようになり、単に人々が美女を見慣れているという事情もある。
(なかなか暮らしやすそうな街ですね……)
王都では街中を気軽に出歩くことも出来ないミヤビにとって、プリメーラの街はとても居心地が良く感じられた。
カケルの屋敷は第一街区にあると言う。
第一街区と言えば、魔物の領域に近く、危険なエリアだが、ミヤビにとっては繁華街のようなワクワク感しか感じない。
(思ったより賑わっていますね……)
軍関係者しか居ないエリアと思っていたが、王都でも珍しい5階建ての巨大な商店があることに驚く。
カルロス商会は王都にも支店があるのでミヤビも馴染みがあるが、さすが本店は桁違いだ。
客は軍関係者が多いが、わざわざここまで買いに来る人も多いのだろうか。
ちょうど店から出てきたメイドたちに目が惹きつけられる。
ミヤビも公爵家の人間だ。メイドたちのレベルの高さはひと目みれば分かる。
(王家付きでもおかしくない……いや、それ以上ですね……)
間違いなくカケルの屋敷のメイドだろうと判断して声をかけた。
「すみません、カケル殿の屋敷はこの辺りだと聞いたのですが……」
するとメイドたちのリーダーであろう女性が微笑みながら答える。
「はい、カケルさまのお屋敷はあちらです。わたくし共はカケルさまの、ワタノハラ家のメイド。私はメイド長のアイシャと申します。王家の使者さま」
「これはご丁寧に。しかしアイシャ殿、なぜ私が王家の使者だと分かったのですか?」
「ふふっ、それは秘密です、使者さま」
妖艶な笑みを浮かべるメイド長に早くも戦慄を覚えるミヤビであった。
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