異世界行ったら、出会う女性みんな俺を好きになるので収集つかなくなっている ~スケッチブックに想いをのせて 死神に恋した男の無双&ほのぼのハーレム~

ひだまりのねこ

スタンピード前夜

「ご苦労さま、リーゼロッテ、チカゼ」

 バドルへとやってきた俺たちは、リーゼロッテたちと合流する。

『王様〜チカゼのこと忘れてませんか〜?』

 文字通り飛び込んで来るチカゼを受け止め、ライムグリーンの髪を撫でる。美琴が。

「いやあああ、チカゼも可愛い! よしよし、淋しかったんだね。ねえ翼触って良い?」

『あわわわ、王様? た、助けて……』

 震えるチカゼを愛でる美琴。

「また知らない子が増えてるわね、私の騎士」

 リーゼロッテがジト目で睨みつける。

「きゃああああ! ツンデレのリーゼロッテ格好良い! 本当に私の騎士っていうのね」

 今度はリーゼロッテに抱きつく美琴。

「は、離しなさいよ! ってなにこの馬鹿力? 私が引き剥がせないとか何者よ? いやあああ!? くんかくんかしないでエエ!?」

 美琴……まさか全員にそれをするつもりじゃ?

 絵面を想像して…………有りだな。ふふふ。



「は? この子が勇者さま? 本当に?」 

「んふふ、不知火美琴だよリーゼロッテ」

「……そ、そうなの? じ、じゃあ仕方無いわね! と、特別なんだからね!」

 顔を赤らめるリーゼロッテ。

 やめろリーゼロッテ、そんなことを言ったら――――

「わーい! リーゼロッテがデレた! キャワイイ〜!!!」

 当然、美琴のおもちゃになってしまった。

 異世界めっちゃ満喫しているようで嬉しいよ美琴。



「皆さま、バヌヌジュースでございます。どうぞ」

「ありがとうセルジュ」 

 執事のセルジュがバヌヌジュースを持って来てくれた。

「バヌヌジュース、気に入ってもらえたみたいだな」

「私の騎士が教えてくれたバヌヌジュース、今じゃ領内で大人気なんだから!」

 リーゼロッテが嬉しそうに笑う。

「こ、これは本当に美味しいですね、御主兄様」

 尻尾をぶんぶん振るクロエ。

「これが幻のバヌヌ……美味しい」
「ボクこれ好き〜!」

 シルフィとサラにも大好評だ。

「ダーリン、これはプリメーラでも売るべきじゃな」

 3杯目を飲み干すエヴァ。少しは遠慮しような?

「先輩〜、これってまんまバナナだね。良かった。バナナ好きなんだ私」

 わかるわ〜その気持ち。何気無いものでも、無くなると恋しくなるんだよな。好きなものなら尚更。

「なんかこのバルバロス辺境伯領内でしか採れないらしいぞ美琴」

「げっ、じゃあ絶対にスタンピードを抑え込んでバヌヌの木を守らないと!」

 俄然やる気を見せる美琴に苦笑いする一同。



「おお、婿殿、それから勇者さま。辺境伯のダビドです。今夜は我が屋敷でゆっくりしてください」

 辺境伯が恭しく頭を下げる。

 さすが勇者は王様待遇だ。普通の異世界人とは扱いが違うってそりゃそうだよな。


「じゃあ俺はギルドに顔を出してくるよ」

 辺境伯が用意してくれた大量のフルーツに夢中のメンバーに告げる。

「「「行ってらっしゃい!」」」 

「リリスさまのところなら私も行くわ」

「先輩! リリスさまってサキュバスなギルマスだよね? 私も行く!」

 リーゼロッテと美琴はついてくるようだ。

 しかし美琴よ、なぜそんなに詳しいの?



「街は以前とあまり変わっていないようだな」

 相変わらず活気に溢れる街中を歩く。

「私の騎士のおかげよ! 本当ならスタンピードを前にみんな避難しなきゃならないところだったんだからね」 

 リーゼロッテが腕に抱きついてくる。

「責任重大だね、先輩!」

 反対側には美琴が抱きつく。

「ああ、まったくだ」

 そう言ってから3人で笑う。

 屋台でお土産用のバヌヌジュースを大量に購入する。セレスティーナたちにも飲ませてあげたいからな。

「あ、先輩。それ私のアイテムボックスに入れるよ?」

「悪いな、半分頼む」 

 量が多い時はアイテムボックスの方が便利だから助かるよ。

 他にも珍しい香辛料や食材を手当たり次第に買ってゆく。

 大人買いはストレス発散出来ていい。

「いつも思うけど、そんなに買ってどうするのよ?」

 リーゼロッテが呆れているが、これでも結構足りなかったりするんだよな。

「先輩! あれ! あれ買おうよ! あ、あれも美味しそう! んふふ、なんか夫婦みたいで楽しいね!」

 美琴は買い物を純粋に楽しんでいる。

 ずっと戦い続けていたからな……好きなだけ買ってやろう。うんうん。


「うう……負けられないわ。私の騎士! あれを買うわよ! 店主、あるだけ持って来なさい!」 

 リーゼロッテ……量で競ってどうするのかな。
 

『王様〜、ギルドへ行くんじゃなかったんですか?』

 チカゼが不思議そうにたずねる。

「「「……すいません、忘れてました」」」


 冒険者ギルドに入口から入るのは久しぶりだ。いつもは転移で直接リリスのところに行くからな。


 閑散としているかと思ったら、意外に混雑していた。

 みなすでに、スタンピードの後の事を考えているらしい。逞しいね。


「こんにちは、シーラさん」

 受付嬢のシーラさんに声をかける。

「あ、カケルさま、リーゼロッテさま、すぐにギルドマスターに知らせて来ますね!」

 シーラさんが知らせにいくと、すぐにサブギルドマスターでハーフエルフのリノさんがやって来た。

「カケルさま……お待ちしておりました」

 今日のリノさんはいつもと違って見える。

「リノさん、綺麗ですね」

「ふえっ!? そうですか? 今日はカケルさまがいらっしゃるので頑張ってみたんです〜」

 恥ずかしそうに俯くリノさんが可愛いくて困る。リーゼロッテたちの視線が痛くて困る。


「カケル……待ってたわ」

「り、リリス……綺麗だ……」 

 それしか言葉が出ない。まるで生まれたての女神のような――――

「ち、ちょっとリリスさま!? なんで全裸なんですか〜!!!?」

 リーゼロッテが真っ赤になってツッコミを入れる。

「さ、さすがサキュバスプリンセス……格が違う!!!」

 あの美琴が動けないだと? リリス、本気なんだな。

『王様〜、私だって見てください!』

 カザネも負けじと全裸だ。ここは天国なのか?

「すいません、てっきりカケルさまひとりでいらっしゃるかと思っていたので……」

 リノさんも止めてくださいよ……

「ぶぅ〜、仕方ないわね……リノ、服を持って来てちょうだい」

 リリスは俺に全裸で抱きついている。

 そして背中からはカザネの柔らかい感触が語りかけてくるのだ。

 俺はこのままでも一向に構わないんだが。

「ねえ先輩……」

「どうした美琴」

「ここって冒険者ギルドですよね?」


 うん、ツッコミありがとう美琴。


***************************************
【登場ヒロイン名鑑】 

※前話に登場したヒロインは除いております。

【名 前】 リーゼロッテ(女)
【種 族】 人族
【年 齢】 16
【その他】  

 バルバロス辺境伯の娘。プラチナブロンドの髪にエメラルドグリーンの瞳。生まれつき怪力のユニークスキルを持っていたため、他人から距離を取っていたが、壊れることがないカケルと出会い、急速に惹かれていった。父親の辺境伯の許しをもらい、正式にカケルの婚約者となった。カケルのことは、私の騎士と呼ぶ。 

【名 前】 リリス(女)
【種 族】 魔族(サキュバス)
【年 齢】 127
【その他】 女帝 バドル冒険者ギルドマスター

 バルバロス辺境伯領の領都バドルの冒険者ギルドマスター。純血のサキュバスで、魔力を吸い若さを保ち続けている。夢の回廊を使って、異性の望む夢を見せることができる。カケルの強大な魔力と、純粋さに心ひかれ、自ら専用サキュバスとなった。

【名 前】 カザネ(女)
【種 族】 ハーピィ
【年 齢】 16
【その他】  

 カケルの召喚契約したハーピィの中でも、一番のお気に入り。桃色の髪と瞳をもつ。忠誠心が強く、命がけで命令をこなそうとする。現在バドルの冒険者ギルドで、連絡役を務めている。Aカップ。

【名 前】 チカゼ(女)
【種 族】 ハーピィ
【年 齢】 16
【その他】  

 カケルの召喚契約したハーピィの中でも、お気に入り。ライムグリーンの髪と瞳をもつ。忠誠心は強いが、少し要領の良い部分もある。バドルの辺境伯邸に連絡役およびリーぜロッテの護衛をしている。

【名 前】 リノ(女)
【種 族】 ハーフエルフ
【年 齢】 49
【その他】 バドル冒険者サブギルドマスター

 バルバロス辺境伯領の領都バドルの冒険者サブギルドマスター。常識人で苦労人。傍若無人のギルドマスターリリスを影に日向に支え続ける。婚期を逃しそうで焦っているとかいないとか。


コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品