異世界行ったら、出会う女性みんな俺を好きになるので収集つかなくなっている ~スケッチブックに想いをのせて 死神に恋した男の無双&ほのぼのハーレム~

ひだまりのねこ

皇帝ギャラクティカ=エンペライオン

『アリーセ殿下、カケル殿、どうぞこちらへ。皇帝陛下がお待ちです』

 強面の執事長に案内されて皇帝陛下の居る執務室までやって来た。

 執務室の前には、戦闘用メイド服に身を固めた超絶美女が立っていた。

 戦闘用メイド服って何かって? 見たまんまのイメージで適当に言いました。知りませんすいません。


『皇帝付きメイド長のヒルデガルドです。部屋に入る前に最終チェックをさせていただきます』

 超絶戦闘服美女メイド長がスキルを発動する。

透視スキャン

 ヒルデガルドのユニークスキル『透視スキャン』は鑑定スキルの上位互換のようなスキルだ。

 記憶の一部や考えていることなどを透視することすら可能とする。

 もちろん服の下も見放題だ。

 大事なことだからもう一度言おう。

 もちろん服の下も見放題だ。

 別の言い方をするならば、男の夢だ。


 だが……残念ながら……誠に残念なお知らせがある。

 透視はユニークスキルなのだ。

 ユニークスキルは記憶出来ない。

 この残酷な現実を前に、俺は、血が滲むほど拳を握りしめる。

 何が世界最強を目指すだ。神域の力を手に入れるだ。

 透視ひとつ使えないでどうするんだ、俺っ!!! そんなんで邪神と戦えるのか?

 今こそ限界を超える時じゃないのか?

 想像しろ……そして可能性を信じるんだ。

 全てのスキルと記憶を総動員してステータスを極限まで高める。

 世界に満ちる精霊たちの声が聞こえる。自分が世界の一部になったような温かく力強い一体感だ。

 我ながら恐ろしいほどのかつてない力の高まりを感じる。


 これならいける……今こそ解き放て!!


『瞬間記憶・改!!!!』


 



 …………駄目でした。



『も、問題ありません……ど、どうぞお入り下さい』

 透視を終えたヒルデガルドさんは、なぜか顔を赤くしながら扉を開けてくれた。


 しまった……内心の戦いを知られてしまったのか? それとも小振りな美乳に見惚れていたのを透視されたのか!?


(…………両方ですよ、カケル殿っ!?)

 カケルの内面を覗いてしまったヒルデガルドは懸命に平静を装っていたが、内心すでにメロメロになってしまっていた。

 カケルの極限まで高めた魅了と生まれ持った神殺しの魅力を短時間に大量摂取してしまったのだから無理もない。

 むしろ、彼女でなければ、立っていることも出来なかっただろう。


『だ、大丈夫? ヒルデガルド。顔が赤いけれど……』 

 様子のおかしいヒルデガルドを心配して声をかけるアリーセ。

『だ、大丈夫です……はぁはぁ……』

(耐えなさいヒルデガルド! 皇帝陛下とアリーセ殿下の御前なのです……) 

 鋼鉄の自制心でギリギリの戦いを続ける。

 だが――――


(ごめんなさい、ヒルデガルドさん、俺のせいでこんなことに…………)

『うひゃう!?』

 通りすがりにカケルに耳元で囁かれたせいで、ついにヒルデガルドの心の堤防が決壊する。


「ひ、ヒルデガルドさん!? な、何を……」

 カケルに抱きついて胸板に顔を埋めるヒルデガルド。

『お、お願い……ぎゅってしてください!』

「えええぇっ!? ま、まあそれぐらいなら……」

 お安い御用とヒルデガルドをぎゅっと抱きしめるカケル。


アリーセ『…………』

執事長『…………』

皇帝陛下『…………』

ヒルデガルド『んふふ〜幸せです〜♡』


 やべぇ…………どうすんの? この空気!?


(くっ、想像以上にタフな謁見になりそうだぜ…………)

 
***


『……余が魔人帝国皇帝ギャラクティカ=エンペライオンである』

 腰まである黄金の髪に黄金の瞳。深く刻まれた皺が威厳を深いものにしている。

 御年156歳ながら、見た目は40代半ばにしか見えない、超絶イケメンダンディな男性。

 名前…………なんかすごいね。


「カケル=ワタノハラです。この度はお会いいただきありがとうございます」

 ふぅ……どうやらさっきの事は無かったことにしてくれたようだな。助かります。


『うむ……そなたのことはアリーセから聞いておる。しかし………ぷっ、ぷくくくっ。ワハハハハッ!! あ、あのヒルデガルドが……ぷっ、くくくく……』

 普段感情を一切出さない鋼鉄のメイドが痴態を晒したことがツボったらしく笑いを堪えきれない皇帝陛下。

『へ、陛下!? 酷いです〜! もうっ、カケル殿のバカ〜っ!!!』

『ひ、ヒルデガルドが、もうっ、とかバカ〜って……ひ、ひぃっ、く、苦しい、笑い死んでしまう!』

 真っ赤になって怒るヒルデガルドの姿が更に皇帝陛下の腹筋を破壊してゆく。



「あ、アリーセ、俺はどうすれば?」

『大海原さんってばヒルデガルドまで……もうっ、知りません!! バカ〜!!』

 ぷいっ、とそっぽを向くアリーセ。

 やべぇ……アリーセまで怒らせちまった。

 
『カケル殿、場が落ち着くまでコーヒーでもどうぞ』 

 おおっ! さすがは皇帝付きの執事長。この状況にもまったく動じていない。

 カタッ、カタッカタッカタッカタカタカタカタ……

 いやいや、執事長めっちゃ笑い堪えてますよね? コーヒーカップヤバいくらい震えてますよ!? 




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