異世界行ったら、出会う女性みんな俺を好きになるので収集つかなくなっている ~スケッチブックに想いをのせて 死神に恋した男の無双&ほのぼのハーレム~

ひだまりのねこ

混浴クライシス再び

 夕食を終えてプリメーラにあるカルロスさんの屋敷に戻る。

 すっかり我が家同然となっているので、あと少しで引っ越すことを考えると淋しい気持ちになってくる。

 いつもならお帰りなさい、と飛び込んでくるフリアも、セレスティーナに引越したのでここにはいない。まあ、さっき一緒に夕食食べたけども。



「お帰りなさいませ、皆様」

「すいません、マルコスさん、また増えちゃったんですけど」

「ハハッ、大丈夫ですよカケル様。部屋は余っておりますので」

 執事長のマルコスさんが笑顔で迎えに出てくれた。

 我が家に帰ってきたような気がして、なんかほっこりする。


「なぁ、カケル。本当に俺たちも世話になって良いのか?」

 ジャミールがこっそり大丈夫かと聞いてくる。そりゃこんなデッカイお屋敷みたらビビるよね。

「もちろんだ、ジャミール。ヴァレンティノさんも、姫も遠慮なく寛いで下さいね。なんたって最高のお風呂があるんですから!!」

「何から何まですまないねカケルくん」

「きゃー、久しぶりのお風呂! 楽しみだわ」

 恐縮するヴァレンティノさんと、はしゃぐソフィア。

 俺の屋敷ではないけど、有名人大好きカルロスさんが喜ぶのは間違いない。


「それと……カケル様にお客様が来ております」

「俺に客? こんな時間に? じゃあ先に会うよ。みんなは先に風呂に入っていてくれ」


「「「「えーっ!! 混浴は?」」」」

 いや、このメンバーで混浴はないだろ? ジャミール、そんな眼で見ないでくれ。誤解だ。

「今日はソフィアもいるんだぞ? 諦めなさい」

「えっ? 私も一緒に入るわよ? 婚約者なんだから当たり前じゃない」

 ソフィアさん……嬉しいんですが、話がややこしく……嬉しいんですよ本当に。

「……わかった。なるべく早く行くようにするよ」

「「「「はーい」」」」

「うふふ、黒髪の王子様と一緒にお風呂なんて……作りますか? 既成事実」

 耳元でささやくソフィアさん。

 作りたいけど、絶対無理だからね? 状況的に。


「あっ、カケルさま、夜分に申し訳ありません」

 マルコスさんに案内されて応接室に行くと、商業ギルドのミレイヌさんがプリンを食べながら待っていた。

 来客用にとカルロスさんにプリンを渡しておいて良かった。他のお客様にも大好評みたいだし。


「すいませんミレイヌさん、待たせちゃいましたか? でも急にどうしたんです?」

「実は商業ギルドにセレスティーナ行きの希望者が殺到しておりまして、明日にでもギルドに来ていただけたら大変有り難いのですが……」

 そういえば、クラウディアが言ってたな。きっとミレイヌさんが頑張ってくれたに違いない。

「ありがとうございますミレイヌさん。明日必ずギルドに伺います」

「そうですか。それはとても助かります。あと、甘味を販売するスタッフや、作り手の方もすぐに集められると思いますから、もう少し待ってくださいね」

「分かりました。セグンダでも販売して欲しいと伯爵から言われているので、助かります」

「えっ、セグンダでも? すごいじゃないですか!! それならもう少し人数増やした方が良さそうですね!」

 眼鏡越しでも自分の事のように喜んでくれているのが分かる。有り難いことだ。


「あの、もし食べられるなら、新作のデザート食べます? クレープっていう異世界の定番デザートなんですが、さっき食後のデザートに作ったので」

「……例え満腹だったとしても、胃の中をすべて出してでも……食べます!!! しかしながら、幸い夕食を食べていなかったので、余裕で食べられます」

 鬼気迫る勢いで食べると力説するミレイヌさん。

 夕食が取れないほど、こんな時間まで頑張っていたんだな……ミレイヌさん。それなら――――

「良かったら、夕食の残りもありますから、一緒にどうぞ」



「ふふふ、おいひい……おいひいれす〜もぐもぐ……」

 泣きながら一心不乱に食べるミレイヌさん。よほどお腹が空いていたのかな?

「……セレスティーナでは毎日食べられるのよね? 決めたわ、明日からご飯はセレスティーナで食べます!」

 目をキラキラさせるミレイヌさん。運ぶの俺なんだけどな。まあ今更か。

「ミレイヌさん、セレスティーナへは毎朝この屋敷から転移で行きますから、行くときはここに来てもらえれば」

「わかったわ。それじゃあ……ご飯のお礼をしないとね」

 そう言ってミレイヌさんが、なぜか俺の太ももの上に乗ってきた。


『……カケルにゃん、私の耳と尻尾……好きにして良いにゃあ』

 真っ赤な顔で抱きついてくるミレイヌさん。

 ありがとうございます。ありがとうございます。遠慮はしません、出来ません。

「ミレイヌさん……俺、もう我慢出来ない……」
「き、来て……ふにゃ〜!?」 

「……痛くないですか?」
「大丈夫……気持ちいいにゃん」

「スベスベもふもふですね……最高ですよミレイヌさん」
「ふふふっ、カケルにゃん以外には触らせないにゃ、特別にゃん」

 ミレイヌさんが嬉しいことを言ってくれる。

「カケルにゃん……良かったら、他の所も――――」


「失礼します。カケル様。ミレイヌ様もお風呂の準備が出来ております」

 執事のノックを聞いた瞬間、ミレイヌさんは元の席に座っていた。

 さすが猫獣人。瞬発力がすごい。


「良かったらミレイヌさんも一緒にお風呂どうですか?」

「そ、そうね、せっかく準備していただいたのだから断るのも悪いですし、私も入ります」 

 
 はうっ、何この急展開!? カケルさまと距離を縮める絶好のチャンスじゃない。

 ふふっ、2人っきりでお風呂♪ 2人っきりでお風呂♪


 って思ってたのに……何コレ!?

「あら、ミレイヌも一緒に入るの? ここのお風呂すごいわよ」

 なぜクラウディアが……あ、そういえば一緒に住んでるって言ってたわね。

 私もここから出勤しようかしら。


 一方でカケルは――――

「ミヅハ、悪いけどまた頼むよ……」
『ふふふ、大丈夫です、お兄様。すべてミヅハにお任せください』

 出来る妹に混浴時サポートを依頼していた。
 








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