異世界行ったら、出会う女性みんな俺を好きになるので収集つかなくなっている ~スケッチブックに想いをのせて 死神に恋した男の無双&ほのぼのハーレム~

ひだまりのねこ

無限ループ

「幸い、まだ1週間あります。スタンピードに関しては、俺と仲間たちで、ある程度抑えられると思いますけど、念の為、周辺地区民の避難誘導や冒険者への周知徹底はお願いします」


「わかったわ、すぐに迷宮立入禁止を通達します。リノ、特別強制依頼を発令するわ。準備をお願い!」  


「ではリリスさま、俺は一旦プリメーラに戻ります。何かあれば、彼女に伝えて下さい。すぐ駆けつけますので」


『カザネ』


 魔法陣が輝き、絶世の美少女が姿を現す。特徴的な背中の双翼は、彼女がハーピィであることを示していた。


『召喚いただきありがとうございます、愛しい王様』


 鈴が鳴るような涼やかな声で、恭しく頭を垂れるカザネ。


「悪いんだけど、カザネはこのギルドに残って連絡係になって欲しい。何かあったら直ぐに俺を呼んでくれ」


『かしこまりました。命に代えましても』


(このハーピィ強いわね。おそらくハーピィクイーン以上……カケルくんが強力な魔物を使役するという噂は本当だったのね。でも……そんなことより気になるのは……この女、私と色が被ってるのよ!!!) 


 カザネは桃色で、リリスはピンクなので、厳密には若干違うのだが、当人たちにとっては大問題だ。


『……王様、色が被っておりますが、よろしいのでしょうか?』
「は? ごめんカザネ、ちょっと何言ってるかわからない」


『そうですか……申し訳ございません、王様にとっては、取るに足らない些細なことでしたね……』


 どうしよう。カザネがすごく落ち込んでいるんだけど!? ついでにリリスさまもなんで一緒に落ち込んでいるんですか! 


「今のはカケルさまが悪いと思います」


 えっ、やっぱり俺が悪いの? リノさん。


 あらためて2人を見て、記憶を再生する。


 なるほど、確かに色が被っている。だからなんだとは言ってはいけない。でも今更交代させたらカザネを余計に傷つけるだけだし。


「カザネ、辛い任務になるが、お前にしか任せられないんだ。わかって欲しい」
『っ! わ、私にしか……も、申し訳ございません。大丈夫です。ぜひ私にお任せください!』


 やる気をみなぎらせるカザネ。元気になって良かった。


「ありがとうカザネ、無事任務が終わったらご褒美をやるからな」


 カザネの顔が華のように輝き、そして真っ赤に染まってゆく。


『えへへ、ご褒美、ご褒美』


 ヤバい、カザネが可愛くて抱きしめたいが、ここはギルドだ。


「……カザネ、ご褒美とは一体なんですか?」


 目ざとくたずねるリリスさま。


『……身も心も溶けるほどのキスです』


「「身も心も溶けるほどのキス!?」」


 ……いや、聞いてないけど? 


「……カケルくん、私もご褒美!」


 リリスさま!? 


「いえ、リリスさまの場合ギルドマスターとしての仕事なのにご褒美とかおかしいですから」


 さすが、サブギルドマスターリノさん、この異世界で数少ない常識人だけのことはある。


「なに言ってるの? あなたもご褒美貰えるのよ、リノ」
「っ!…………正当な報酬として認めましょう」


 リノさん!? あなたまで何言ってるんですか? それだと、俺のご褒美になっちゃいますけど。




***




「大丈夫? ちょっと疲れてるんじゃないの、私の騎士」


「うーん、実はギルドで――――」 


「は? ご褒美? まったく困った人ね……ねえ、私の騎士、もちろんわかってるんでしょうね」
「わかってるさ、リーゼロッテもご褒美だろ?」


「……やっぱりわかってない! 同じじゃ嫌なの! 別行動になるんだから、特別手当……頂戴」
「……リーゼロッテ」




「ゴホン、ゴホンッ! 婿殿、リゼ、私も居るんだが。そういうことは2人だけでやりなさい。まったくなんでこんなベタな咳払いを私が……」


「「……ごめんなさい」」 




「それで、話を戻すが、スタンピードの主力については、婿殿に任せて大丈夫なんだね?」


「はい、数によっては多少討ちもらしが出ると思いますが」


「その程度なら、常備軍で十分対処出来るだろう。冒険者ギルドも動くようだしな」


 辺境伯様は、すこぶる上機嫌だ。本来なら甚大な被害が出るスタンピードをわずかな損害で切り抜けられそうなのだから無理もない。


「では、俺はプリメーラに戻ります。本番前に何度か来るつもりですが、もし何かあったら、彼女に伝えて下さい」 


『チカゼ』


 魔法陣が輝き、絶世の美少女が姿を現す。ライムグリーンの髪と瞳に背中に双翼をもつカケルの召喚獣ハーピィだ。


『召喚いただきありがとうございます、愛しい王様』


 鈴が鳴るような涼やかな声で、恭しく頭を垂れるチカゼ。


「チカゼ、悪いんだけど、バドルに残ってリーゼロッテの護衛と連絡係をしてくれ」


『…………』
「……わかった、ご褒美――」
『承知いたしました。このチカゼ、命にかえましても、リーゼロッテ様をお守りいたします』


「あ、ああ、頼りにしてるよ、チカゼ」




「……婿殿、魔物の使役というのも大変だな」




***




「じゃあ、気をつけてね、みんなにもよろしく!」


 別れ際にリーゼロッテを抱きしめキスをする。


『…………』


 う……そんな目で見ないでくれチカゼ。


 結局チカゼもハグしてやる。


『行ってらっしゃいませ! 王様!』


 うむ、元気があってよろしい!


「…………」


 今度はリーゼロッテ!? なにコレ無限ループ?











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