異世界行ったら、出会う女性みんな俺を好きになるので収集つかなくなっている ~スケッチブックに想いをのせて 死神に恋した男の無双&ほのぼのハーレム~

ひだまりのねこ

3人の妹

「お兄ちゃん、おかえりなさい!!」


 フリューゲルから降りた俺に抱きついてくる亜里沙。


「は? ど、どういうことですか……御主兄様?」
『お兄様……これはど、どういうことです?』


 聞いてないといった様子でガタガタ震え、狼狽えるクロエとミヅハ。


 いや……確かに説明してなかったけど、なんでそんなに動揺してんの? 




 その後、みんなに亜里沙のことを簡単に説明することになった。そして――




「皆さん、あらためて、カケルお兄ちゃんの妹の亜里沙です。宜しくお願いします!」


 メンバーに頭を下げる亜里沙。




「貴方様の妹なら、私たちの妹ね!」
「妾の妹でもあるな」
「私もいつかお姉ちゃんに……」
「わ、私もちょうど妹が欲しかったのよ!」


 なんか、しれっとリーゼロッテ様が混ざってるんだけど。でも、それより――


「…………」『…………』


 クロエとミヅハが怖い顔をして、さっきから沈黙しているのが気になる。亜里沙とは仲良くして欲しいんだけどな……




「御主兄様、私とアリサは、どちらが歳上ですか?」


 暫しの沈黙のあと、意を決したようにクロエが言葉を発した。


「あ、ああ、クロエが数日だけ歳上だな」


「では、今日からアリサは私の御主妹様です」


 御主妹様って、また意味不明な……まあ、受け入れてくれて良かったのか?


『では、私はアリサお姉様と呼ばせていただきます』


 二人とも、亜里沙の呼び方を悩んでいたのか……とんだ杞憂だったな。


「お兄ちゃん、私にこんなに素敵なお姉ちゃんと妹が出来るなんて……」


 亜里沙も喜んでいるみたいで何よりだ。この世界ではひとりっ子だったらしいしな。


 でもな、亜里沙。まだプリメーラにも何人か居るんだよ、とは嫌われそうで言えない。




***




 その晩は、フィステリアの最高級ホテルに泊まった。ふふっ、金ならある! みんな好きなものを頼みなさい。


 その夜の部屋割りは、俺が1人で、他全員同部屋だってさ。色々話すことがあるのだろうし、仲良くやって欲しい。


 淋しくなんてないよ? 俺にはミコトさんがいるんだ。


 デスサイズを召喚して、ミコトさんと死神通信する。毎晩話しているけど、やっぱり早く逢いたい。


『カケル! ちょうど声が聞きたかったの!! うん、今日、嫌なことがあって――』


(うわあ……王子様たちを切り捨てた人と同一人物とは思えないよ! ハァ、また惚気を聞かされるのか……)


 内心ため息を吐く美琴。カケルは美琴の存在を知らないし、美琴も会話に参加出来ないのだ。一方的に会話を聞かされるのだからたまらない。


『そう……亜里沙に逢えたの。良かった。あ、それから、詳しくは言えないけれど、カケルにとっても大事な人たちは、今のところ無事。目の前のことに集中して』


(うう、ミコトさん、カケルさんに甘すぎじゃないの! 私には何もアドバイスしてくれないのに!)


『そう、勇者が命懸けで頑張ってる。えっ? どんな子かって? 私の次に可愛くて、頑張り屋さんで素直で優しくて甘えん坊で、ちょっとだけカケルに似てる子……』


(や、やめて、ミコトさん、変なハードル上げないで〜)


「そっか……早く勇者に会ってみたいな。イリゼ様からも頼まれてるんだけど、俺からもお礼が言いたいんだ。この愛しい世界を守ってくれてありがとうって」


『……大丈夫。きっとそのうち会える。カケルの気持ちも伝わると思う』
「……だと良いな。じゃあ、おやすみ、ミコトさん、愛してるよ」


『おやすみなさい、私も愛してる』






『……美琴? 貴女は本当に泣き虫……良かったわね』


「……はい、私、頑張ります……グスッ……」




***


 翌朝、フィステリアのギルドで、ギルドマスターのベルトランに昨夜の件を報告した。


「……まさか、そんな事になっていたとは……くそっ、俺の街で好き放題しやがって!!」


 激しく机を叩くギルドマスター。


「少なくとも、この街で起きた事は、俺の責任でもある。アリサの件も含めて、感謝してもしきれねえが……」


「大変なのは、これからですよ、ギルドマスター。おそらく国中を巻き込む事態になりますからね。面倒事はお任せしますよ」


「わかった、そっちは任せておけ。それから、リーゼロッテ嬢も、お父上に宜しく伝えてくれ。今後、色々協力が必要になりそうだしな」


「わかりました、ベルトラン殿。父にはしっかり伝えます」


 昨日までの町娘姿から、今日は本来の正装に戻っているリーゼロッテ様。美しく凛々しいその姿に、思わず見惚れてしまう。


「ギルドマスター、私からも1つ良いですか?」
「ん? どうした、アリサ、今日は休みじゃなかったのか?」


「長らくお世話になりました。プリメーラに引っ越すことになりましたので、ギルドマスターのお兄様に紹介状書いて下さい!」


「は? あ、アリサ、引っ越すって……」
「生き別れの兄と再会したので、一緒に住むことになりました。ね、お兄ちゃん?」


「えっ、あ、ああ、すいませんギルドマスター。そういうことなので……」 


 何も聞いてないが、俺もそのつもりだったからな。


「ハァ……それじゃあ仕方ねえな! 紹介状書いてやるよ、うちのギルドにとっては痛いけどな」


 すいませんね。看板娘を引き抜いちゃって。




「じゃあ、俺とリーゼロッテは領都まで行ってくるから、みんなは、先にフリューゲルでプリメーラに戻っておいてくれ」


 領都バドルには、すでにツバサが到着しているので、一瞬で転移出来る。もちろん、戻って来るのも一瞬だ。


 他のハーピィたちも、すでに各地へ調査に送り出している。


「……御主兄様を1人で行かせると、また女が増えるのではないですか?」 
「無駄じゃ、クロエ、ダーリンは、1人だろうが、そうでなかろうが、関係無い。息をするように女をたらしこむのじゃ!!」


 クロエ、エヴァ、ひどい言いがかりだと文句をいいたいが、概ね事実なので、何も言えない。


「ふふっ、大丈夫よ、私の騎士には、誰一人近寄らせないわ!!」


 リーゼロッテ様が頼もしくて惚れる。


「貴方様、アリサのことは私たちにお任せください」
「主様、早く戻って来て下さいね」




 みんなに見送られながら、まだ見ぬ領都バドルへ出発だ。


「へっ? 転移するのに抱き合うの? し、仕方ないわね、怖いから、しっかり抱きしめなさいよね!!」


 顔を赤らめながら怒るリーゼロッテ様。相変わらず器用ですね。いや、むしろ不器用なのかな?


 リーゼロッテ様の柔らかい感触を感じながら、領都にいるハーピィクイーンのツバサの元へ転移を発動した。
 

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