異世界行ったら、出会う女性みんな俺を好きになるので収集つかなくなっている ~スケッチブックに想いをのせて 死神に恋した男の無双&ほのぼのハーレム~

ひだまりのねこ

いってらっしゃい

「それでは、行ってくる旦那様」
「王子様、私も不本意ながら行ってまいります」


 フリアとフリオと一緒に屋敷に戻り、今度は仕事に行くセレスティーナとサクラのお見送りだ。ミコトさんを毎朝送り出していたことを思い出して少し切なくなる。


「いってらっしゃい、セレスティーナ、サクラ。二人とも気をつけてな」
「うふふっ、なんか新婚さんみたいで素敵です~」
「…………」


 はしゃぐサクラと無言のセレスティーナ。はて?


「どうしたんだ? セレスティーナ、顔が紅いぞ」


 紅い顔でプルプル震えているセレスティーナ。もしかして具合が悪いのか?


「……だ、旦那様、そ、その、い、いってらっしゃいのキ、キスを……」


 なんだろう……このかわいい騎士団長様は。


「あーっ、ずるいです! 王子様! 私にも、私にも!」


 はいはい、順番に並んでくださいね。押さないで! 押さないでくださいなんて言ってる場合じゃないな。まあ、こう見えて、いってらっしゃいのキスはミコトさんのお墨付きだ。死神殺しのキスを味わうがいい!!


「えっ、だ、旦那様? ん、ンむむむむ~ッ」
「お、王子様? そ、そんないきなり……ん、んんん~」


 一度送り出したら、俺に出来ることは無事を祈り、早い帰宅を願うことぐらいだ。いってらっしゃいのキスは、テクニックではない、優しく抱きしめ、気持ちを込めて少し長めのキスをする。そこに言葉は要らない。


「ふにゃぁ~、だ、旦那様~しゅきー!」
「はぁはぁ……王子様~、も、もうダメです、こ、腰が抜けて……」


 あ、あれ? セレスティーナが壊れた? サクラも足腰が立たなくなってる? あ……やべ!! キス(極)スキルのこと忘れてた……どうしよう、二人とも使い物にならなくなってるぞ。


 結局、神水を飲ませて復活させました。


「まったく、酷い目にあったぞ。帰ったらまたしてくれないと許さないからな!」
「本当ですっ! ただいまのキスをしてくれないと許しませんから!!」


 二人ともぷんぷん怒りながら仕事に行ったけど、えっ、ここに帰ってくんの? ここ君たちの家じゃないよね!?




 視線を感じて振り返ると、クラウディア、クロエ、エヴァ、ソニアの姿が……


「おおっ、みんなで街へ行くんだろ? 気をつけて楽しんできてくれ」
「「「「…………」」」」


「……あー、ひょっとしなくても、見てた?」


 こくこくと黙って頷く4人


「いってらっしゃいのキス……する?」


 こくこくと黙って頷く4人


 まいったな……この4人初キスなんだけど、こんなんでいいのか? 


 仕方がない、やるからには全身全霊のキスをしよう。それが俺なりの誠意であり、生き様だ。大丈夫、神水ならある。




 数分後、ふにゃふにゃになった4人を神水で復活させてから送り出す。正直ちょっとやりすぎたかもしれない。


 さあ、シルフィとサラが待ってる、いざ出発!!


 両肩をがっしと掴まれる。恐る恐る振り向くと、鍛錬帰りの、セシリアさんとカタリナさんが良い笑顔で微笑んでいらっしゃる。


「あ、あの、俺、これから街へ行くんですけど?」


「街へ行きたければ、私たちを倒して(キスして)から行きなさい!!」
「カケルっち、いざ尋常に勝負キスだ!!」 


 くっ、仕方がない。男には戦わなければならない時もあるのだ……


 セシリアさんとカタリナさんを倒して街へ急ぐ。


(待ってろよ、シルフィ、サラ! 今行くからな)




「も、モテるのも大変なんだな……」


 カケルが去ったあと、物陰に隠れてガクブルするフリオがいた。


***


 二人との待ち合わせは、ギルドの飲食スペースだ。色気もへったくれもないが、街中だと二人の美貌に声を掛けてくるやつが多くて(相手が)危険だ。


 ギルドなら、よっぽどの初心者以外、二人の素性は知られているので、声をかけるような勇者はいない。


 二人が俺を見つけて手を振ってくる。


「貴方様~待ちくたびれたわよ!」
「まったく貴方様ってば、どこで道草くってたの!」


 二人とも口では怒りながらも嬉しそうだ。すいません。道草ではなく、キスしまくってました。なんてとても言えない……


「貴方様、お腹が空いたので、先に食べに行かない?」


 確かにもう昼だし、お腹も空いた。


「じゃあ、先に食べに行くか! ちょうど行こうと思ってた店が近くにあるんだけど、どうかな?」


「ボクはどこでも大丈夫だよ、一番好きなのは貴方様の手作り料理だけど……」
「わ、わたしも貴方様が一番好き……ってり、料理の話よ!」


 俺の双子姫がかわいい過ぎて辛くて困る。思わず二人を抱きしめてしまう。


「ふぇっ、あ、貴方様? 嬉しいのだけど、ここは人目が……」
「ふふっ、ボクはいつでも大歓迎だよ貴方様……」


 しばし、二人の感触を堪能した後、ギルド近くの通りにある店を目指す。


 以前、クロエと二人で料理スキルをゲットした金髪イケメンの店で、金の皿亭という。派手なパフォーマンスが売りだが、料理スキルを活かした外れのない料理が楽しめる人気店らしい。


 すでに行列ができていたが、金髪イケメンのパフォーマンスを見ているうちに、俺たちの順番になり、店内へ入ることができた。店内は、木や緑をたくさん使った雰囲気の良い造りで、サラもシルフィも気に入ったようだ。


 シルフィは、キノコや野菜が盛りだくさんのサラダを、サラは、スパイシーな赤いシチューのようなものを注文した。俺はやはり店の看板メニューの特厚の角ウサギ肉ステーキだ。


「そういえば、二人は感覚を共有してるんだろ? 食べるときはどうするんだ?」


 ふと疑問に思い聞いてみると、


「同時に食べると味が混ざるのよ。スパイシーなキノコサラダって感じね」
「それぞれの味が楽しみたいときは、時間差で食べるんだよ、貴方様」


「へえ、でも毎回2種類の料理が楽しめるからうらやましいな」


 楽しい時間はあっという間に過ぎる。食事を終え、今日の目的である二人の服を買いにゆく。


 精霊に愛されしものである二人は、普通の素材ではすぐに駄目になってしまう。サラの場合は、耐火性の高い素材、シルフィーの場合は、防刃性の高いものでないといけない。


 様々な魔物の素材で作られた服を扱っている専門店をカルロスさんに紹介してもらったので、そこならば、きっと二人にぴったりの服が見つかるだろう。魔物の素材を使った服は、騎士団や冒険者だけでなく、多くの需要があり、価格も高いが性能もまた高い。オーダーも可能らしいので、この機会に何着か頼むつもりだ。











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