異世界行ったら、出会う女性みんな俺を好きになるので収集つかなくなっている ~スケッチブックに想いをのせて 死神に恋した男の無双&ほのぼのハーレム~

ひだまりのねこ

エスペランサ奪還戦 後編

『私はもう助かりません……生命核に刻まれた魔刻印がすでに発動しているから……』


 魔刻印とは、魔人の生命の源である生命核に暗黒魔法によって、呪印を刻み込む処刑方法。本来貴族であるソニアに勝手に呪印を刻むことは違法であるが、国外での隠密行動中であれば、話は別だ。秘密裏に処刑されても表立って文句は言えない。


『私に刻まれた呪印は爆裂。この砦ぐらい軽く消し飛ばすほどの威力となるでしょう。ゴミス伯爵は、あなた方を砦に引き入れた後、私を使って砦ごとを爆破するつもりです。まだ、間に合います。私を誰もいないところまで連れて行ってください』  


 涙ながらに訴えるソニア。


「駄目だ、諦めるな、何か手があるはずだ……何か」


 デスサイズで呪印を切れるかもしれないと考えたが、呪印は、生命核に直接刻まれており、どうやっても生命核を傷つけてしまう。もっとデスサイズのレベルが上がれば可能になるかもしれないが、今の俺には無理だ。


 方法はなくはない、俺がソニアを殺して召喚契約をすれば、ソニアの魂は生き続けることはできる、できるが、その方法は最後の手段だ。彼女のような誇り高い人間を、俺に縛り付けるなどしたくはない。


 ソニアのステータスをもう一度確認する


【名 前】 ソニア
【種 族】 魔人(貴族種) 
【年 齢】 16
【身 分】 魔人帝国子爵
【序 列】 147位
【状 態】 魔刻印(爆裂)


【レベル】 59
【体 力】 8984
【魔 力】 9982
【攻撃力】 9987
【耐久力】 8991
【素早さ】 8439
【知 力】 9394


【スキル】 瘴気操作 魔物支配 物理耐性(強) 暗黒魔法(中級)隠密 転移(短)


 ……状態の項目に魔刻印(爆裂)とある。もしかして状態異常扱いなのか? それなら……


「ソニア、騙されたと思ってこれを飲んでくれないか。もし、これで駄目だったら、俺が責任をもって君を俺のものにする」
『へっ? お、お、俺のものってどういう……わ、わかりました、飲んでみます……』


 神水を飲んだソニアの丹田部分が淡く輝き、ソニアの魔刻印が消える。やはり、呪印は、生命核についた傷と判断されたようだ。またミコトさんに助けられたな。


『あ……嘘……呪印が消えてる……私、助かったの?』


 ソニアの肩が震えている。そりゃあ怖かっただろうな。優しくソニアの頭を撫でる。


「もう大丈夫だ。ひとりで良く頑張ったな。ソニアは本当に強い子だ、尊敬する」


 ソニアは俺の胸に顔を埋めて、声を上げずに泣いた。きっと敵に気付かれないように気を遣ったんだろう。ああ、音を遮断するスキルが欲しい。


 そんなソニアが愛しくて、そっと抱き寄せ背中をポンポンしてあげる。


『こ、子ども扱いしないで下さい! これでも立派な大人なんですから……でも、ありがとうございます』


 顔を桜色に上気させながら頬を膨らませて抗議するソニア。もう大丈夫かな。




『ところで、助けて頂いたので、願い事を3つ叶えましょう!』
「ランプの魔人かよ!?」
『? 魔人族はとても義理堅い種族なんです。ささ、何でも仰って下さい。あ、え、エッチなのと、願い事を増やせとかは無しですよ?』


「…………ダメなのか」


『えっ……な、なんでそんなに残念そうなんですか!? どっちですか! どっちを願うつもりだったんですか?!』


『……で、でも、ち、ちょっとぐらいなら……良いですよ?』


「そうか! じゃあ願い事5個に増やしてくれ」


『ッ!? ばっ、バカ〜ッ!!』


***


「はぁ……貴方様は無事侵入できたかしら? 暴風の刃!!」


「大丈夫だよシルフィ、煉獄の業火!!」


「そうね、カケルくんなら、また女の子を増やすぐらいの余裕があると思うわ、フレアバースト!!」


「どうしたのじゃクロエ? 先程から黙りこくって、ブラッディレイン!!」


 エヴァがクロエに襲いかかってきた魔物を一掃する。


「……知らない女の匂いがする……」


 クロエは、鼻をくんくんさせて目を細めた。


「アハハハ! さすがカケルっち、惚れるぜ」


 10万の魔物といえども、一気に襲いかかってこれるわけではない、プリメーラが誇る最高戦力たちによって、魔物は、足止めされ、その数を減らしてゆく。


 その様子にしびれを切らしたのか、魔人が2人現れた。


『おおっ良い女がいるじゃねえか! 早いもの勝ちな』
『グヘヘ、こっちは溜まってんだ。愉しませてくれよ!』


 魔人たちは、クロエたちを見つけると、下品に笑いながら、品定めを始める。 


『……魔人というのはどいつもこいつも……あなた方は、そこで死ぬまで死んでなさい!! 水檻!!』


 魔人たちはミヅハの創り出した水の檻に閉じ込められる。


『ゴボッゴボボボ(い、息が出来ない)』


「あ、あの、ミヅハ様? ちなみにその水檻を破る方法ってあるんでしょうか? 大樹生成!!」 


『……簡単です、私よりも強力な水もしくは火を使えば破壊出来るかもしれませんね、サクラ』


「水の大精霊様より強力な力など……ミヅハ様は怒らせない方が、良さそうだな、飛剣オートクレール!!」


 どん引きするサクラと苦笑いするセレスティーナ。


(旦那様、どうかご無事で……)


***


「なあソニア……」 
『なんですか主様あるじさま?』


 ニコニコ笑うソニア。うんカワイイ、カワイイけども、


「その主様っておかしくないか? 俺はソニアの主じゃないぞ?」


『私がそう思っているのですから、良いではないですか。それとも……ご迷惑でしたか?』
「い、いや……別に迷惑ではないが」


『では何の問題もありませんね! さぁ、次行きましょう主様あるじさま
「お、おう」


 二人で残りの魔人を倒してゆく。


「そう言えば、ソニアは、転移が使えるんだろ? 俺も一緒に転移出来たりするのか?」


『……出来ますけど、結構条件厳しいですよ? やってみますか』
「悪いな、じゃあ、あそこの部屋の前に転移してくれ」


 50メートルほど先にある部屋を指さす。


 転移(短)は、短距離の転移が可能になる。具体的には、はっきり目視出来る距離なら転移出来るらしい。


『わかりました。では、私に抱きついて下さい』
「わかった、こうか?」


『……ダメです、まだ隙間があります。もっと強く密着して下さい!』
「わかった、こうだな」


『ん……いい感じです。では、私を見つめながらキスして下さい』
「……ソニア、本当に良いのか?」


『ふふっ、冗談です! さっきのお返しです! 転移!!』


 一瞬の浮遊感とともに、2人は部屋の前に転移していた。


『転移(短)を記憶しました』


「転移凄いな! ありがとうソニア」


 ソニアのおでこにキスをする。


『な、な、ななな何をするんですか主様! は、反則です! よくわからなかったので、もう一度――』
「ソニア! 中の魔人が出てくる!」


『っ! 私にお任せください。ダークバインド!!』


 部屋から出てきた魔人たちが、漆黒の蛇に拘束されて身動きが取れなくなる。


 すかさずデスサイズで魔人たちを倒す。


『暗黒魔法(中級)を覚えました』
『レベルが上がりました』
『レベルが上がりました』
『レベルが上がりました』


「助かった、ありがとうソニア」
『主様もさすがです!』


「ところで、さっき何か言いかけてなかったか?」
『……もうっ……知りません』


 真っ赤になって俯くソニア。


『さあ主様、急ぎますよ!』
「よしっ急ごう!」




 雑魚魔人はほとんど倒した。あとは、指揮官のいる指令室を残すのみ。









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