異世界行ったら、出会う女性みんな俺を好きになるので収集つかなくなっている ~スケッチブックに想いをのせて 死神に恋した男の無双&ほのぼのハーレム~

ひだまりのねこ

エスペランサ奪還戦 前篇 

『なに? ヴァロノスが失敗しただとっ!!』
『はっ、エスペランサの守備隊の殲滅に失敗、待ち伏せに使用した魔物も壊滅しております。ヴァロノス男爵に付けた魔人部隊5名も全滅した模様です』


『それで、肝心のヴァロノスはどうした? 勝手に出撃したうえ、部下も失っては厳罰ではすまんぞ』
『それが……行方知れずでございます。敵の大将に倒された可能性もありますが』


『ちっ、使えないやつだ。まあいい、奴は男爵の中でも最弱、ここでの失敗は想定外だったが、敵にもそれなりに戦えるものがいると分かっただけでも収穫だ』
『どうやら敵は、この砦を奪還しに来るようです。ここは、このヴァルスにお任せください」


『うむ、ここは貴様に任せた。私は一旦本拠地に戻る。敵に我らの存在が知られた可能性がある以上、これからの侵攻作戦を練り直す必要があるかもしれんからな』
『はっ、承知いたしました』


『……ヴァルス、どうせなら、この砦をエサにするのも悪くない。あれを使え、敵を一網打尽にするのだ』
『かしこまりました。ゴミス伯爵様』


 砦を離れるゴミスを見送りながら、ヴァルスは口角を上げる。


『あの忌々しいヴァロノスが最後に良い仕事をしましたね。ようやくチャンスが巡ってきたようです……くふふふ』


***


「カケルくん、本当にひとりで大丈夫かい?」
「はい、大丈夫です。アルフレイド様は、魔人帝国の件、宜しくお願いします」


「わかった、帝国の件は、至急全国に連絡する。それより体調はどうだい?」
「? いえ、これ以上ないほど万全です」


「そ、そうか、さすが異世界の英雄は、夜も規格外なんだね!」


(女性9人と一緒に寝てるって報告を受けた時はびっくりしたけど、若いって良いなあ)


 なんか……アルフレイド様が、目をキラキラさせて見てくるけど一体?


*** 


 エスペランサ砦の奪還作戦だが、俺が単身砦に侵入し、魔人を倒すことが作戦の要だ。


 アルフレイド様は、プリメーラに戻り、全国各地へ情報を発信する。いつ何処から襲ってくるか、わからない以上、情報共有は、急を要する。


 セレスティーナ率いる騎士団とクロエたちは、10万はいると思われる魔物の大群の足止めと陽動だ。砦にいると思われる魔人を倒せば、支配が解け、群れは霧散するだろうしね。


 みんな俺に同行したがったが、正面きって戦うつもりは無い。なるべく、砦を壊さずに取り戻したいから、今回は俺ひとりで侵入することになった。


「じゃあ行ってくる。みんなもなるべく派手に頼むな! その方が侵入しやすくなるし」
   

 ヴァロノスとフリューゲルも、残って魔物相手に経験値稼ぎをしてもらう。主な仕事は、みんなのサポートだけどね。危険があれば、盾になってもらおう。


 みんなに見送られて、ひとり陣を出る。


(魔人帝国……セレスティーナ、クロエ、クラウディアの国と家族を破壊した連中だ。彼女たちだけじゃない、サラとシルフィの祖国も現在進行形で危機に晒されているし、カタリナさんや、セシリアさん、ウサネコの人たちだって、国や家族、友人を失ったんだ。みんなにあんな辛そうな顔をさせてる元凶ども……生きて戻れると思うなよ!!)


 ……いろんな理由を付けたけど、ひとりで乗り込むのは、怒りに任せた俺の姿を彼女たちに見せたくないからだ。


 それに、魔人とはいえ、彼女たちが、人を殺すところを見たくないからな……まあ、セシリアさんは、戦闘狂だから例外として……


 単なる自己満足だし傲慢だけど、それを押し通すために強くなったんだ。


 気配遮断と隠密の効果に加え、ヴァロノスからもらった暗黒魔法を使う。初級ではあるが、目くらましとしては優秀だ。まず見つかる事はないだろうが、念のため、サクラに教えてもらった秘密の脱出口から侵入する。


 せいぜい油断してろよ魔人ども……


 カケルの姿は、影のように消えて見えなくなった。


***


「はくしゅん!」
「あら、珍しいわね、セシリアと何とかは風邪をひかないっていうのに……」


「カタリナ酷くね!? 違うよ、なんかカケルっちが私の事考えてるみたいでさ」
「え……カケルくんが? ありえないわそんなこと! どうせ失礼なこと考えてるに違いないわ」


「なんでだよ! 私、結構カケルっちと仲良いんだぞ。一緒にお風呂に入る約束もしてるしな」
「な、なんですって……油断してたわ、セシリアの女を感じさせないところが、良い方に働いたのね……」


「なんかいちいち失礼だなカタリナ! 何ならカタリナも一緒に入るか? 風呂」
「……持つべきものは親友ね、セシリアのそういうところ好きよ」


「そういえば、セシリアさん、なんで急にカケルっちなんて呼び始めたんです?」


 シルフィが不思議そうに尋ねる。


「ああ、昨日夢に女神様が現われて、そう呼ぶと良いことがあるっていわれたんだよ」
「め、女神様が夢に? 良いことって、また随分アバウトな……それでですね、あ、あの……セシリアさん、私も、その、一緒に……」


「なんだ、シルフィも一緒に風呂に入りたいのか? もちろんいいぞ」
「あ、あの……声が大きいんですけど……」


 シルフィが真っ赤になってあわあわする。当然みんなに聞こえないはずが無く……


 結局、みんなで一緒にお風呂に入る事が決定したが、当のカケルはここにはいないので、知る由もない。


「みんな楽しそうだな! 何の話をしているんだ? 出陣の前だというのに余裕じゃないか」
「あ、セレスティーナ、サクラ!」


「実は……御主兄様とみんなでお風呂に入る計画がありまして……」
「お、お、お、お風呂だとっ! ななな、なんてハレンチな……詳しく聞かせてくれクロエ」


 急遽、セレスティーナとサクラの参戦も決定。






『なあ……俺たちこれから10万の魔物と戦うんだよな?』
『なんか団長たちの姿をみていたら、緊張しているのがバカバカしくなってきた』


『……俺も無事に街に帰ったら、彼女と一緒に風呂に入るんだ……』
『『『やめろ!! それはフラグだ!!!』』』




「……心配は杞憂ということかな……そこにいなくても、人々に影響を与えられる……それが英雄ということなんだろうね。さあ、街へ戻ろう!!」


 緊張感のかけらもなく騒いでいる一同をみて、軽く息を吐くアルフレイド。


(やることが山ほど出来た。帰ったら忙しくなりそうだね……)









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