異世界行ったら、出会う女性みんな俺を好きになるので収集つかなくなっている ~スケッチブックに想いをのせて 死神に恋した男の無双&ほのぼのハーレム~

ひだまりのねこ

空の王者 グリフォン

 トンネルの先には、巨大な空間が広がっていた。東京のドームが、2、3個入りそうな空間の奥に湖が見える。あれが地底湖だろう。


 湖の手前には、武骨な砦が築かれており、ひっきりなしに、ゴブリンなどが出入りしている。砦の周りには、倉庫のような建物もあり、食料や、武器などが運び込まれるのが見えた。


 壁面には、大量に穴が掘られ、簡易の寝床になっているようだ。視界に入るだけで、数百~千体ほどのゴブリンがおり、さながらゴブリンタウンの様相を呈している。


(これでは、いくら倒しても、ゴブリンが減るわけないな……)


 ゴブリンのような低ランクの魔物は、単体ではさほど脅威ではないが、その数は人類にとって間違いなく脅威だ。大元を絶たない限り、その数は増え続ける。


 そういえば、ゴブリンとゴキブリって似てるよな……うっ、そう考えたら寒気が。


 雑魚はウサネコさんたちが蹴散らしてくれる。まずは、ゴブリンキングだ。


「フレアバースト!」


 カタリナさんの魔法が、ゴブリンの一群を焼く尽くし灰に変える。……どう考えてもオーバーキルです。


『火魔法(上級)を記憶しました』


「魔殺水連槍撃!」


 セシリアさんの繰り出した無数の槍撃が、まるで水龍のように襲い掛かり、跡形もなく消し去る。……セシリアさんもやり過ぎですよ。


『水魔法(上級)を記憶しました』


『槍術を記憶しました』
『一定数に達しました。武器スキルを統合します……【武器マスター】を記憶しました』


 【武器マスター】 あらゆる武器を操ることが出来るスキル。


『魔物強化を記憶しました』 


 どうやら、ゴブリンキングが、スキルを使っているようだ。


 これにより、ゴブリンたちの戦闘力が、大幅に強化されたはずなんだけど……あのひとたち相手だと、あんまり関係なかったようで。風に舞う落ち葉のように蹴散らされてゆく。そんな綺麗なものでは無いけど、言い方って大事だと思う。主に精神衛生上。


 キング発見……でかいな。身長3メートルはあるぞ。うわ、統率と強化のコンボか……これは凶悪だ。主力がゴブリンで助かったかもしれない。


【ランク】 A
【種 族】 ゴブリンキング
【年 齢】 15
【状 態】 怒り


【レベル】 53
【体 力】 5985
【魔 力】 1482
【攻撃力】 5947
【耐久力】 5965
【素早さ】 5466
【知 力】 293


【スキル】 魔物強化 威圧 統率 魔法耐性 物理耐性 土魔法(上級)


 予定通り、クロエとエヴァがキングの注意を引き付けてくれている。


『くっ、ちょこまかと動き回りおって……永久に埋もれてしまえ【砂地獄】 』


 キングを中心とした半径十メートルが、無限の砂地獄へと変わる。一度踏み込めば、そのまま、さらさらの砂に沈んでいき、身動きが取れなくなる。しかし、クロエもエヴァもすでに範囲から離脱していた。


『土魔法(上級)を記憶しました』


「残念だが、お前の相手はこの俺だ」


 気配遮断で接近し、魔法を行使した瞬間を狙い、デスサイズで首を斬りつける。さすがのAランクでも、身体強化に剛力を加えた一撃には耐えられない。首を失った胴体が、力を失って倒れ伏す。


『レベルが上がりました』
『レベルが上がりました』 


「クロエ、エヴァ、怪我はないか?」
「大丈夫です。御主人様、見事な一撃でした」
「っ?!ダーリン! 伏せるのじゃ!」


 エヴァの言葉に反射的に伏せると、頭の上を巨大な風の刃が通り過ぎる。あっぶね。


『風魔法(上級)を記憶しました』


『ぐるるるるあああ』


『グリフォン語』を記憶しました。……グリフォン語ってあるんだ……
『一定数に達しました。言語スキルを統合して【言語理解】を記憶します」


【言語理解】人、魔物、動物など、あらゆる言語を理解し、話すことができるスキル


「ごめんなさい、貴方様、コイツ、急に強くなったから、防ぎきれませんでした」 


 ……キングの強化は、死んだ後も消える訳じゃないんだな……なるほど。


「大丈夫だ、シルフィ、時間稼ぎありがとう」
「……貴方様、ボクも頑張ったんだけど?」


「サラもありがとう。おかげで、キングを倒すことが出来た」
「うふふ、それほどでもあるかな。でも、コイツ本当に強いよ。気を付けてね、貴方様」


【ランク】 S
【種 族】 グリフォン
【年 齢】 25
【状 態】 強化


【レベル】 63
【体 力】 15985
【魔 力】 11482
【攻撃力】 15947
【耐久力】 15965
【素早さ】 15466
【知 力】 12930


【スキル】 飛翔 風魔法(上級)威圧 加速 毒爪 剛腕 魔法耐性 物理耐性 


 ……ヤバい、本気で強い。しかもデカイ、5メートルぐらいあるか? シルフィたちがいなかったら勝てそうにない。


『飛翔を記憶しました』


『なあ、グリフォン! 降参する気はないか? 俺の騎獣に、あまり手荒なことはしたくない』 
『降参だと? 矮小な人間風情が、面白いことを言う。寝言は寝て言え!』


 グリフォンの周りを凄まじい風の暴力が渦巻いている。しかし――


「私の前では、風魔法など児戯に等しい。シルフィード!」


『……児戯じゃないよ、シルフィ。存在すら赦さない。無に等しい、だよ』 


 風の精霊の力で、グリフォンの風魔法は霧散する。


『おのれ、精霊使いか。だが、風魔法など使う必要も無い』


 グリフォンが、一瞬消えたと思った瞬間、焼けるような痛みと衝撃で、壁に吹き飛ばされ、そのまま激突する。


『加速を記憶しました』
『剛腕を記憶しました』
『毒爪を記憶しました』


「貴方様! 姉様、クロエ、エヴァ、グリフォンの動きをちょっとだけ止めて!」


「「「了解!」」」


 サラが、倒れているカケルにキスをする。カケルの身体が、赤く光り、傷が塞がっていく。


【情熱の癒やし】サラの持つユニークスキル。傷を癒やし、状態異常から回復する。別にキスする必要はない。


「うっ……ありがとうサラ、今のはちょっとヤバかった」
「さすが貴方様、あれで死なないとか、どうなってるの?」


 サラが、泣きながら笑う。


 心配させちまったな……今度はこっちの番だ。今ので殺せなかった時点で、お前の負け確定だ。


 変化スキルでグリフォンに接近する。


『まだ生きていたのか? その羽根、キサマ吸血鬼か!』


 グリフォンが、再び姿を消すが、間一髪で躱す。しかし――


『よく躱したな。だがその羽根ではもう飛べまい!』


 羽根を引きちぎられ、落下する俺にグリフォンが迫る。空中では、もはや躱すことは出来ない。


『ハハハッ死ね!』 


 グリフォンの必殺の一撃が空を切る。


『な、なにっ?!』


 飛翔と加速スキルでグリフォンの背後にまわり、身体強化、剛力、剛腕で強化した一撃を振り下ろす。


 さすがグリフォン、まだ生きているのか。


「フレアバースト!」


 トドメの魔法をぶち込む。弱点属性の上級魔法が直撃したのだ、ひとたまりもないだろう。


『レベルが上がりました』
『レベルが上がりました』
『レベルが上がりました』
『レベルが上がりました』 
『レベルが上がりました』


 おおっ! レベルスゲェ上がった。


 地上に降りると、みんなが、駆け寄ってくる。


「御主人様! 無茶しないで下さい……」
「な、何やってるんですか! 心臓が止まるかと思いました……もう」
「妾は何も心配しておらんかったぞ」
「……1番慌ててたの誰だったかな?」
「ッ?! まあ……心配は……したぞ」


「みんな心配かけて悪かった、でも、勝てて良かった」




「カケル!大丈夫か? ずいぶん派手にやられたから、肝を冷やしたぞ」
「カケルくん……私の魔法、使ってくれたのね。わざわざ見せた甲斐があったわ」 


 そう言ってウインクするカタリナさん。そうか……それでわざわざゴブリンに使ったのか。セシリアさんも……いや、あの人は、単なるストレス解消だな。


「カケル、ほら、コイツがレアゴブリンだ」


 セシリアさんが、捕まえたレアゴブリンを差し出す。


 黒光りする皮ふに、頭部に生えた触覚のような角。……うわっ、キモッ! レアゴブリンって云うより、ゴキブリンだろ?! これ?!


「なんだか可愛いですね、御主人様?」


 く、クロエさん?!


「うむ、確かにこのてかり具合がなんともいえんな」
「貴方様、これ飼っちゃだめですか?」


 ……異世界の価値観がわからん。だが――


『レアゴブリン、お前の魔物使役能力を見せてくれれば、命を助けることも検討しよう』
『本当かゴキ? 俺の力みせてやるゴキ! いでよワーム!』


 ……お前、絶対ゴキブリだろ……


『魔物使役を記憶しました』
『いや、もういいや。死ね!』
『な、なんでゴキ! 助けてくれるっていったゴキ!』
『ゴキゴキうるせえ! 検討した結果、却下だ』


 ……結局、みんなに泣きながらお願いされて、殺せなかったよ。


 まあ、貴重な魔物みたいだから、アルフレイド様あたりに有効活用してもらおう。決して押し付けるわけじゃないからな。














 





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