異世界行ったら、出会う女性みんな俺を好きになるので収集つかなくなっている ~スケッチブックに想いをのせて 死神に恋した男の無双&ほのぼのハーレム~

ひだまりのねこ

ゴブリンスレイヤー

 ゴブリンという魔物は、オークとは違い、他種族の雌を苗床にして生まれるのではない。


 どうやって生まれ、繁殖しているのか、今日までよくわかっていないのだ。すべてのゴブリンは、たった1匹の女王から生まれるのだという学者もいるが、真実にたどり着いたものはいない。


 ゴブリンリーダーは、10匹に1匹
 魔法武器スキル持ちゴブリンは30匹に1匹
 上位種のホブゴブリンは50匹に1匹
 最上位種のハイゴブリンは100匹に1匹の確率で誕生するといわれている。


 その最上位種のハイゴブリンの中でも、特に優れた個体が、ゴブリンジェネラルとして、数千のゴブリンを率い、軍団を形成しているのだが、さらにいくつもの軍団を束ねているのが、ゴブリンキングと呼ばれるゴブリンの王だ。


 ゴブリンキングは、Aランク下位に分類され、単体の戦闘力もさることながら、集団戦において真価を発揮するタイプの魔物だ。キングのいる集団は、1ランク以上、戦闘力が上がるとされているため、今回、西の森にいるのは、キングではなく、ジェネラルだと思われる――というのが、騎士団の見解だ。




「じゃあ、サクッとやっちまうか」


 本拠地があると思われる窪地を見つめながら、セシリアが軽い調子でいう。


 セシリアは、1万体以上のゴブリンを倒したものに与えられる、【ゴブリンスレイヤー】の称号を持った数少ない現役冒険者だ。ゴブリンジェネラルなど鼻歌混じりに倒せる実力の持ち主である。


 ちなみに、いくら10万体のゴブリンを倒したからといって、ギルドカードの階級は上がらない。例えば、C級に上がるためには、昇級に必要な討伐数に加え、必ずCランク以上の魔物を倒さなければならない仕組みになっている。


 つまり、A級冒険者とは、単独でゴブリンキングクラスの魔物を倒すことが出来る存在なのだ。


 そのA級冒険者が、二桁揃ったこの状況は、ゴブリンにとって、もはや悪夢でしかない。


 彼らにとっては、目の前にあるゴブリンの本拠地など、まさしく通過点でしかないのだ。


「駄目よ、セシリア。ボスはカケルくんに倒してもらわないと、情報取れないじゃない」
「あ……そうだったな。カケル! それじゃあボスは任せたよ。雑魚は私たちが殺る」 


「はい! 任せられました。デスサイズ!」


 魔法陣から、デスサイズを引き抜き、ゴブリンの本拠地へ突っ込む。


「クロエ、シルフィ、サラ、エヴァ、残りは頼んだ」
「かしこまりました」
「わかりました」
「わかったよ」
「任せておけ」


『クラウスたちは、拠点の周りを頼む、いいか、1匹も逃がすなよ』
『承知した、主よ』


 湧いてくる雑魚には目もくれず、ボスがいる洞窟に入る。


(また洞窟か……)


 先日のゴブリンとの死闘を思い出す。


 後で分かったのだが、あの時のボスゴブリンは、Cランクのハイゴブリンだったらしい。魔石を鑑定してみて分かった。


 ゴブリンジェネラルは、Bランクの魔物だが、今の自分なら負ける気がしない。


 突然、地面が盛り上がり、行く手を塞ぐ。


『土魔法を記憶しました』


 よしっ、4大属性魔法が揃ったぜ。あっ……よく考えたら、カタリナさんに魔法見せてもらったほうが早いかも。今度、お願いしてみよう。


 土壁をデスサイズで、陰にいたゴブリンメイジごと切り裂く。


 奥から新たにゴブリンが出てくるが、威圧を使い、動けなくなったところをまとめて斬り飛ばす。


 敵は、急襲に対して、全く準備が出来ていなかったようで、ゴブリンジェネラルは、慌てて突撃を命じる。


『くそっ、なぜここに人間どもが来た? 相手はたった一人だ、さっさと殺せ!』


【ランク】 B
【種 族】 ゴブリンジェネラル
【年 齢】 5
【状 態】 怒り


【レベル】 13
【体 力】 1985
【魔 力】 482
【攻撃力】 1948
【耐久力】 1985
【素早さ】 1496
【知 力】 193
 

【スキル】 身体強化 魔法耐性 物理耐性 土魔法(中級)


 おっ、なかなか使えそうなスキル持ってるな。適当に使わせて、ゲットするか……とりあえず、


 威圧を発動、動きの止まったハイゴブリンを2体切り裂く。


『レベルが上がりました』


「あとはお前だけだ!」


 動きの鈍ったゴブリンジェネラルに、ファイアボールを放つ。


『バカめ! そんな攻撃が通じると思うのか?』


 放たれたファイアーボールは、ゴブリンジェネラルに当たるが、ほとんど効いていない。


『魔法耐性を記憶しました』


 ゴブリンジェネラルが、魔法を放つ。


『ロック・スピア!』


 岩でできた槍が5本飛んでくる。


『土魔法(中級)を記憶しました』


「ウォール!」


 土壁で槍を防ぎながら、ゴブリンジェネラルに接近、デスサイズの柄で殴りつける。


『物理耐性を記憶しました』


 物理耐性のせいで、ゴブリンジェネラルには、攻撃が通じ――てる。あの感じだと耐性がなければ、今ので死んでたな……。


 もう、貰うスキルもないので、さくっと倒す。


『レベルが上がりました』


 よし、今のうちにスケッチ契約しておこう。スケッチブックにゴブリンジェネラルを描き始める。


「スケッチ召喚、フェルゼン」


【ランク】 B
【名 前】 フェルゼン
【種 族】 ゴブリンジェネラル
【年 齢】 5
【状 態】 契約カケル


【レベル】 62
【体 力】 3895
【魔 力】 1482
【攻撃力】 3489
【耐久力】 3985
【素早さ】 3467
【知 力】 293
 

【スキル】 身体強化 魔法耐性 物理耐性 土魔法(中級)


「フェルゼン、いろいろ聞かせてもらうぞ」


『なんでも答えよう、主』


***


 洞窟を出て、一旦みんなと合流する。


「御主人様、お怪我はございませんか?」
「大丈夫だ。ありがとうクロエ」


「その様子だと、うまくいったようですね。カケル殿」


 アンドレアさんが、フェルゼンを見て笑顔を見せた。


「はい、無事地下ルートも判明しました」


「カケル、それで、地下ルートはどこにあるんだ?」
「この洞窟の奥ですよ、セシリアさん」


 その後の話し合いで、当初の予定通り、俺たち冒険者組が、地下ルートを通って敵の拠点を探し、騎士団には、この洞窟を管理してもらうことになった。


 召喚獣もフェルゼン以外、いったんすべて戻して、洞窟へ出発する。地下ルートがどこに繋がっているのかわからないが、おそらく東の領域内であることは間違いない。


 これまで以上に危険が増すが、これ以上ない頼もしい仲間たちがいるのだから、怖いものなどない。


 俺たちは、アンドレアさんら騎士団のひとたちに別れを告げ、いざ洞窟に足を踏み入れるのだった。    

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