異世界行ったら、出会う女性みんな俺を好きになるので収集つかなくなっている ~スケッチブックに想いをのせて 死神に恋した男の無双&ほのぼのハーレム~

ひだまりのねこ

スケッチブック召喚

 30分後、俺たちは、まだ森に入らずに切り株に並んで腰かけていた。


 そういえば、スケッチブックスキルの確認をしてなかったんだよね。


 スケッチブックは、倒した魔物を絵に描き、命名することで使役可能になるスキル。


 異世界では紙が貴重品らしいので、絵を描くのは諦めてたんだけど、このスキルがあって本当に良かった。


 ゴブリンのスプラッター映像など一刻も早く忘れてしまいたいからな。


 一応の使い方は、すでに頭の中に入っているので、すぐに検証開始だ。


 念じると、スケッチブックと1本のペンが出現する。


 このペンは、思い浮かべるだけであらゆる色を出すことができるだけでなく、線の太さやタッチまで自由自在の夢のような代物らしい。


 無くすことも、インク切れをおこすこともないのは言うまでもない。


 完全記憶を持つ俺にとっては、これ以上ないほど相性が良い魔法のペンである。


 一方のスケッチブックだが、枚数が23枚。俺の今のレベルが23だから、おそらくレベルに応じて枚数が増えるのではないかと思っている。


 ちなみに、失敗した場合や消したい時は、何度でも削除可能だが、一度命名した絵に関しては、削除できない。命名する魔物は慎重に選ぶ必要があるだろう。


 まあ瞬間記憶とは違い、スキルレベルがあるので、レベルが上がると条件など変化があるかもしれないが。


 早速、角ウサギの絵を描いてみる。ゴブリンはビジュアルが嫌なのでパスだ。  


 うん。我ながら上手く描けたな……


 クロエが背中越しに、スケッチブックを覗き込んでくる。柔らかい感触と甘い花のような香りに頭がくらくらする。顔近いし、背中に色々当たってますよ、クロエさん。


「これは……まるで生きているかのようですね。絵まで御上手なんて、さすがです御主人様。ですが、何故、急に絵を描いたのですか?」


 クロエの吐息が首筋や耳に当たって、言葉が頭に入ってこないが、俺には絶対記憶があるのでセーフ。


 クロエさん、ソーシャルディスタンス、プリーズ。


 スケッチブックスキルについて説明すると、さすが御主人様――以下省略。


 それでは、角ウサギに名前をつけましょうかね。


「クロエ、なんかいい名前あるかな?」
「……にく?」
「……却下だ」
「では、ソーセージ」
「クロエさん!? お腹空いてるの? ごめん、お肉足りなかった?」
「ところで御主人様」
「なんだいクロエ?」
「御主人様のスキルで召喚した魔物は食べられるのでしょうか?」
「……殺すと絵に戻っちゃうから無理だね」
「…………」
「そんなにがっかりすんの!?。ゴメンな本当使えないくそスキルだよな。まだウサギ肉大量にあるから、後で食べような」


 結局、角ウサギの名前は『ラビ』になったよ。ああ、そうさ。ラビットのラビだよ。そのまんまでごめんな。


 んで、そのラビだけど、命名するとステータスが表示される。結構強い。俺のレベルがそのまま魔物のレベルになってるせいだな。


 仮にレベル100になったら、角ウサギレベル100か……めっちゃ強そうじゃないか。


【ランク】 D
【名 前】 ラビ
【種 族】 角ウサギ 
【年 齢】 1
【状 態】 良好


【レベル】 23
【体 力】 199
【魔 力】 0
【攻撃力】 187
【耐久力】 165
【素早さ】 422
【知 力】 23
 

【スキル】 跳躍<3> 


「この絵が、本当に動くんでしょうか?」
「まあ見てろって」 


『白き衣を纏いし森の眷属よ、その禍々しき角で敵を穿ち、無限なる食欲で全てを喰らい尽くせ。 スケッチ召喚、いでよ ラビッ!』


 スケッチブックを中心に魔法陣が展開し、ラビが描かれたページが眩い光を放つ。


 俺たちの目の前に巨大な角ウサギが出現する。デカイ。牛ぐらいはあるんじゃないか?


 ちなみに、召喚の際、口上も魔法陣も光も省略出来る。口上? 俺が考えたんだけど何か?演出だよ演出! 雰囲気って大事だし。クロエには受けてたからいいだろ。恥ずかしくなんかないからな。


 召喚された魔物には、わかりやすく契約の首飾りが巻かれている。


 クロエによると、この世界のテイマーが使う従魔の首飾りと似ているそうなので、街中でも問題無さそうだ。


「ラビ、俺の言葉がわかるか?」 


『キュウ!』 
『兎語を記憶しました』


 ラビがシュタッと前脚を挙げる。おお! 可愛いな。クロエ……仲間だぞ、食べ物をみるような目つきはやめような。


 3人で森に入る。


 ラビはウサギらしく耳が良いので、先行してもらい、索敵をまかせている。


 森の中は、とても静かで、たまに角ウサギが飛び出してくる以外、鳥のさえずりすら聞こえてこない。角ウサギたちは、ラビがあっという間に片付ける。


『レベルが上がりました』


 おおっ、使役した魔物が倒した経験値は俺に入るのか……ラビのレベルは上がっていないな。


 一度、ラビを戻して、再度召喚する。


【ランク】 D
【名 前】 ラビ
【種 族】 角ウサギ 
【年 齢】 1
【状 態】 契約カケル


【レベル】 24
【体 力】 215
【魔 力】 0
【攻撃力】 201
【耐久力】 195
【素早さ】 453
【知 力】 26
 

【スキル】 跳躍<3> 


 なるほど……魔物のレベルはやはり召喚時の俺のレベルに依存するんだな。ラビが実に頼もしい。後でモフらせてもらおう。


「御主人様、様子が変ですね。森が静かすぎます。どうなさいますか?」
「いや、このまま奥まで調査しよう。異常があるのなら、なおさら放置できないからな」


 さらに奥へ進むこと5分、ラビが突然動きを止める。


「どうした、ラビ?」 
「この先に何かいるうさ」


 言っておくが、本当にうさって言ってるからな。脳内変換じゃないぞ!


「御主人様、オークのようです」


 クロエは鼻が利くな。オークっていうと、女の敵の性欲モンスターのことか?


「クロエ、オークは食えるのか?」
「はい! 旨味の強い豚肉のような味がします。美味しいですよ」


 ほほう、それは楽しみだ。経験値と合わせて二度美味しい魔物は大歓迎。


「御主人様、オークは単体ではDランクですが、ゴブリン同様に集団となると危険です。はぐれオークだと良いのですが、可能性は低いと思われます」


「……となると、森の異変はオークの集落が出来たことが原因ぽいな。とりあえず、そこにいるオークに聞いてみるか」


 近くに他のオークは居ないようなので、ラビにおびき寄せてもらう。


 森の奥から巨体が近づいてくる。身長は2メートルで筋骨隆々。肌色の皮膚に硬そうな半透明の毛が生えている。顔は豚よりもイノシシに近い。


「#$%ゞ,――旨そうなウサギだ、ブヒッ」


『オーク語を記憶しました』


 オークは、ラビに夢中で俺たちには気付かない。


 今のうちに鑑定しておこう。


【ランク】 D
【種 族】 オーク
【年 齢】 1
【状 態】 空腹


【レベル】 2
【体 力】 276
【魔 力】 0
【攻撃力】 288
【耐久力】 285
【素早さ】 98
【知 力】 93
 

【スキル】 絶倫 繁殖


 まんま女の敵だな。単体なら倒すのに苦労はしないか……厄介なスキルも魔法もない。ただの体力バカってやつだな。しかし、1歳でもう成体なのか。魔物の成長力やばいな。


 デスサイズで背後からオークの首を斬り飛ばす。血を噴き出しながら、胴体が地面に倒れた。


『レベルが上がりました』


 おっ経験値は美味しいぞ。意外と悪くない獲物かもな。


 今回、オークの魂は吸収しない。スケッチブックに描く際に魂が必要になるからだ。魂が必要ということは、描かれた魔物は本物と同一ということになる。だから――


「スケッチ召喚、出でよ シュヴァイン」


【ランク】 C
【名 前】 シュヴァイン
【種 族】 オーク
【年 齢】 1
【状 態】 契約カケル


【レベル】 25
【体 力】 576
【魔 力】 0
【攻撃力】 588
【耐久力】 585
【素早さ】 198
【知 力】 103
 

【スキル】 絶倫 繁殖


 2体目の召喚獣を呼び出す。


「シュヴァイン、オークの集落に案内してくれ」
「わかった主。案内する」


 魂が同一ならば、記憶も共有しているかもしれないと思ったが、ビンゴだな。ついでにオークどもの数と目的も確認しておくか。


***


14話終了時点でのステータス


【名 前】 カケル=ワタノハラ(男)
【種 族】 人族
【年 齢】 17
【身 分】 自由民
【職 業】 冒険者(F級)
【状 態】 良好


【レベル】 25
【体 力】 512
【魔 力】 3250
【攻撃力】 512
【耐久力】 512
【素早さ】 512
【知 力】 3250
【幸 運】 90


【スキル】 瞬間記憶 スケッチブック<1> デスサイズ<1> 火魔法<1> 水魔法<1> 風魔法<1> 剣術<1> 棒術<1> 弓術<1> 斧術<1> 身体強化<1> 鑑定<10> 跳躍<1> 魅了 洗体 料理 人語 ゴブリン語 狼語 オーク語 兎語 


【加 護】 死神の加護 








 

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