不登校だったおれが竜王相手に世界を守るために戦う話~学校に行けなくてもコマンド操作なら得意ですから~
別れ
「まさる! リンナ!」
雄大が悲痛な声を上げた。分解されるように消えていく身体のせいではっきりとは分からないけど,きっと雄大の目には涙が浮かんでいるのだろう。
「どうしてそんなに悲しそうな顔をしているの?」
雄大の顔を見て言った。震える声を抑えるので必死だった。
「だって,だって・・・・・・,まさるの方こそ,泣いてるじゃん」
頬をぬぐった。感触はないが,自分の身体がこんなに透けていなければ,きっと情けない顔をしていたはずだ。
「ちょっと,しっかりしてよね。今からそれぞれの場所に,元の世界に戻るんだから。そんなんじゃ不安になるじゃない。言っておくけど,約束を守らなかったら絶対に許さないからね。みんなが幸せになれるゲームを・・・・・・作ってよ」
リンナが笑いながら言った。顔は笑っていたけど,最後の方はほとんど声になっていなかった。
これからぼくたちは離れ離れになる。そんなことをぼくたちははっきりと感じ取っていた。長くはなかったけど,とても濃かった時間。確かに,ここは素晴らしき世界だった。だって,こんなにも大切な,かけがえのない宝物に出会えたのだから。
三人で抱き合いながら,声を上げて泣いた。ぼくの手には,すでに二人と身体を振れ合わせている感覚は伝わって
こなかった。
ばいばい,みんな。またどこかで
ぼくたちの身体はそのまま消えた。
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