不登校だったおれが竜王相手に世界を守るために戦う話~学校に行けなくてもコマンド操作なら得意ですから~

文戸玲

攻撃


 剣を抜き,リンナと向かい合った。

「ちょ,ちょっと,何しているの二人とも! 落ち着いてよ! 話し合ったら分かるって!」
「もう分かっている。二人とも強い意志を持っているの。簡単な気持ちで剣を向けないわ」

 涙目の雄大を振り切り,リンナが一気に距離を詰めてきた。
 間合いに入る直前にリンナが剣を振りかぶった。そのまま振り下ろしてくるつもりだろう。

→ 斬りかかる
  受ける
  避ける

 初めての手合いで,勝負を早まってもろくな事は無い。かといって,そう広くはない空間で後退を続けても後手後手に回るだけだ。悩んでいる時間は無い。リンナの剣を受ける選択をし,剣を地面と水平に構えた。
 ガチン,と無機質な音が響いた。重い。甘かった。ここまで一緒に旅をしてきた仲だ。相手を傷つけることが目的ではなくて,自分の意志を認めさせるための戦いのつもりでいた。でも,リンナは自分の信念を貫くために相手に遠慮をしないという覚悟を持っている。そのことが剣を通してしびれるように伝わってくる。このまま甘い気持ちでやっていると,命を落とすだろう。
 受けた剣が徐々に押し込まれてきた。

「女の子だからって,なめてるんじゃないの?」
「いや,リンナの方が一枚上手なのは知っている。でも,覚悟が足りなかったのは事実だ。ぼくも誠心誠意、正しいと思ったことのために剣を持つよ」

 リンナの剣を横になぎ払い,間合いを取るために後退した。
客観的に見ると,力もスピードもリンナの方が上だ。でも,勝てるという自信が胸の中に広がっていた。リンナは冷静ではない。平静を装ってい入るが,明らかに肩に力が入っている。隙を突いて攻撃を入れる瞬間はいくらでも生み出せそうだった。
足の内側に重心をためて,前後に身体を揺らした。相手の動きに合わせて臨機応変に対応できるように。
肩を怒らせたままリンナが突進してきた。今度は右肩の後ろに剣を振りかぶっている。そのまま左方向に剣を振り下ろすつもりだ。


→ 剣をふるう
  受ける
  避ける


「はあっ!」

 思った通り,リンナは剣を振り下ろした。その剣は空を切った。
サボテンを一刀両断したときのような鋭さは失っていなかったが,動きは見えやすい。剣の軌道に合わせて身体をリンナの左側に滑り込ませた。
ノーガードのリンナの脇腹が目の前にある。一瞬躊躇した。ここで剣を振るっても良いものか。リンナは大切な仲間だ。傷つけることは望まなかったが,そんな甘い覚悟は捨てたはずだった。
目をつぶり,剣を握る手に力を込める。
表情は見えないが,しまった,とリンナが感じているのが分かる。選択肢が表示された。


→ 攻撃する
  間合いを取る


 ぼくは,剣を振るうことを選択した。そして,全体重をかけて剣を押し込んだ。



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