不登校だったおれが竜王相手に世界を守るために戦う話~学校に行けなくてもコマンド操作なら得意ですから~

文戸玲

招待者


 次の日から,ぼくは無視された。北井くんだけではなく,教室の全員から。

「日本に帰れ」

 かろうじて理解できた英語は,そのようなものばかりだった。原因は明らかだった。北井くんがぼくのことで何か言ったのだ。英語が話せないぼくには直接友達に聞く手段を持たなかった。

「北井くん、ぼく何かしたかな?」

 勇気を出して声をかけた。できるだけ,刺激しない言葉を選んだつもりだった。でも,北井くんはぼくの顔すら見たくないといった様子だった。

「知らないよ。自分で聞けば?」
「でも,ぼくはうまく話が出来なくて・・・・・・」
「そっか。お前ばかだもんな。じゃあ英語の勉強するか,帰ってゲームでもしてなよ」

 じゃあな,と言ってくるりと背を向けた。ぼくはひとりぼっちになった。きっと北井くんはゲームが嫌いで,オタクっぽいゲームをしているぼくに嫌気がさしたのだ。
 ぼくはオーストラリアでも人とうまくやれなかった。
結局ぼくは,ゲームの世界でしか楽しく過ごせない。自分もその世界に物理的に入り込めたら良いのに,と念じていたら,この世界に招待されていた。


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