不登校だったおれが竜王相手に世界を守るために戦う話~学校に行けなくてもコマンド操作なら得意ですから~

文戸玲

仮面

 その日から,ぼくに対する皆の目は変わっていた。ちょっとクラスで何かを話をするときなどはいつも意見を求められていた。たいした答えを出さなくても,なんとなくぼくが言った意見が正しいかのように丸く収まっていた。極端な意見を出さないと言うことが逆に波風を立てない理由であったのかも知れない。でも,もうそんな立場ではなくなっていた。なにを言っても説得力は無いし,思ったことを言ったところで次第に無視されるようにすらなった。
 時々,ぼくのことを気にしたそっちゃが声をかけに来てくれた。初めのうちはそれとなく話をしていたが,二人で話をしているところを見ると山根くんが間髪入れずに茶化してくる。それを聞いたクラスのみんながぼくたちを笑いものにする。そんな瞬間がぼくにはたまらなく辛い時間であり、耐えられなかった。そっちゃはどうかと言えば,周りがどんなリアクションをしようがお構いなしで,ぼくとのつながりを保とうとした。本人としてはそんなつもりはなかったのかも知れないが,ぼくはそっちゃから哀れみの感情からそばにいてくれているのだと勝手に解釈し,周りの視線とそっちゃのお節介に二重に苦しめられているような気がした。家に帰ると何でも無いような表情でさも学校が充実していたという封にお母さんに話をする。お母さんはそれが一番の幸福だというような顔をして微笑んでいる。
 どこにいても仮面をかぶり続けていた。
 ある日,耐えられなくなったぼくはその仮面を投げ捨てた。
 

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