不登校だったおれが竜王相手に世界を守るために戦う話~学校に行けなくてもコマンド操作なら得意ですから~

文戸玲

やればできる


「やればできるじゃないか。相手が子猫一匹だったことに目をつぶっても,良い集中力だった」

 短く伸びたあごひげをなでつけながら,小バカにしたような口調で老人は言った。

「何だったですか最初の演技は。あなた実はめちゃくちゃ強いんじゃないですか? いったい何者ですか?」

 わしは,と老人が遠くを見つめる目をして言った。その口元は緩み,明らかに過去の甘い思い出に浸っている様子だった。弱者を演じたり,風格を漂わせたり,子どものような幼い一面を見せたり,つかみ所の無い人だ。

「わしは,かつて勇者と呼ばれていた」

 ほっほっ,と笑いながら老人は歩みを進めた。気付けば村が目の前に見えてきていた。


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