異世界でも楽しんで生きていこう!

大黒蓮之助

情報交換



バカな争いが終わり、みんなで輪になり話し合いを始める。

「じゃあまずは偵察班の方からだな。何かあったか?町か集落があれば良いんだけど、せめて川はあってほしいな。」

「異常ぉなし!」

 一言でよくわからない言葉を発する人が一人。

「何が異常なしじゃぼけぇ!」

それに対してすぐにツッコミを入れる長池。

「いっちーは?」

「町らしきものも、道もなかったよ。さらに言えば川もなかった。」

「右に同じく。生物も見当たらなかった。」

「異常ありまくりじゃねぇか!だれだ異常なしとか言ったバカは!……モンスターも動物もいないってことはいい情報なんだろうけどさ。」

 突っ込むしかない……。

 ただでさえ、なにもわかってないのに、なにもないと来た。

「あはは!いつもどおりキレが良いね、二人とも。」

「場を和ますのにもっといい方法があるだろ……でどうする?パイセン。移動しようにも、水場がない。人手を増やして偵察しようにも、日が沈みかけてるときた。」

「そうゆう時は、小野か小熊が詳しいんじゃないの?そういう本をよく読んでるだろ?」

「そうは言ってもな。そうだ!ステータスの確認はしたか?もしかしたら何かしらのヒントがあるかもしれない!」

「それは一回目にやった。みんな魔法、車や武器のどれかを貰っただけだった。ちなみに、これで二回目な。」

「魔法があるならとりあえず土の塀でも作ったらどうだ?もしかしたら、夜になったら湧くタイプの世界かもしれないし。」

「それなら僕に任せてよ!塀とあとは堀があればとりあえず良いかな!?さらに四隅に監視塔みたいなのがあったらかっこいいよね!!」

 小熊ちゃんが張り切った様子で言ってくる。魔法を使いたくてたまらないのだろう。

「……ああ。とりあえずそれで良いんじゃない?魔力は足りるのか?」

「僕が神様に頼んで、全属性の魔法が使えるようになったからね!足りなかったらドレインタッチみたいので魔力をもらうよ。」

 全属性ってどこまで使えるんだろうか?という疑問は後で解消しておくことにして、まずはこんなもんかな?

「他に意見がないならこれでいこうと思うけど、どうする?」

「安全を完全に確保出来るとは言えないけど、それしか今のところは出来ることないからな。じゃあ、加藤が作業班のリーダーで指揮をとってくれ。そして手伝えそうなやつは手伝う。それ以外は休憩で。」

 いつも、家の仕事を手伝っている加藤が任命された。現場経験豊富なやつだから大丈夫だろう。休憩か……もったいない気がするな。

「ちょっと最後にいいか?周りの植物や木の実とかを取りに行きたいから、数人手伝ってくれないか?」

いつもの癖で手を上げてから発言する。こうしたら、みんな注目してくれるから結構便利。

「毒物かどうかもわからないのに、どうするんだ?」

「たぶんみんな持ってるだろうけど、鑑定を使ってみる。毒物かどうかはそれで判断できるはず。あとは冷えるだろうから、焚き火の材料も取らなきゃな。」

「……鑑定って金額を鑑定するんじゃないんだね。わかった。なにも出来なさそうな人は、小野ちゃんの指示に従うこと。あと坂倉とツカちゃんは残ってくれ。行動開始!」

 パイセンの合図とともに、それぞれのリーダーのところに人が集まっていく。

「しゃあない、小野ちゃんを手伝ってやるか。」

「せやな!俺ら魔法使えんしな!」

きっとこの二人は土木作業をやりたくないのだろう。こっちも結構めんどくさいと思うぞ?

「色々と言いたいことがあるけど、それは置いといて。金子も魔法使えるんだな!すげーじゃん!」

よしみと大作に引きずられていく金子を見て一言。

「いや俺魔法使えないからね!どう見たってイヤイヤ連れて行かれてるんだけど!?そんな冗談言ってないで小野ちゃん助けてぇぇぇ!!!」

「まあまあそう言わずにぃ。ちょっと加藤の前で座るだけだから。あはは!」

ただ単に面白そうだからやってるよしみ。

「そうだぞ金子。別にめんどくさい力仕事を押し付けるわけじゃないんだから。アハハ!」

 面倒事を押し付けようとしている大作。

「その笑顔怖い!さっき吐いたのまだ根に持ってるの!?謝ったじゃん!土下座したじゃん!お金あげるから許してぇぇ!!!」

 そう言って福沢諭吉の束を渡す金子。こっちの通貨って、もしかして日本円?そんなわけ無いか。おおよそ神様に金がほしいって言う。神様の前で吐く。神様が怒る。日本円を渡す。……的な流れなのじゃないだろうか?人を怒らせる才能は誰よりもあったからな……。

「そんなのケツ拭く紙にすらならねぇぞ?……このセリフ一度言ってみたかったんだぁ」

 なんかキメ顔で言ってるよしみ。俺が言おうとしてたのに!

「うん。まあ。頑張れ!!」

 とりあえず笑顔と親指を立ててあげた。自業自得だ。

「いやだぁぁ!!!!!」

 そんなことがあったが、みんなそれぞれの作業を進めていくのであった。

 ちなみに今のメンバー分けはこうなってる。

『作業班』加藤 小熊 大作 一丸 よしみ 金子。

『採取班』小野 長池 宿谷 虻川 緑川。

『その他』パイセン 坂倉 塚越 陳。

バランス良く分けられたんじゃないだろうか?陳くんは塚ちゃんと一緒。いつもどおりだ。その他のところは、何か今後のことを話し合っているのだろう。
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完成したという声が聞こえた、と言う緑川を信じて建設予定地に戻る。……どこが入り口なんだろうか?ぐるっと一周してみたけど、土の壁しかない。それに周りにあった木はどこにいったんだろうか?

「なぁ!どこが入り口なんだ!?」

 考えてもわからないから聞くしかない。

「なんだってぇ!?聞こえないなぁ!?」

「絶対聞こえてるやろハゲぇ!!!早く俺らを中に入れろや!!!」

 長池がキレた。

「お前、言って良いことと悪いことがあるだろ!!!もう入れてやんないもんねぇ。」

 よしみもキレながら顔を出す。どうやら、隅に登れるところを作ったようだ。

あいつまだ前髪が後退していることを気にしているらしい。伸びてんだから生え際なんてわかんねぇじゃん。

「そんなこと言って良いんかぁ!?こっちはとれたて新鮮のフルーツがあるんやで!?」

「毒入りのもんを渡そうとしたってそうはいかないぞぉ!鑑定の精度が悪いことは俺も知ってるんだからな!」

 どうやらそっちもそうらしい、こっちも実際鑑定したら名前以外はなにも出てこなかった。俺以外はという条件はつくけども。

「残念だったな!小野ちゃんの鑑定では、ちゃんと出たぞ!」

「まじでぇ!じゃあ入れるわ。」

そう言って、人一人通れそうな穴を開ける。どうやら飽きたようだ。

どうやって行けば良いんだ?と疑問に思ったが、深さ2m、幅3mぐらいの堀なので降りて飛べば届きそうだ。服が汚れるが気にしない。

中に入ると四隅に高さ3mぐらいの4、5人乗れそうな塔があり、それをつなぐように塀がある。簡単に入ることはできないが、出ることも出来ないという欠陥品だ。
まあ、土しかなく、時間もないので仕方がない。むしろこの短時間でよくここまで出来たな!魔法すげぇ!

そして三回目の会議が始まる時にとんでもないことが起こった。それは、みんなで飯を食おうとステータス画面を開いた時に起きる。

「じゃあパンを出しますか。ステータスオープン!」

『ステータスの統合が完了しました。閉じる。』

 なんだこのメッセージは。……そういえば最初に確認した時に『ステータス統合中……』とか書いてあったっけ。……なんかワクワクしてきたぞ!とにかく閉じるボタン押そ!



『ステータス』
【名前】佑介=小野
【種族】人→人神(種族変更可能)
【性別】男
【年齢】20
【称号】人を超えた者 別次元を経験してきた者 転移者 限界を超えた者 
【レベル】1→3136
【HP】100/100→131239/131239
【MP】50/50→174983/174983
【筋肉力】10→87471
【持久力】10→174943
【瞬発力】10→87471
【運】10→10
【固有スキル】神眼 不老不死
【ユニークスキル】異世界言語翻訳 自動マップ作成 種族変更 亜空間倉庫 ステータス偽装 通話 千里眼 戦闘術 魔闘術 魔法薬作成 採取 生産
【スキル】鑑定Lv99 ステータス隠蔽Lv99 アイテムボックスLv99 手加減Lv99 読唇術Lv99 威圧Lv99 遠見Lv99 隠密Lv99 敵感知L99 気配感知Lv99 毒耐性Lv99 剣術Lv99 刀術Lv99 槍術Lv99 杖術Lv99 弓術Lv99 筒術Lv99 騎術Lv99 調教Lv99 魔武器作成Lv99 魔装備作成Lv99 建設Lv99 造船Lv99 造車Lv99
【ユニーク魔法】召喚魔法 付与魔法
【魔法】初級魔法(生活魔法:回復魔法) 下級魔法(炎魔法:水魔法::土魔法:風魔法) 中級魔法(火魔法:氷魔法:地魔法:雷魔法)上級魔法(光魔法:影魔法) 超級魔法(聖魔法:闇魔法)
【加護】天照大御神の加護



ちょっと待って欲しい。色々と変わりすぎてわけ分かんない。ってかそれ以上に……。

「人間やめちゃったんだけどぉぉぉ!!!!!」

 一人の虚しい叫びが、夜に響き渡るのであった。

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