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少女がいかに不幸せであったかという話

うたいはじめ

いつつめ、という名のおわり

少女は幸せであった。
前述した以外にも、少女は幸せな日々を送り幸せな環境でぬくぬくと過ごしていた。少女は総じて幸せであった。しかし少女が二十歳を迎え、1人の女になった時、この幸せの裏に潜む不幸せに気付いてしまったのである。この女の思う不幸せは、他人からすれば如何ってことないことであるかもしれないが、女にとっては一大事であった。思い描いていたものとのギャップで、女は急に恥ずかしくなり、苦しんだ。じっとりと汗ばみながら、写真やSNSなど、過去の産物を見返していく。輝いていたはずのそれらは、濁って見える。女からすると、少女の世界は焦げた料理の匂いがした。身体の末端からじんわりと冷えていくのが分かり、これが絶望という感情なのか、と、ひとつ学んだが、代償が大きすぎる。
幸せな少女だった女は、現在不幸せである。

しかし女は、過ちに気がつくことが出来た。人間としての成長ができたと言える。女は自身の愚かさに気付き、すっかり自信を無くしたが、これ以上醜態は晒さずに生きていけると思えた。

女は幸せである。




果たして本当にそうだろうか。少女の心地良かった世界は崩れてしまったわけであり、先に述べた女の幸せについては、前向きに捉えようと無理をしているだけである。女は不幸せである。女は不幸せである。今不幸せでないと、この先に幸せが来なくなってしまう。幸せと不幸せは常に混じり合っているから、女は自分を幸せだと思うことが恐怖に感じている。女は不幸せである。

総じて、女は不幸せであり、少女は不幸せであった。

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