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少女がいかに不幸せであったかという話

うたいはじめ

みっつ

少女は幸せであった。
少女は恋をすることも、実らせることもできた。器量こそ良くはない少女だが、とにかく真面目な子どもであった。真面目さから一生懸命に生きる姿は、少年にとって魅力的であった。しかし少女は、鏡を見ることに躊躇うことがなくなってしまった。恋に不自由がなかったことから、自身を美しい容姿であると勘違いしていた。これは、少女が唯一、少女である時に気付いた間違いであるが、それは結局、少女を辱め殻に閉じ込める要因になる。少女の口角や表情筋は重く固くなり、ついに純粋な笑顔で写真に映ることはなくなった。

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