忘れられない

水月紫苑

温もりを覚えてる2

返信してから吸い始めたタバコが終わるが、まだ先輩からの返事はこない。


場所を変える気にもなれずめずらしく三本目の煙草に火をつけた。


『どうしてかえってくんだろうなー。なにかあったのかな?そもそも
なんでまた私に連絡をくれたのだろう?私からは連絡なんて全然できなかったのに…』


思考がぐるぐると同じところを巡っている。


そうこうしていると、風が強く吹き始めて、銜えているだけの煙草が徐々に灰になって飛んでいく。


さすがに周りに何もないのでだんだんと体が冷えてくる。


銜えていた煙草を灰皿で消して、立ち上がる


「帰るか」


そう呟いてその場から歩き出すと携帯が鳴動する。


電話だ…。


今度は努めて冷静に、表示名を見ることができた。


<先輩>


「おばっふぅ!」


やっぱり変な声が出た。
その勢いで通話ボタンを押してしまう。


『 もしもし ?』


久々に聞く 先輩の声は 私の 心を 撃ちぬいた

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