転んだら異世界統一の刑だった! 〜元暗殺者の国盗り物語〜 第一部

流川おるたな

転生人

「水遁!水泡連撃(すいほうれんげき)の術!」

 俺の苦手とする水遁か!

「ダッダダダダダダダダッ!」

 サイゾウが声を上げて両腕を動かし、野球ボール大の水球が凄まじい速さで飛んで来た!

 避けても避けてもマシンガンのように次から次へと撃ってくる。

「つっ!」

 右腕に掠っただけで激痛が走る威力だ。

「水遁!水壁(すいへき)の術!」

 俺は咄嗟に水の壁を出現させて防御に切り替える。
 水球は水の壁に当たると消滅し防御策は功を奏した。

 奴の忍術を放つ声が聴こえる!

「土遁!岩石落しの術!」

「ボゴボゴボゴボゴボゴゴゴゴゴゴッ!」

 地面から直径1m前後の岩が数十個飛び出し、ほぼ真上から広範囲に渡り俺に向かって落ちてくる!

「土遁!土竜(もぐら)の術!」

 素早く土を掘り地中に潜って何とか回避できた。
 間抜けな術で使いたくなかったが背に腹は代えられない。

 奴は忍術も一流のようだ。ここは体術勝負で行ってみるか… 

「いつまで地中にいるつもりだ。それでは反撃も出来んぞ」

 言われなくても分かってるよ!

「ボゴッ!」

 ハンゾウの足下から飛び出し鉄の剣で切りつける!

「キィン!」

 予測していたのか!?奇襲は簡単に刀で受け止められた。

 そこから俺は鉄の剣で怒涛の攻撃を繰り出す!
 ここでも暗殺者時代に訓練した居合道や剣道などの技術が活かされる。

 何十合と剣と刀の技をぶつけ合い徐々に俺が圧していた。
 どうやら剣術においてはこちらに分がある!

「ザン!」

 俺の剣が遂にハンゾウの右肩を斬る!
深くは無いが初めて身体にダメージを与えたのだ。

「ボン!」

 煙玉!?突如として煙が上がり俺の視界から奴の姿が消える!

 前進して煙から抜け出すと距離を取ってハンゾウが立っていた。

「剣術では貴様に分があるのは認めてやろう。だが、残念なことにそれだけではオレに勝てんがな」

 こいつ実力者の癖に自分を過信しないタイプか…やっかいだな。
 自分の力を過信してくれれば隙が生じるのだが、ハンゾウにはそれが無いという事だ。

「貴様はこのまま殺してしまうには惜しい男だ。少しおもしろい話をしてやろう」

「おもしろい話?」

 決闘中に話すことってなんだ?まあ貴重な情報を得られるのであれば聞いてやろう。

「オレは転生人だ。15年ほど前この世界に転生された」

「転生人!?」

 師匠から聞いた話は本当だったな。
という事はこの強さで更に何か特別な能力を持っているというのか…

「貴様の強さはなりたての忍者とは到底思えん。それに先ほど見せた剣技はこの世界で目にした覚えがないものだ。貴様も転生人なのだろう?」

 御名答。

「だったら何だと言うんですか?」

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