転んだら異世界統一の刑だった! 〜元暗殺者の国盗り物語〜 第一部

流川おるたな

九字印

 そっか、御老体を気遣った戦い方をしているのはバレバレですか...

 それに師匠は現役を退いていたとはいえ、俺の予想を遥かに超える強さだった。

 俺は両膝の土を払いながら立ち上がって九字印を結ぶ。

「臨、兵、闘、者、皆、陣、烈、在、前!チャクラ開放!」

「ボッ!」

 初めてチャクラを生み出した時のように、体内からチャクラが溢れ身体を包む。

「じゃあ一瞬でケリをつけちゃいますけど、あとで泣かないでくださいね」

「なに!?」

「雷遁!雷閃光(らいせんこう)の術!」

「ヒュッ!」

 俺は瞬間移動したかのような速さで師匠の横を通り過ぎ、手には黒い布を握りしめていた。

「これで忍者のこれで試験は合格ですね」

 師匠は何が起こったのか分からないといった顔で俺を見て言う。

「み、見事だ」

 ロロアさんが試験終了を告げる。

「黒布の奪取成功により忍者免許皆伝試験はこれにて終了とする!」

 試験が終わったところで、上で観ていたシャーリが下へ降りて来た。

「レオンやったね!後半は何が起こってるのか分からなかったけど凄かったよ〜!」

「ハハ、ありがとうシャーリ」

 雷神憑依を解いた師匠が歩いて近寄り懐から何かを取り出した。

「我が弟子レオンよ、これは忍者免許皆伝証だ。お主が忍者であることの証明になる大切にするんだぞ」

 和紙のように丈夫な紙で作られた証明書を受け取り、俺は深々と頭を下げる。

「ありがとうございます。師匠の弟子として恥じぬよう精進いたします」

「有言実行。本当に3ヶ月で忍者になれましたね!おめでとうございます!」

 ロロアさんが笑顔で祝いの言葉をかけてくれた。


 その夜は忍者になった祝いと、俺とシャーリの送別会を兼ねて宴会が行われた。
 宴会には家のご近所さんも含めて20人以上が集まった。

 シャーリはこの3ヶ月で魔法と錬金術を駆使し、ご近所さんの手伝いや悩みなどを解決してちょっとした人気者になっていたのである。

「シャーリちゃんが居なくなると寂しくなるねぇ」

 などとおじさんやおばさんに旅立つことを惜しまれていた。

 俺は隣に座る師匠に質問を投げかける。
「師匠、ハンゾウに挑戦するための条件として忍者である事の他にも条件があるのでしょうか?」

 だいぶ酒が入って赤くなった師匠が答える。

「そうだのう。訊いた話では1億ギラの献上が必要のようだぞ」

「い、1億ギラ!?」

 挑戦権を買い取るようなものだろうが高すぎる...

「そんな顔をするな、お前はわしの愛弟子だ。1億ギラくらいわしが貸してやるわい。ただし、出世払いの倍返しで頼むぞ。ホホホ」

 倍返しは冗談だろうが、俺は3倍返ししても良い気持ちになっていた。

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