転んだら異世界統一の刑だった! 〜元暗殺者の国盗り物語〜 第一部

流川おるたな

錬金術マスター本

 結局ロロアさんが個別に部屋を準備してくれた。
 てっきり畳張りの部屋かと思っていたが、床はフローリングで壁や天井も和風感が全く無い。

 俺の身体は体力的な疲れは余り無いのだが、精神的な疲れは普通にあるらしく、ベッドに上がり昼寝しようと横になる。

「バーン!」

 シャーリが勢い良く部屋のドアを開ける音だった。

「ねぇねぇ!思ったんだけど、レオンが修行している間わたしは何してれば良いかな?」

 もう少し静かに入れないのだろうか...しかしそう言われるとそうだな。

「因みにシャーリは3年間あの家で何して過ごしてたの?」

「え、ああ。魔法の研究や練習をしたり、本を読んだり絵を描いたり、魚釣りや買い物に行ったりあとは家事かな〜」

 滲み出るスローライフ感。

「取り敢えず今まで通りで良いんじゃないな?あと時間があれば俺の修行を手伝ってくれるとか?」

 答えたがシャーリは不満げな顔をしている。

「レオンが修行して強くなるんなら、わたしも何か身に付けて進歩したいんだよ〜」

「ご心配には及びませんわーーーっ!」

 ロロアさんが何やら分厚く古そうな本を手にして会話に割り込んだ。

 シャーリにその本を渡して言う。

「これをシャーリさんに渡すよう御館様から預かりました。錬金術マスター本らしいのですが、「わしにはサッパリ分からんからやる」だそうです」

 本を開いたシャーリが目を輝かせる。

「ありがとう!ロロアさん!ガビトさんにもあとでお礼を言います。この本はわたしにとって宝石箱以上のの価値がありますよ〜!」

「かなり喜んで頂けたようでわたしも嬉しいです。あ、そうそう。夕食の準備が整いましたらまたお知らせしますので、それまでごゆっくりどうぞ」

 そう言ってロロアさんは部屋を去った。

「めちゃくちゃ喜んでるけど、その本って何がすごいの?」

 まだ目を輝かせたままのシャーリが答える。

「簡単に言うとねぇ、この本は凡人が読んでも意味も分からないからゴミ同然何だけど、天才賢者のわたしなら書いてある事を理解できるから宝石箱以上の価値があるの。つまりこの本に書いてあるのは錬金術の基本からマスターする術が書いてあって、錬金術をマスターした暁には「賢者の錬金術師シャーリ」の誕生という訳なの」

 簡単と言った割には長かった。

「要するに俺が忍者の修行をしている間に、シャーリは錬金術をマスターして強くなるって事で良いかな?」

「そういうこと〜」

 これでシャーリの時間も有意義に使えるようになった。


 いつか紹介するが、この家にはガビトさんとロロアさんの他にあと6人も住人が居て夕食はとても賑やかなものになった。

 明日は厳しい忍者修行の初日である。

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