線香花火
北条さん、俺はやり遂げる
今日で一学期が終わる。夏休みになったら鈴さんに会えない。渡すのは、今日しかない。俺は、自分の歌を吹き込んだCDRを鞄に入れた。CDRはダウンロードした無料音楽ソフトを使ってパソコンで作成した。
「今日から夏休みだけど、みんな羽目を外すなよ。宿題ちゃんとやってこいよ」
と、最後に金手がそう言ってホームルームは終わった。
一学期の成績は、あまり良くなかった。中間テスト前は、渡辺鈴のことばかり考えていて勉強が覚束かなかった。期末テストの前は作曲活動に没頭した。この結果、中間、期末とも、どの教科も点数が低かった。それが、成績に反映された。しかし、全く気にならない。鈴さんにCDRを渡す。そのことの方が、学校の成績よりも大事だった。
「俺、行ってくるよ」
俺は元村に言った。
「まあ、がんばれよ」
ぽんっと元村に肩を叩かれた。
「元村、言い忘れてたけど、俺、武士なんだ。」
「は?武士って。」
と言って元村は笑った。
「確かに、今のお前、武士のような顔してんなあ」
俺はゆっくり一歩ずつ歩いて行く。頭には武士の姿が浮かんでいた。北条さん、俺はやり遂げる。ゆっくりと深呼吸をした。けれども、心は落ち着かなかった。鈴さんの席の前に立った。鈴さんは、教科書を鞄に詰めているところであった。
「今日から夏休みだけど、みんな羽目を外すなよ。宿題ちゃんとやってこいよ」
と、最後に金手がそう言ってホームルームは終わった。
一学期の成績は、あまり良くなかった。中間テスト前は、渡辺鈴のことばかり考えていて勉強が覚束かなかった。期末テストの前は作曲活動に没頭した。この結果、中間、期末とも、どの教科も点数が低かった。それが、成績に反映された。しかし、全く気にならない。鈴さんにCDRを渡す。そのことの方が、学校の成績よりも大事だった。
「俺、行ってくるよ」
俺は元村に言った。
「まあ、がんばれよ」
ぽんっと元村に肩を叩かれた。
「元村、言い忘れてたけど、俺、武士なんだ。」
「は?武士って。」
と言って元村は笑った。
「確かに、今のお前、武士のような顔してんなあ」
俺はゆっくり一歩ずつ歩いて行く。頭には武士の姿が浮かんでいた。北条さん、俺はやり遂げる。ゆっくりと深呼吸をした。けれども、心は落ち着かなかった。鈴さんの席の前に立った。鈴さんは、教科書を鞄に詰めているところであった。
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