線香花火
ギター弾き
家に帰ると、刀を見つめながら考えていた。鈴さんにどうやって、気持ちを伝えよう。玲那の応援を受けて、俺の恋の炎は燃えていた。しかし、名案が浮かばない。すると携帯電話が鳴った。元村からだった。
「よお。今からお前の家行ってもいいか?」
「なんだよ急に」
「すげえもん見つけた」
「なにそれ?」
「音楽だよ。音楽。金手が勧めてた音楽。聴いてみたんだ。それが、すげえ」
担任の金手はことあるごとに音楽の話をしていた。特にオアシスの話をよくしていた。俺は、ロックに興味が無かったので聞き流していた。
しばらくして元村がやってきて、部屋のステレオにCDを入れた。
「これだよ。これ。3番の曲」
元村が再生ボタンを押すと音楽が流れた。アコースティックギターの音だ。その音色は、今まで聴いたことのないものだった。そしてボーカルが歌い出す。その声は、美しく伸びやかだった。衝撃だった。ビリビリビリと全身に電流が流れたようだった。そして思った。これだ!俺が鈴さんに気持ちを伝えるにはこれしかない。アコースティックギター。そして、歌だ。俺は今、自分の刀を見つけた。
「これ、なんて曲?」
「オアシスの『ワンダーウォール』。どうだ。すげえだろ」
「すげえ。すげえよ。こんな曲聴いたことねえよ」
「だろ?俺もだ」
「元村。俺、ギターやる」
頭に武士の姿が浮かび上がった。俺は階段を下り、外へ出た。蔵に入ると、黒いギターケースを掴んだ。駆け足で家に戻ると、茶の間にいる父親の忠夫に言った。
「親父、このギター借りてもいい?」
「おお。ギター始めるのか?いいぞ。やれやれ。教えてやろうか?」
「いい。いい。独学でやるよ」
「そうか。頑張れよ。弾けるようになったら聴かせてくれ」
「ああ」
自分の恋愛のために、親の力を借りるのが恥ずかしかった。忠夫の学生時代はフォークブームの真っ只中であり、忠夫もまたのめり込み、高田渡、泉谷しげる、吉田拓郎などを好んで聴きコピーしたらしい。友達の前で披露して、褒められたこともあったとよく自慢していた。今日から俺もギター弾きだ。
「よお。今からお前の家行ってもいいか?」
「なんだよ急に」
「すげえもん見つけた」
「なにそれ?」
「音楽だよ。音楽。金手が勧めてた音楽。聴いてみたんだ。それが、すげえ」
担任の金手はことあるごとに音楽の話をしていた。特にオアシスの話をよくしていた。俺は、ロックに興味が無かったので聞き流していた。
しばらくして元村がやってきて、部屋のステレオにCDを入れた。
「これだよ。これ。3番の曲」
元村が再生ボタンを押すと音楽が流れた。アコースティックギターの音だ。その音色は、今まで聴いたことのないものだった。そしてボーカルが歌い出す。その声は、美しく伸びやかだった。衝撃だった。ビリビリビリと全身に電流が流れたようだった。そして思った。これだ!俺が鈴さんに気持ちを伝えるにはこれしかない。アコースティックギター。そして、歌だ。俺は今、自分の刀を見つけた。
「これ、なんて曲?」
「オアシスの『ワンダーウォール』。どうだ。すげえだろ」
「すげえ。すげえよ。こんな曲聴いたことねえよ」
「だろ?俺もだ」
「元村。俺、ギターやる」
頭に武士の姿が浮かび上がった。俺は階段を下り、外へ出た。蔵に入ると、黒いギターケースを掴んだ。駆け足で家に戻ると、茶の間にいる父親の忠夫に言った。
「親父、このギター借りてもいい?」
「おお。ギター始めるのか?いいぞ。やれやれ。教えてやろうか?」
「いい。いい。独学でやるよ」
「そうか。頑張れよ。弾けるようになったら聴かせてくれ」
「ああ」
自分の恋愛のために、親の力を借りるのが恥ずかしかった。忠夫の学生時代はフォークブームの真っ只中であり、忠夫もまたのめり込み、高田渡、泉谷しげる、吉田拓郎などを好んで聴きコピーしたらしい。友達の前で披露して、褒められたこともあったとよく自慢していた。今日から俺もギター弾きだ。
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