放課後の事件簿〜この美人探偵は凄腕なのにやる気がない〜

黄舞

第5話

「これが……あの日乗ってた冷車れいしゃ……と同じやつだ。本当のやつは今警察だ……」
「はぁはぁ。なるほど。改めて近くで見ると結構大きいのですね。中を拝見してもよろしいでしょうか?」

笹山さんに連れられて外の倉庫にある件の冷蔵車を見せてもらっています。どうやらというか、事故にしろ殺人にしろ事件があった車両ですから、実際の車は証拠として警察に預けられているようです。
笹山さんは無言で頷きながら後ろに周り、扉を開けて中を見せてくれました。この笹山さんという方は歳は50歳くらいでしょうか。白髪が混じった短髪で、顔には日焼けとシワが目立ちます。

体付きは大きく、巻くし上げた袖から見える腕は僕の脚くらいありそうです。性格は落ち着いていると言うよりは、人間関係が苦手そうです。ぼそぼそと途切れ途切れに話すので少し聞き取りにくいです。

「中は……当然カラなのですね。当日は相当な量が積まれていたのですか?」
「いや……最近は不景気でな。ウチみたいな零細には仕事が回ってこないんだ……しかし大手はいつも人手不足って言ってやがる……全く嫌な世の中だぜ……」

「では当日はそんなに積荷は多くなかったと?」

笹山さんはまた無言で頷きました。その笹山さんに向かってさっきは無言を守っていた先生が突然質問を始めました。

「お前が最後にガイシャを見たのはいつだ?」
「……外車?」

「被害者、つまり社長だ」
「詳しく覚えてないが……事件の三日前が最後だな……」

僕はメモを取りながら、おや? と思いました。その間二人はお互いどこにいたのでしょう?

「すいません。その三日前から事件までは社長と笹山さんはそれぞれどうしていたんです?」
「俺は隔日で夜にここに来て運転して夕方に車を返す……社長会うのは……いつも車を返す夕方だな……毎日社長はその時間は会社にいるんだ……次の日は俺は休みだったし、その次の日は社長はもう帰っている時間だ……」

事件の三日前、つまり24日の夕方という事ですね。25日は休みで、26日の夜に車に乗って運転し、27日の朝に死体になった毛利社長と再開したと。ちゃんとメモ取りましたよ。
あれ? 僕は時系列のメモを見て、疑問に思いました。あとで先生に聞いてみましょう。

「ちなみにこういっては失礼なんですが、笹山様が毛利様の死因に直接的に関連しているなんて話もございまして……」
「俺はやってない!!」

今までの声とは打って変わって大きな声を出して、笹山さんは冷蔵車の荷台の壁を勢いよく横手でん殴りつけました。僕はびっくりして身体に電気が走ったみたいにビクッとしてしまいました。轟さんは相変わらず同じ笑顔です。

「分かりました。大変失礼いたしました。また何かあればよろしくお願いいたします」
「俺は……やってない……」

去り際に呟いた笹山さんの顔は、とても悲しそうな表情をしていたように見えました。

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