恋愛・ラブコメ短編集
超年の差結婚だけど幸せでした! でも短すぎる夫婦生活だったのでやり直しを希望します!【2】
旦那様、会いたいの―――
旦那様の最初の印象はね、優しいおじちゃん。
小さいころに、何度も高い高いをして遊んでくれた、シルバーグレイの髪をした、ちょっと怖いけど優しいおじちゃんよ。
わたしのお兄様とかお姉様とかはどうしてか旦那様の顔を見ると泣き出しちゃってたんだけど、わたしにはどうして泣くのかがわからなかった。
だって、旦那様ってばすっごく優しいもの。
俺なんかの婚約者にされてかわいそうになぁっていつも言っていたわね。
でもね、わたし、大好きな優しいおじちゃんが、大好きな優しい婚約者になって、そして大好きな優しい旦那様になった――、この人生を「かわいそう」なんて思ったことは一度もないのよ。
ただ一つ悔やむことがあると言うのなら、もっと早くに出会いたかったということだけ。
旦那様との間に子供を作って、孫が生まれて――、そんな時をすごしたかった。
ねえ旦那様――
会いたいの……
「おい、嬢ちゃん! こんなところに寝てたら風邪ひくぞ!」
ゆさゆさと体が揺すられて、わたしはゆっくりと瞼をあげた。
「わたし……」
明るい。
ゆっくり起き上がって、わたしは墓地の中を見渡して、ああ――、あのまま寝ちゃったのねぇって納得しちゃった。
女神像を蹴飛ばし続けて、泣き続けて、疲れて寝ちゃったみたい。
うー、旦那様がもし生きていたら、絶対叱られていたわね。
「……旦那様ぁ」
旦那様の顔を思い出してまた泣きだしたわたしは、「お嬢ちゃん」と呼ばれて顔をあげた。
もう何よ。わたしは泣きたい気分なのよ! 好きなだけ泣かせてよ。まだ旦那様がいなくなって三日しかたっていないんだか―――え?
パチパチと目をしばたたく。
墓地に座り込んでわんわん泣くわたしを見下ろしていたのは、シルバーグレイの短い髪に、灰色の瞳をした、厳つい顔をした男性。三十前後くらいかしら。でも――
「旦那様……?」
わたしは茫然とつぶやく。
だって、右目の下から頬にかけて走る傷跡も、一見怖そうだけど本当は優しい光をたたえる双眸も、太い眉も――。そこにあるのはわたしの知る旦那様をずっと若くしたような男性の姿。
彼はポリポリと頬をかいてから、小さく笑った。
「残念ながら俺はお嬢ちゃんの旦那様じゃないな。こんなに可愛い嫁さんは俺にはもったいないよ」
間違いない。
照れたときに目をすがめて笑う、旦那様の顔。
若かりし頃の旦那様――、サイファス・バローク様が、わたしの目の前にいた。
旦那様の最初の印象はね、優しいおじちゃん。
小さいころに、何度も高い高いをして遊んでくれた、シルバーグレイの髪をした、ちょっと怖いけど優しいおじちゃんよ。
わたしのお兄様とかお姉様とかはどうしてか旦那様の顔を見ると泣き出しちゃってたんだけど、わたしにはどうして泣くのかがわからなかった。
だって、旦那様ってばすっごく優しいもの。
俺なんかの婚約者にされてかわいそうになぁっていつも言っていたわね。
でもね、わたし、大好きな優しいおじちゃんが、大好きな優しい婚約者になって、そして大好きな優しい旦那様になった――、この人生を「かわいそう」なんて思ったことは一度もないのよ。
ただ一つ悔やむことがあると言うのなら、もっと早くに出会いたかったということだけ。
旦那様との間に子供を作って、孫が生まれて――、そんな時をすごしたかった。
ねえ旦那様――
会いたいの……
「おい、嬢ちゃん! こんなところに寝てたら風邪ひくぞ!」
ゆさゆさと体が揺すられて、わたしはゆっくりと瞼をあげた。
「わたし……」
明るい。
ゆっくり起き上がって、わたしは墓地の中を見渡して、ああ――、あのまま寝ちゃったのねぇって納得しちゃった。
女神像を蹴飛ばし続けて、泣き続けて、疲れて寝ちゃったみたい。
うー、旦那様がもし生きていたら、絶対叱られていたわね。
「……旦那様ぁ」
旦那様の顔を思い出してまた泣きだしたわたしは、「お嬢ちゃん」と呼ばれて顔をあげた。
もう何よ。わたしは泣きたい気分なのよ! 好きなだけ泣かせてよ。まだ旦那様がいなくなって三日しかたっていないんだか―――え?
パチパチと目をしばたたく。
墓地に座り込んでわんわん泣くわたしを見下ろしていたのは、シルバーグレイの短い髪に、灰色の瞳をした、厳つい顔をした男性。三十前後くらいかしら。でも――
「旦那様……?」
わたしは茫然とつぶやく。
だって、右目の下から頬にかけて走る傷跡も、一見怖そうだけど本当は優しい光をたたえる双眸も、太い眉も――。そこにあるのはわたしの知る旦那様をずっと若くしたような男性の姿。
彼はポリポリと頬をかいてから、小さく笑った。
「残念ながら俺はお嬢ちゃんの旦那様じゃないな。こんなに可愛い嫁さんは俺にはもったいないよ」
間違いない。
照れたときに目をすがめて笑う、旦那様の顔。
若かりし頃の旦那様――、サイファス・バローク様が、わたしの目の前にいた。
「恋愛」の人気作品
書籍化作品
-
-
4
-
-
1168
-
-
381
-
-
3
-
-
70810
-
-
238
-
-
125
-
-
0
-
-
124
コメント