100年生きられなきゃ異世界やり直し~俺の異世界生活はラノベみたいにはならないけど、それなりにスローライフを楽しんでいます~

マーくん

第15話 ラスクさん大喜びです。

ミーアが仲間になって、2人で街に戻ることにした。

クリックリー・ビーはどうしたって?

実は、俺がこの森に入る直前にミーアが森中のクリックリー・ビーを倒してしまっていたみたい。

たくさんの死骸がミーアの寝床に置いてあったんだ。

巣もたくさんあって蜂蜜取り放題。
未だ新鮮そうだし、大丈夫だと思うから持って帰って来た。

森を出るまで、2人で魔物倒し競争を楽しむ。

もちろん、魔物は全て俺の収納の中に。


何匹か、ミーアが燃やしてしまったのもいるから、それは美味しく頂きました。


その間に風魔法初級も覚えた。火、水に続いて風とだんだんチート臭くなってきたような。


森を抜けるとすぐに街道に出る。

ちょうど行商の馬車が通り掛かったから、用心棒を兼ねて乗せてもらった。

依頼帰りの冒険者達にとって帰り道の商人護衛は、臨時収入になるし、商人達もギルドに頼むよりも安全を安く買えるから、双方メリットがあるんだ。

本当は、Fランク冒険者なんて相手にされないんだけど、ラスク亭の専属って言ったら、大歓迎された。

ラスクさんって、有名人っぽい。

何匹か魔物が現れたけど、ミーアがサクッと退治してくれた。

「2人共ありがとうよ。
助かったよ。また機会があったらよろしくな。」

門の手前で馬車を降りて、行商人のアビルさん達と別れる。

身分証の無いミーアが一緒だから、門から入るのは難しいからね。

「さてと、ミーア。小動物になれる?

身分証が無いと門を通る時厄介なんだよ。

中に入ったら冒険者ギルドで身分証を発行してくれると思うからさー。」


「分かったよ。猫でいい?」

ミーアはそう言うと、子猫に変身した。

「か、可愛い!モフモフだし。」

ミーアが変身したのはペルシャ風の子猫ちゃん。

モフモフでくりっとした目が愛らしいのに、気高さがある。

「どうよ。可愛いかったら可愛いって言っていいのよ。」

「可愛い!」

ツンデレな言い方に、思わず頬ずりしてしまった。

「ち、ちょっと、何するのよ。
会ったばかりなのに、ま、未だ早いわよ。」

嫌がる素振りでは無いが、身をよじって逃げようとするミーア。

思わず我にかえる。

「ご、ごめん。つい可愛くって。」

「まぁ、たまにだったらいいわよ。
でも先に声を掛けてね。
びっくりするから。」

子猫の姿のまま、照れながら話すミーアにまた萌えて、頬ずりしてしまった。

「もおお、だから先に言ってって言ったでしょ。」

今度は逃げようともしなかったので、怒っていないということにしよう。


俺はミーアを懐に抱いて今朝出て来た門から再び街の中に入った。

ミーアを連れていても何も言われなかった。子猫に化けているのだから当然か。


そのまま、ラスク亭に向かう。

「ラスクさん、ただいま戻りました。」

「おー、ヒロシ君戻ってきたのかい。どうだい食材は確保できたかい?」

「ええ、予定の物は採れたと思います。その他の物はよく分からなかったので、適当に取ってきました。」

俺は、背中に背負ったリュックサックから今日狩ったものの一部を取り出す。

事前に収納からリュックに一部を移しておいたのだ。

だって収納のスキルって希少な能力で、秘密にするのがラノベの常識でしょ。

リュックに入った分は全体の1%程度だ。とりあえず予定の食材については、常識の範囲で。

その他については、少しづついろいろ入れてみた。

どれがどの食材かを知りたかったのもあるし。

「どれどれ。おーこれは大猟だな。しかも希少な獲物も結構混じっているじゃないか!」

ラスクさん、リュックの中身を確認して少し興奮気味だ。

「全て新鮮だし、傷も少ない。おっ、この角ウサギにいたっては頭に少し穴があるだけで全く無傷じゃないか!

こいつ動きが速すぎて広域魔術を使わないと確保できないことの方が多いのに。

こんなに良い状態のものは初めて見たぞ。」

興奮気味じゃなかった。絶賛大興奮中だ。

ちょっと前にミーアが狩ったというクイックリー・ビーも問題なさそうだな。


「よし、依頼していた食材については全く問題ない。
それとこの角ウサギや泡リスなんかの魔物についても状態が良いから食材としてだけでなく、皮や角なんかも高額で売れるぞ。

食材以外の部分もウチで買取りが出来るが、専門店に持って行っても構わない。どうする?」

「毛皮の看板が出ていた店に持って行きたいと思います。こちらに来てすぐにお世話になったんです。」

「毛皮の看板?ああ、スタイロンのところか。ヒロシ君、良い店に目をつけたな。

スタイロンなら良心的で一番適正に買い取ってくれるに違いない。

特にこの状態の物なら、大喜びで買ってくれるはずだ。」

「あの店のご主人はスタイロンさんって方なんですか。」

「なんだ、知らなかったのか。アイツは10年前まで、この王都でA級冒険者として活躍していたんだぞ。

ギルドマスターのホールドと一緒にパーティーを組んでいたドラゴンスレイヤーだぜ。」

ドラゴンスレイヤーってドラゴンを倒した人?

すげえ、ラノベの主人公で勇者じゃないか。

俺はラスクさんに獲物の査定をお願いして、スタイロンさんの店に向かう。

ラスクさんの店を出て、すぐの路地に入り辺りの様子を窺がう。

誰もいないことを確認してから子猫姿のミーアを懐から出して人間の姿になるように促した。

「ふうー。やっぱり僕はこの姿の方がいいかも。子猫のままだとドキドキして大変だもの。べ、別にヒロシの懐にいるのが緊張した理由じゃないからね。」

顔を真っ赤にして必死に言い訳するミーアに萌え萌えだが、さすがに人間の形をしているミーアを抱きしめないだけの自制心はある。

俺の様子にまた抱きしめられると思ったのか、ミーアが後じさりする。

「また僕を抱きしめてくるのかと思ったよ。もーう、止めてよね!ほんと緊張して頭から湯気が出そうなんだからね。」

ミーアの僕っ子は未だ健在だが、言葉使いはすっかり女の子の物になっている。

少し俺に打ち解けてくれたのが嬉しかった。





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