永遠の抱擁が始まる

悪魔めさ

番外編【天使たちの裁き】

 たまに人間でもいるでしょう?
 前世の記憶を持ったまま産まれてくる人が。
 あれはね、僕ら天使のうっかりミスなんだ。
 たまにそうじゃない場合もあるけどね。

 本来ならきちんと前世の記憶を消してから転生させてあげないといけないの。
 そういった記憶の管理をちゃんとしておかないと、その人は生まれながらに複数の人生経験を持っちゃってるわけだから、脳に負担がかかっちゃうんだね。
 よほど強い脳でないと、とてもじゃないけど前世と現世、2人分の思い出には混乱しちゃう。
 周囲の人間とのコミュニケーションにも不備が出てきちゃう場合も多いしね。

 そんなわけで僕ら天使は基本的に、やって来た魂から前世と天界の記憶を一時的に消してあげて、それで生まれ変わってもらってるわけ。
 魂だけの存在だったら脳とか関係ないからいくらでも覚えてもらってて構わないんだけどね。
 でも肉体を得る場合、つまり生まれ変わるときね。
 そのときは前世の記憶って脳にとって邪魔になっちゃう。

 前世の記憶が残ってる人っていうのはだから、僕らが記憶を消し忘れられちゃった場合がほとんどなんだ。
 ホントごめんなさいみたいな気持ち。

 とはいっても僕は天使のお仕事に戻ってかれこれ五千年になるけども、まだそういった失敗をしたことがない。
 だって僕、魂の生まれ変わり先を決めることが担当なのであって、下界に送り出す係じゃないんだもん。
 失敗のしようがないよ。

 今日もここ天界には続々と魂たちが昇ってきている。
 動物も植物も微生物も、死んじゃった全ての魂は一旦僕らのところに来る仕組みになっているんだ。
 彼らは生前の過ごし方によって死後の行き先が定められる。
 人間が自分たちで作った掟とは異なる法がここにはあって、その尺度が基準になってるのね。
 要するに天使目線で善悪を測って、よろしくない魂はそれなりのペナルティが課せられて、逆にいい感じの魂は次に生まれ変わるとき、さらに上種の生物になれるってわけ。
 その良し悪しを判断して罰や恩恵を与えるのが今の僕の仕事なんだ。

 僕はぷかぷか浮かぶ雲の上で大きく伸びをした。
 雲の上には僕の他にデスクや椅子も乗っていて、仕事に必要なちょっとした機器も搭載されている。
 僕はキーボードをカタカタ打って、雲ごと移動をした。

「あらロウちゃん。今日はこれから?」

 宙を通りすがった同僚からの挨拶に僕は応える。

「うん、これからー!」
「頑張ってね」
「ありがとー!」

 僕が天使に戻って五千年ぐらいっていったけど、その間に下界は目まぐるしい変化を遂げた。
 特に目を見張るのは人間の進歩具合だ。
 五千年前とは比べ物にならないぐらい科学を発展させている。
 都市や街には超巨大な建物がバンバン建ってるし、全世界に回線を繋いでいつでも情報交換が可能になっている。
 なんと自力でロケットまで作って月にまで到着する始末だ。
 自然界としてはアンバランスな状態だから心配なんだけど、とにかく人類は繁栄した。

 でも、そのせいでここに来る魂の割合も変わっちゃった。
 昔から人以外の魂のほうが多くここに来てたけど、今じゃもっともっと動植物の来界比率が高まっている。
 自然と人間が調和していないことがいつか大きな災害に結びつきそうで不安だなあ。

「おや?」

 僕はモニターを見て首を傾げた。
 今日最初に面接をする魂の情報がそこには映し出されている。

 僕は今まで、おそらく人間が認識している動植物全てと面接をしてきたと思う。
 なんだけど、これから会う魂は例外みたいだ。
 モニターにはこうあった。

「特殊生物・死神。生前固有氏名・エリー」

 特殊生物っていうのはすなわち動物でも植物でもない生き物ってことだからどんな魂が来るのかと思っていたんだけど、僕の目の前にはどう見ても人間の若い女の子が立っている。
 とはいえ天界においての魂は自分の姿を自分の思い通りに変えられるんだけどね。
 でもなんで若い娘の姿をしているんだろう。

「初めまして。わたくし、天使のロウと申します。下界での生活、お疲れ様でございました」

 僕はお決まりの挨拶を口にする。

「エリー様の前回の人生を参考にさせていただき、今後の流れを決定いたします。どうぞよろしくお願い申し上げます」
「今後の流れ、とは?」

 死神は冷ややかな口調で、表情を一切変えていなかった。

「はい」

 彼女の無表情さと反比例するかのように、僕はにっこりと微笑む。

「生まれ変わるかどうか、ですとか、どれぐらいの時期までここ天界で暮らせるか、ですとか、また生まれ変わる際は何に転生するか。そういった事柄を決定させていただきます」
「そうか。私の希望は通るのか?」
「はい。ご希望が叶うかどうかはエリー様の生前の行動によって決められます。だいたいの魂は生物として正しく生きられておりますので、大それたご希望でない限り、ほぼ応じられるかと思います」

 つまりね、僕のお仕事はそんなに大変じゃないんだ。
 野生の動植物なんてまず間違いなく正しく生活してるもん。
 肉食動物は狩りをしてお肉を食べるし、草食動物は草を食べる。
 植物だって光合成をして、酸素を増やしてる。
 間違った生き方をするのは人間ぐらいなものなんだね。
 だからだいたいの魂は天界で楽しく過ごして、再び下界に下りていく。
 ほとんどの魂は簡単な質疑応答だけでここを無罪のまま通過してもらってるんだ。

「そうか」

 死神は冷静な視線に少し影を落とした。

「では私の希望は叶わないかも知れないな」
「と、申しますと?」
「私は一生の大部分、死神として間違った暮らしをしてきた」

 なにそれ?
 モニターをチラ見すると、嘘ランプは点灯してない。
 つまりこの魂は嘘を言っていないってわけだ。
 どういうことだ?

「死神として間違った暮らしといいますと、どういうことでございますか?」

 訊くと彼女は軽く溜め息をついた。

「私は人間の魂を捕食する生き物だ」
「魂を!?」

 そんな生き物、聞いたことないよ。

 僕は少々お待ちくださいって言って、キーボードを素早くカタカタ打った。
 やがてデータベースに回線が繋がって、モニターに死神の生態が詳しく表示される。

 なんじゃこりゃ?
 魂のみを捕食する生き物?
 そんなのいたんだ?

 表示された情報によると、どうやら彼女は魂喰いらしい。
 人間が再び人間に生まれ変わらないよう、魂を食べる設計になっているみたいだ。
 増えすぎた人間を邪魔に思った地球が、人間の遺骨に命を吹き込むことによって誕生した生き物が死神だって書いてある。
 その遺骨が生きていた頃の性質が、死神の性格に反映されるんだって。
 残酷などっかの女王の骨に魂が吹き込まれて彼女になっているらしいから、それでこの死神はどこか冷酷な印象を覚えさせるんだろう。

「しかし私はある時期から人間の魂を食すことをやめた」

 僕がモニターを読み終えると同時に死神は開口していた。
 どうやら彼女なりに喋り出すタイミングを計っていたらしい。

「私はある男をあえて捕食しなかった。そいつが死んだあとも、誰の魂も食していない。私の死因は自分の意思による餓死だ」

 どういうこと?
 自殺したってこと?
 だとしたら残念ながら彼女の希望は叶わない。
 増えすぎたら集団自決するようプログラムされた鼠とかって確かにいるけども、そうじゃない生き物が自殺しちゃってた場合は特別な理由がない限り、魂を分解して別の魂になってもらうことになっている。

「詳しい話を伺っても構いませんでしょうか?」

 僕は慎重に問う。

「男性を捕食しなかった理由は何故でございますか?」

 小鹿に乳をあげるライオンとか、そういう魂はたまにいる。
 でもそれはお腹いっぱいで余裕があったからなんだ。
 空腹を我慢して目の前の食事に手を出さないでいる魂なんて普通はないよ。
 なんで命懸けの我慢をしたのか僕としては訊かないわけにはいかない。

「その質問の答えを正しく理解させるには死神についての知識が必要だ。私がどうやって魂を捕食するか、お前は知っているのか?」

 死神からの質問に、僕は「いえ」と応える。
 すると彼女は長い話を始めた。
 相手に直接触って、離れることで自動的に魂を食べてしまうこと。
 自分に名前を付けた男が自分を助けるために自分に触れてしまったこと。
 その男からは名前以外に大事なものを貰えそうだと直感したこと。
 男と離れずに生活をするに至って、やがて自然と食欲が失せていったこと。

「死神という生物としては間違っているだろう?」

 話の最後に彼女はこう言う。

「もしあの世があるのなら、生まれ変わりもあり得る。男の魂を喰ったら奴は生まれ変わることもできないからな。それで私は生涯手を離さなかった。奴が死んだあとも念のため、土の中で抱き合ったまま離れなかった」

 彼女は涼しげに言うけど、それはとんでもないことだ。
 知的生物が五千年間も土の中でじっとしていたなんて信じられない。
 しかもその理由が念のため?
 男の人が死んだあとだったらいつでも離れていいだろうに。

「ここを天界と言っていたな?」

 死神の声に僕はハッとする。

「え、あ、はい、そうでございます」
「では奴は五千年前、ここに来たわけだ。奴はしっかり転生できたのか?」
「はい、そのはずでございます」
「そうか。ならいい。私個人の最低限の目的は果たされているということだ。あとはお前の好きにしろ」
「は。好きに、と申しますと?」
「私の希望は通らないのだろう? 生まれ変わることもできないと解れば何もすることがない。好きにしろ」
「エリー様は、生まれ変わりを希望されているのですか?」
「うむ。できれば人間がいい」
「それは何故?」
「なかなか苦労して奴を生かしたからな。奴の魂が無事と解った以上、おそらくまた人間に転生しているであろう奴と再会をしたい。前世の苦労に見合った何かしらを貰わんと気が済まん」
「さようでございますか」

 さて、困ったぞ。
 どうしたもんだろ。

 僕は「少々お待ちくださいませ」って伝えて、キーボードを再び操作する。

 データベースの情報によると、この死神って生き物は地球が勝手に作っちゃった困った生物だ。
 この時点で魂を浄化する必要がある。
 でも彼女の場合、死神としての生き様に逆らっているから、浄化の必要なし?
 ちなみに浄化っていうのは初期化と一緒で、一切の記憶を消去するってことね。
 あ、でもアレだ。
 やっぱり死神としての生き方をしてないのは罪なわけで、結局はペナルティが必要になるかな?
 この魂、なんか上から目線なとこあるけど、僕個人の判断としては悪いことはしてないんだけどなあ。
 ホントどうしよ。

 僕はつい、獲物の魂を守るために土の中で抱き合ったまま手を離さなかった彼女のことを想像してみた。
 浮かび上がったイメージは、互いに向かい合った骨と骨──。

「エリー様の具体的なご希望を伺ってもよろしいでしょうか?」

 気づけば僕は彼女に質問を加えていた。

 この魂は頭の回転が速いみたいだ。
 死神はすぐに詳しい望みを口にする。

「奴はこの五千年の間、幾度となく転生を重ねただろう。まずは奴が今どこにいるのかを知りたい。天界にいるというのならここにいたいし、下界にいるのなら今すぐにでも生まれ変わりたい。奴と同じ生物にな。そのときは前世の記憶を持ったまま転生するのが望ましい」
「前世のご記憶を? それはまたどうして」
「奴を探し出すという本来の目的を忘れてしまっては意味がない。奴の特徴も覚えておきたいしな」
「その男性の特徴、でございますか?」
「うむ。さすがに五千年も経っているから奴もそうとう変わってしまっているだろう。私が持っている情報が役に立つ可能性は低い。だがそれでもゼロではないからな。奴を発見することにわずかでも繋がるなら記憶だけは持ち続けたい」
「その方と再会を果たされたら、どうなさるおつもりですか?」
「さあな。また手でも繋ぐか」

 ただ手を繋ぐためだけに生まれ変わって、数ある生物の中から一人を探し出す?
 ただでさえ五千年間も土の中で空腹に耐えるなんて死ぬような想いまでしておいて、またさらに苦労を重ねる気?
 なんなんだ、この魂は。
 ここまで再会の意思が強いだなんて。

「別室をご用意いたします」

 僕は死神に待機してもらうことにした。

「そちらでもう少々お待ちください。お調べしたいこともございますし、エリー様の行き先を決めるには稀有な状況すぎて簡単には決められません」

 すると死神は「そうか」とだけつぶやいた。

「さあて」

 僕は腕まくりをしてモニターに向かい合う。
 まずは死神の相方さんのことを調べなくちゃ。

 彼女の記憶から相手男性の情報を引き出して、その魂を検索する。
 五千年前に教師だった彼はタイミング良く、もうすぐ人間の男として生まれ変わる予定みたいだ。

「ただなあ」

 僕は困ってしまって頭をかく。
 人間や僕の価値観からすれば死神の取った行動は心温まるものがある。
 でも彼女は生物としては間違っちゃっているのだ。
 文字通り手が届いているのに餌を食べないで餓死ってのは問題がある。

 僕は携帯電話を取り出して独り言を言った。

「こりゃ僕だけじゃ決められないや」

 電話をかけると、僕のアドバイザーはすぐに出る。

「もしもし? どうしたロウ君」
「クラちゃんに相談があってね」
「ほう」
「元裁判官としての意見を聞きたいんだ」
「また昔のことを」
「いいからいいから。とにかく困ってるの僕」

 だいたいの説明をすると、クラちゃんは「確かに特異な例だな」と驚いたみたいだ。

「ねえクラちゃん。どうしたらいい? クラちゃんだったらどんな判決を出す?」
「そうだな。あくまで私個人の意見だが、やはり法は法だ。その魂は罰せねばなるまい」

 クラちゃんは続けて手短にアイデアを出してくれた。
 それを聞いて僕は大助かりだ。
 さすがクラちゃん。
 彼の判断は理に叶っているように僕には感じられた。

「確かにクラちゃんの言う通り! 僕ら天使が罪を見逃したら駄目だもんね! 目が覚めたよ! ありがとクラちゃん!」

 ちょっとテンション高めのお礼を言って僕は電話を切る。

 お次の電話の相手は、魂を案内する係に就いている天使だ。

「もしもし? あのね? あとで特殊生物だった魂を迎えにきてほしいの。でさ、ちょっとお願いがあってさ。事情を話すから協力してよ」

 僕は自分の雲を動かして、離れに浮かぶ小さな雲に隣接させた。
 そこには死神がちょこんと座っている。

「エリー様、お待たせいたしました。エリー様の今後が先ほど決定いたしました」
「そうか」

 相変わらず冷たい目で、彼女は僕を見つめる。

「私はどうなる?」

 僕は言いにくそうに顔をしかめた。

「はい。エリー様は生前、捕食できるはずの食料に自らの意思で手を出していませんでした。これは明らかに食べ物を粗末になさっておいでです。何よりまず食事というのはご自身の保身とは別に、生態系を守るといった意味合いもございます。エリー様がお取りになられた行動はこの生態系のバランスを崩すことにも繋がってしまうのです」
「単刀直入に言え。私はどうなるのだ?」
「はい。率直に申し上げます。エリー様に課せられる罰は一つ二つではございません。本来の魂ならばここ天界でしばらくおくつろぎいただくのですが、エリー様の場合はすぐまた下界へと戻っていただきます」
「構わん。私は生まれ変わるのか?」
「はい、転生していただきます。ただですね、前世よりワンランク下等な生き物として生活していただくことになります」
「ほう。死神のワンランク下の生き物とは?」
「少々お待ちください。今お調べいたします。えっと、死神、死神。あ、ございました。死神は食物連鎖では人間の上位に位置しておりますね。したがって死神より一つ下の生き物、人間になっていただきます」
「私が人間に?」
「はい、心苦しいのですが人間として下界を生きていただきます。今からすぐに」
「そうか。質問したいのだが」
「はい?」
「5000年前に私が生かした人間の男は、今どこにいる?」
「申し訳ございません」

 僕は深々と頭を下げる。

「個人情報になりますので、そういったことは、わたくしの口からは申し上げられないのです」

 すると死神は少し肩を落として小さく息を吐いた。

「では、次の人生で奴に逢える確証はないわけか」

 と、そのとき馬車が到着する。
 案内係の天使がやってきた。

「おう、ロウ。この魂でいいのか? 転生させんのはよ」
「あ、そう。こちらの方。お願いね、ロウェイ兄ちゃん」

 天使にしてはガラが悪いロウェイ兄ちゃんは、無遠慮に死神をじろじろと眺め回す。

「こいつが特殊生物か。俺ァ初めて見るぜ」
「こら。そんなに図々しくしないの。失礼でしょ」
「だって珍しいんだもんよ。なんでも地上で餌の男を助けちまったんだって? 変わってんな」
「いいから早く案内してあげてってば」
「俺も気になっちまってよ、その人間の男がどうなったか調べてみたんだけどよ」

 聞き耳を立てるかのように、死神は動きをピタリと止めた。
 そんな彼女の様子をまるで無視してロウェイ兄ちゃんは続ける。

「どうやらそいつ、もうすぐ人間に生まれ変わるみてーだな」

 それを耳にした死神は反射的に顔を上げて、驚いたような顔をした。
 急に明るくなった彼女の表情を見なかったことにし、僕はロウェイ兄ちゃんを叱る。

「あー! そういうこと魂の前で言っちゃ駄目でしょー!? 無神経にもほどがあるよ!」
「やべ! うっかりしちまった! すまねえ」

 呆然とする死神に気づかれないよう、僕はロウェイ兄ちゃんに短くウインクをした。
 兄ちゃんも同じようにニカっと笑って、僕にウインクを返してくれる。

「エリー様、失礼いたしました」

 僕は再び死神に頭を下げた。

「では、あとは彼の案内に従っていただき、生まれ変わってくださいませ。楽しい人生になりますよう、お祈りしております」

 死神はどこか微笑んでいるように見えた。

「生まれ変わったら、私はここでのことも忘れてしまうのか?」
「はい。そればかりは例外なくご記憶を一時的に閉じさせていただいております。下界での人生を終え、再びこちらにいらっしゃったときは思い出すことが可能ではありますが」
「そうか」

 彼女が髪を耳にかける。

「お前、名をロウといったな? 覚えておくぞ」
「ありがとうございます」

 今度は謝るためじゃないお辞儀をする。

「行ってらっしゃいませ」

 死神が馬車に乗り込み、やがて出発する。
 それ見えなくなるまで、僕は腰の角度を九十度に保っておいた。

「さてと」

 魂を下界に送り出す係の天使にも指示を出しておかなくちゃ。

 僕はぴょんと雲に飛び乗って電話を手にする。

「もしもし? ママ? あのさ、今からそっちに特殊生物だった魂が生まれ変わりにいくんだ。で、ママにお願いがあるんだよ。その魂、ちょっと前世で問題があるのね? だからペナルティとして前世の記憶を残したまま転生させちゃってほしいの」

 たまに人間でもいるでしょう?
 前世の記憶を持ったまま産まれてくる人が。
 あれはね、僕ら天使のうっかりミスなんだ。
 たまにそうじゃない場合もあるけどね。

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