姉の友達vs妹の友達
笑顔
「…………」
「…………」
あれから5分くらい経っただろうか。
いい加減気まずい、というか照れくさい、というかヤバい。
俺はおそるおそる真冬ちゃんに声をかけた。
「あの……そろそろいいかな」
「お兄さん、いいんですか?人生最初で最後のチャンスですよ」
「んなわけあるか。そのうちモテ期が来るわ」
「今がそうかもしれませんけどね」
そう言いながら、すうっと真冬ちゃんは離れ、いつものように笑顔を見せた。違うのは目が潤んでいることくらいか。
濡れた瞳に、ついどぎまぎしながら目を逸らすと、真冬ちゃんが腕にしがみついてきた。
「あらら、フラグ立ちましたね」
「立つか~!!」
「うおっ!」
いきなりすぎる大声に慌てて振り向くと、そこには汗だくの夏希さんがいた。すぐ傍には、アパートで見たママチャリがある。え?もしかしてちょっと前に目が合った場所から、自転車でここまで来たのか?結構距離あると思うんだけどな……。
「な、夏希さん……」
「よう、直登。偶然だなぁ」
「ええぇ……その方向で行きます?いや、別にいいですけど」
「ん?何の事だ?アタシはたまたまこの公園までサイクリングしてただけなんだが」
「あらあら、お姉さん大丈夫ですか?もう帰ったほうがいいんじゃないですか?」
「いきなり帰らそうとしてんじゃねえよ。せっかくだからアタシも散歩に付き合ってやるよ」
「お姉さん、3Pだなんて……はしたない」
「なっ!?さ、さ、3P!?そ、そそ、そんな事言ってるお前がはしたねえよ!!」
「今、想像しましたね。むっつりスケベ」
「してねえし!むっつりスケベとか言うな!」
「…………」
なんかこう、一気に賑やかになったというか……いきなり蚊帳の外に押しやられた気がする。てか、この二人実は仲いいだろ。
その様子を見ていたら、自然と笑みが零れた。
「直登?」
「どうかしましたか?」
「いや、なんでもないよ」
「なんでもないのに笑いだすって、一番ヤバくないか?大丈夫か?お前……」
「ですよね。ちょっと引きました。発情期ですか、お兄さん?」
「なんでこんな時ばっか息が合うんだよ!」
まあ、真冬ちゃんが元気になった事だし、ここはよしとしておこう。
*******
とりあえず三人になった事だし、これからどうしようかと考えていたら、真冬ちゃんのお母さんがすたすた歩いてくるのが見えた。
長閑な公園の雰囲気と、憂いを帯びた雰囲気がやけにアンバランスで、つい目が離せなくなる。
彼女はぴたりと止まり、俺達3人を見てから、ぽつりと呟いた。
「……三角関係?」
「ち、違います」
「……3P?」
「もっと違います!」
「おい、ちびっ子。この姉ちゃん、お前の身内か?」
「どこで判断したかは謎ですけど、まあ、そうですね。一応母ですよ」
「マジでかっ!若っ!?」
夏希さん、あなたのお母さんもですよ。
真冬ちゃんのお母さんは、こてりと首を傾げ、まだこちらを見ていた。なんだろう、まだ俺達の関係について考えているのだろうか。
「しっかしまあ、ちびっ子のお母さんにしては、スタイルよくて大人しめだな。お前、なんで似なかったんだよ」
「似てますよ。顔がそれに、私のスタイルはまだ発展途上ですから。そのうちお姉さんが裸足で逃げ出すくらい成長しますから」
「はいはい。まあ頑張れや」
「……むっつりスケベ」
「ちょっ、おま……!?蒸し返してんじゃねーよ!!」
「ふふん、その胸に詰まった煩悩で、せいぜいお兄さんで妄想してればいいですよ」
「んなもん詰まってねーよ!それ、お前の脳ミソだろーが!」
「否定はしません」
「しろよ!中学生女子!」
「ふふっ、あなた達……仲いいのね」
夏希さんと真冬ちゃんがしょうもない言い合いをしていると、真冬ちゃんのお母さんが、クスクスと笑い始めた。
その自然な笑顔に、三人揃って見入ってしまう。
「真冬がそんな風に喋るの、初めて見たわ」
「そ、そうですか……別に普通です」
母親からの言葉に、ぶっきらぼうに答える真冬ちゃんだが、その表情はどこか嬉しそうだった。
「…………」
あれから5分くらい経っただろうか。
いい加減気まずい、というか照れくさい、というかヤバい。
俺はおそるおそる真冬ちゃんに声をかけた。
「あの……そろそろいいかな」
「お兄さん、いいんですか?人生最初で最後のチャンスですよ」
「んなわけあるか。そのうちモテ期が来るわ」
「今がそうかもしれませんけどね」
そう言いながら、すうっと真冬ちゃんは離れ、いつものように笑顔を見せた。違うのは目が潤んでいることくらいか。
濡れた瞳に、ついどぎまぎしながら目を逸らすと、真冬ちゃんが腕にしがみついてきた。
「あらら、フラグ立ちましたね」
「立つか~!!」
「うおっ!」
いきなりすぎる大声に慌てて振り向くと、そこには汗だくの夏希さんがいた。すぐ傍には、アパートで見たママチャリがある。え?もしかしてちょっと前に目が合った場所から、自転車でここまで来たのか?結構距離あると思うんだけどな……。
「な、夏希さん……」
「よう、直登。偶然だなぁ」
「ええぇ……その方向で行きます?いや、別にいいですけど」
「ん?何の事だ?アタシはたまたまこの公園までサイクリングしてただけなんだが」
「あらあら、お姉さん大丈夫ですか?もう帰ったほうがいいんじゃないですか?」
「いきなり帰らそうとしてんじゃねえよ。せっかくだからアタシも散歩に付き合ってやるよ」
「お姉さん、3Pだなんて……はしたない」
「なっ!?さ、さ、3P!?そ、そそ、そんな事言ってるお前がはしたねえよ!!」
「今、想像しましたね。むっつりスケベ」
「してねえし!むっつりスケベとか言うな!」
「…………」
なんかこう、一気に賑やかになったというか……いきなり蚊帳の外に押しやられた気がする。てか、この二人実は仲いいだろ。
その様子を見ていたら、自然と笑みが零れた。
「直登?」
「どうかしましたか?」
「いや、なんでもないよ」
「なんでもないのに笑いだすって、一番ヤバくないか?大丈夫か?お前……」
「ですよね。ちょっと引きました。発情期ですか、お兄さん?」
「なんでこんな時ばっか息が合うんだよ!」
まあ、真冬ちゃんが元気になった事だし、ここはよしとしておこう。
*******
とりあえず三人になった事だし、これからどうしようかと考えていたら、真冬ちゃんのお母さんがすたすた歩いてくるのが見えた。
長閑な公園の雰囲気と、憂いを帯びた雰囲気がやけにアンバランスで、つい目が離せなくなる。
彼女はぴたりと止まり、俺達3人を見てから、ぽつりと呟いた。
「……三角関係?」
「ち、違います」
「……3P?」
「もっと違います!」
「おい、ちびっ子。この姉ちゃん、お前の身内か?」
「どこで判断したかは謎ですけど、まあ、そうですね。一応母ですよ」
「マジでかっ!若っ!?」
夏希さん、あなたのお母さんもですよ。
真冬ちゃんのお母さんは、こてりと首を傾げ、まだこちらを見ていた。なんだろう、まだ俺達の関係について考えているのだろうか。
「しっかしまあ、ちびっ子のお母さんにしては、スタイルよくて大人しめだな。お前、なんで似なかったんだよ」
「似てますよ。顔がそれに、私のスタイルはまだ発展途上ですから。そのうちお姉さんが裸足で逃げ出すくらい成長しますから」
「はいはい。まあ頑張れや」
「……むっつりスケベ」
「ちょっ、おま……!?蒸し返してんじゃねーよ!!」
「ふふん、その胸に詰まった煩悩で、せいぜいお兄さんで妄想してればいいですよ」
「んなもん詰まってねーよ!それ、お前の脳ミソだろーが!」
「否定はしません」
「しろよ!中学生女子!」
「ふふっ、あなた達……仲いいのね」
夏希さんと真冬ちゃんがしょうもない言い合いをしていると、真冬ちゃんのお母さんが、クスクスと笑い始めた。
その自然な笑顔に、三人揃って見入ってしまう。
「真冬がそんな風に喋るの、初めて見たわ」
「そ、そうですか……別に普通です」
母親からの言葉に、ぶっきらぼうに答える真冬ちゃんだが、その表情はどこか嬉しそうだった。
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