姉の友達vs妹の友達
風呂上がり 年下編
「そういや直登。今日如月の家で飯食ってきたらしいけど、どうだったんだ?」
「え?どうっていわれても……普通に美味しかったですけど。まあ、緊張やら何やらで、あんまり味を楽しむ余裕はなかったというか……」
「そうか……美味かったか。ち、ちなみに、どっちが……ああ、やっぱいい!」
「はあ……それはそうと、夏希さんと姉さんって、どうやって知り合ったんですか?」
「春香と?ああ、校舎裏でぼんやりしてたら、よく話しかけてくるようになってな。まあ、自然と仲良くなってた」
「なるほど……」
容易に想像つくあたりが姉さんらしい。これまでも似たようなことが何度かあった。
自然と誰かに寄り添える姉さんの優しさは、口には出さないけれど、尊敬している。
夏希さんも、その時の事を思い出しているのか、照れくさそうに頬をかいた。
「じゃあ、お前は春香とどうやって知り合ったんだ?」
「姉弟です。姉弟ですよー」
混乱しているのか、わけのわからない質問をされた。
「そ、そうだったな。てか、仕方ねえだろ!アタシは、その……自分から来といてなんだけど……こういうの初めてなんだから……!」
「…………」
ちなみに俺も初めてだ。まさか姉の友達と妹の友達と、同じ部屋で寝ることになるとは……。
一度考え出したら思考がそっちに持っていかれそうだったので、なるべく考えないようにしてたが、ぶっちゃけやばい。思春期男子にこれはやばすぎる。むしろこのよくわからん関係性で、よくこんな展開になったな……今年の運勢どうなってんだ。
「ち、ちなみ、直登はあるのか?」
「え、何がですか?」
「なんつーか、その……女が泊まりに来たこととか……」
「い、いや、ないです……そもそも彼女いたことないんで」
「そっか。まあ、その……よかったな」
「何がですか!てか、この話やめましょうよ。お互い気まずくなるだけなんで」
「じゃあ……初恋はいつだ?」
「あまり変わってない!?まあ、それくらいならいいですけど……一応、小学生の時ですね」
「へえ、相手は誰なんだよ?」
「……保健室の先生です」
「おう……ちなみに何歳くらい?」
「……30歳」
「え?お前、年上好きなの?」
「いや、その時はたまたまそうだっただけで、年上女性しか愛せないというわけじゃ……」
「そっかぁ、年上が好きか!年上が好きか!!」
「なんでテンション上がってるんですか、しかも二回言って……」
満面の笑みの夏希さんに引き気味になったところで、真冬ちゃんが戻ってきた。
こちらはTシャツに短パンと、意外とラフな格好をしている。まだ湿っている長い黒髪がなんか色っぽい。
「お兄さん、先にお風呂いただきましたー……何かあったんですか?お姉さんがやたら嬉しそうですけど」
「何でもねえよ。さて、風呂入ってくるかな」
「落ち着いてください、お姉さん。さっき入ったばかりですよ」
「おっと悪い悪い。ありがとな~」
そう言って、夏希さんは真冬ちゃんの頭をわしゃわしゃ撫でた。
「……うわ」
真冬ちゃんは露骨に顔をしかめていたが、それすらも何処吹く風のようだった。
「よし、じゃあちょっと飲み物でも取ってくるわ」
「あ、自分がやりますよ。それくらい」
「いいって、いいって。泊めてもらうんだから、そのぐらいさせてくれ。春香もリビングにいるし」
「あ、はい。じゃあ、よろしくお願いします」
お客様にやってもらうのは申し訳ない気もするが、そこまで言うのなら甘えよう。
変なテンションのまま部屋を出る夏希さんを見送ると、真冬ちゃんは溜め息を吐いた。
「まったくもう……なんなんですか。あのテンションは。お兄さん、どんな甘い言葉を囁いたんですか?」
「何も囁いとらんわ。って、真冬ちゃん?」
真冬ちゃんが、いきなり膝の上に座ってきて、俺は驚きの声を上げた。
風呂上がりの甘い香りや、火照った体温が思いきり密着してきて、鼓動が跳ね上がる。
「あの、俺そろそろ風呂に……」
「その前に、少し甘やかしてもらおうと思いまして。ほら、私年下ですから」
そう言って、ドライヤーを見せつけてきた。わざわざ持ってきたらしい。
「まあ、少しくらいなら……」
「ふふっ、よろしくです」
どのみちやらないと解放してもらえないみたいなので、俺は彼女の髪に熱風を当て始めた。
まだ湿っている黒髪の感触は、俺の掌には初めての感触で、なんだか落ち着かない。
しばらくそうして、ドライヤーの電源をオフにすると、真冬ちゃんはこちらを見ないまま、膝から床に座る場所を変えた。
そこで、ある事に気づく。
「ま、真冬ちゃん……」
「なんですか?」
「顔赤くするくらい恥ずかしいなら、やらなきゃいいのに」
その事実を指摘され、こちらを振り向いた時の彼女の表情は、ちっとも大人びていない中学生の女の子だった。
「うるさいです。こ、これは、サービスですよ。お兄さんの為の。ほら、部屋で寝かせてもらうんだから」
「……はいはい」
心臓に悪いというか、無駄に刺激が強いのには変わりないから、色々自重して欲しいのは変わらないけれど。
そして、いよいよあの時間が近づいてきていることに、言い様のない気分になった。
「え?どうっていわれても……普通に美味しかったですけど。まあ、緊張やら何やらで、あんまり味を楽しむ余裕はなかったというか……」
「そうか……美味かったか。ち、ちなみに、どっちが……ああ、やっぱいい!」
「はあ……それはそうと、夏希さんと姉さんって、どうやって知り合ったんですか?」
「春香と?ああ、校舎裏でぼんやりしてたら、よく話しかけてくるようになってな。まあ、自然と仲良くなってた」
「なるほど……」
容易に想像つくあたりが姉さんらしい。これまでも似たようなことが何度かあった。
自然と誰かに寄り添える姉さんの優しさは、口には出さないけれど、尊敬している。
夏希さんも、その時の事を思い出しているのか、照れくさそうに頬をかいた。
「じゃあ、お前は春香とどうやって知り合ったんだ?」
「姉弟です。姉弟ですよー」
混乱しているのか、わけのわからない質問をされた。
「そ、そうだったな。てか、仕方ねえだろ!アタシは、その……自分から来といてなんだけど……こういうの初めてなんだから……!」
「…………」
ちなみに俺も初めてだ。まさか姉の友達と妹の友達と、同じ部屋で寝ることになるとは……。
一度考え出したら思考がそっちに持っていかれそうだったので、なるべく考えないようにしてたが、ぶっちゃけやばい。思春期男子にこれはやばすぎる。むしろこのよくわからん関係性で、よくこんな展開になったな……今年の運勢どうなってんだ。
「ち、ちなみ、直登はあるのか?」
「え、何がですか?」
「なんつーか、その……女が泊まりに来たこととか……」
「い、いや、ないです……そもそも彼女いたことないんで」
「そっか。まあ、その……よかったな」
「何がですか!てか、この話やめましょうよ。お互い気まずくなるだけなんで」
「じゃあ……初恋はいつだ?」
「あまり変わってない!?まあ、それくらいならいいですけど……一応、小学生の時ですね」
「へえ、相手は誰なんだよ?」
「……保健室の先生です」
「おう……ちなみに何歳くらい?」
「……30歳」
「え?お前、年上好きなの?」
「いや、その時はたまたまそうだっただけで、年上女性しか愛せないというわけじゃ……」
「そっかぁ、年上が好きか!年上が好きか!!」
「なんでテンション上がってるんですか、しかも二回言って……」
満面の笑みの夏希さんに引き気味になったところで、真冬ちゃんが戻ってきた。
こちらはTシャツに短パンと、意外とラフな格好をしている。まだ湿っている長い黒髪がなんか色っぽい。
「お兄さん、先にお風呂いただきましたー……何かあったんですか?お姉さんがやたら嬉しそうですけど」
「何でもねえよ。さて、風呂入ってくるかな」
「落ち着いてください、お姉さん。さっき入ったばかりですよ」
「おっと悪い悪い。ありがとな~」
そう言って、夏希さんは真冬ちゃんの頭をわしゃわしゃ撫でた。
「……うわ」
真冬ちゃんは露骨に顔をしかめていたが、それすらも何処吹く風のようだった。
「よし、じゃあちょっと飲み物でも取ってくるわ」
「あ、自分がやりますよ。それくらい」
「いいって、いいって。泊めてもらうんだから、そのぐらいさせてくれ。春香もリビングにいるし」
「あ、はい。じゃあ、よろしくお願いします」
お客様にやってもらうのは申し訳ない気もするが、そこまで言うのなら甘えよう。
変なテンションのまま部屋を出る夏希さんを見送ると、真冬ちゃんは溜め息を吐いた。
「まったくもう……なんなんですか。あのテンションは。お兄さん、どんな甘い言葉を囁いたんですか?」
「何も囁いとらんわ。って、真冬ちゃん?」
真冬ちゃんが、いきなり膝の上に座ってきて、俺は驚きの声を上げた。
風呂上がりの甘い香りや、火照った体温が思いきり密着してきて、鼓動が跳ね上がる。
「あの、俺そろそろ風呂に……」
「その前に、少し甘やかしてもらおうと思いまして。ほら、私年下ですから」
そう言って、ドライヤーを見せつけてきた。わざわざ持ってきたらしい。
「まあ、少しくらいなら……」
「ふふっ、よろしくです」
どのみちやらないと解放してもらえないみたいなので、俺は彼女の髪に熱風を当て始めた。
まだ湿っている黒髪の感触は、俺の掌には初めての感触で、なんだか落ち着かない。
しばらくそうして、ドライヤーの電源をオフにすると、真冬ちゃんはこちらを見ないまま、膝から床に座る場所を変えた。
そこで、ある事に気づく。
「ま、真冬ちゃん……」
「なんですか?」
「顔赤くするくらい恥ずかしいなら、やらなきゃいいのに」
その事実を指摘され、こちらを振り向いた時の彼女の表情は、ちっとも大人びていない中学生の女の子だった。
「うるさいです。こ、これは、サービスですよ。お兄さんの為の。ほら、部屋で寝かせてもらうんだから」
「……はいはい」
心臓に悪いというか、無駄に刺激が強いのには変わりないから、色々自重して欲しいのは変わらないけれど。
そして、いよいよあの時間が近づいてきていることに、言い様のない気分になった。
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