大賢者は剣士がしたい

水止 鏡明

不利?!・・・ジャックとデン君の戦い

 ピコン

 6:7



「嘘だろメロのやつか? さっきからみんな自分が放った攻撃の爆発に巻き込まれて退場してんじゃないのか?」

(アーサーもメロもいなくなるとは思っていもいなかった。結構しぶといようだな後衛組も)

「ここのメンバーが生きてた数が多いほうが勝てる。そうお前も思っていなかったか? しかしこっちは5人減ってそっちは2人このままだと上の奴等を1人でも倒さないとお前らの勝ちはないぞ」

 後衛の一人が話しかけてくる。



「どっちにしろここで生き残ったほうが援護に入れば勝つ可能性は上がる。今の所両方全滅だからな俺とお前達で決まる」

 そういう俺の真下に大きな魔法陣が現れる。

「チッ、めんどくさい」

 パチン



 発動する前に魔法陣を消し飛ばす。

 そうこうしている間に次々を魔方陣が描かれる。

(こいつ詠唱が早いな。魔法陣を書くやつそれに魔法を打ち込むやつこの3人も普段からパーティー組んでやがるな)



 俺はジャックとの戦闘で使用した横一閃の斬撃を飛ばす。

 パチン

 木々がなぎ倒され攻撃の手が止む。



「攻撃自体は良いコンビネーションだ。しかしそれで俺を仕留められるとでも?」

「良いんだよ今はな。後でちゃんととどめをさすよ」

(この言い方多重魔法か? トラップ魔法唱えながら他の魔法も重ねている。ほんとこの学園は面白いやつがいるもんだ)



「だが先手必勝だ」

 隠れている後衛組の前に飛び出す。

「くらえ」

 パチンッ



 指が鳴り響くが後衛3人の前で攻撃が止まる。また攻撃が当たる前に魔法陣に吸収されているようだった。

「お前がくらっておけ」

 後衛組は吸収した魔法をまた俺の上から放出しようとしていた。



「何度も同じ手くうかよ」

 パチンッ

 俺はわざと吸収できる量を一発目に放った。そして吸収が終わる前にもう一度ぶちかましてやった。

 すると魔法陣は砕け散りそのまま3人に斬撃が降り注ぐ。



「さっきから食えとか食らえとか、俺の攻撃は美味しいか?」

 砂埃の中から2人に守られていた1人が起き上がる。

「なかなかおもしろいパーティだな。お前を守ったのか?」

「うるせぇ。……お前らすまない」



 そう言うと2人は消えていった。

「3人やるつもりで斬ったんだがな。お前が遠隔魔法者か?」

「おれを守る。彼奴等は最初からそう言っていた。お前を見た時に勝てそうにないと」

「なんだ。やっぱ逃げ気味だったのはそのせいか。それでも俺の勝ちだ」

「しかしこれだけの魔法を駆使し、多人数で挑んでこれだ……本当にお前強いんだな」

「ありがと。残念だが急ぐんでな。後で名前教えてくれ」



 俺は指を構えた。

「ディアボロ」

 後衛者がそういった。

「ディアボロ? いかつい名前だな?」

「ちげぇよ。名前はイライだ」

 そう言うとイライはフィールドから消えていった。と同時に地面の中から大きななにかが這い出てきた。

「おいおいおい~。あいつ最後に何したんだよぉ」





「はぁはぁ」

 肩で息をしているのはジャックだった。

「何だお前なぜそんなに強い」

「あなたが弱いんですよ。私もスザクには勝てませんからまだ上がいるってことです。と言うことはあなたはただの雑魚、息も上がって辛そうですね」



 ジャックと対峙しているのは眼鏡の男リントだ。

 学園4位の男、細身でいかにも頭脳系そして胡散臭そうな男。

 ルール違反をしてでも勝ちに行く完璧主義者。



「お前ごときにやられてる場合じゃねぇんだよ」

 一気に間合いを詰めるジャック、リントの懐に入り込み大きくナイフを振りかざす。

 しかしそのナイフはリントを捉えず空を切る。

 空振ったジャックに対してリントはがら空きの顔面にパンチを浴びせる。

「ガハッ……」

 膝から崩れ落ちるジャック

「なんで……当たんねぇんだよ」

 そのまま顔から倒れる。

「ふんっここまで差があるとはやはりルーシュだけ警戒しておけば後は雑魚の集まりでしたか」

 終わったかのようにその場を離れていくリント



「おい、どこへいく? まだ消えてねぇぞ……」

 フラフラで立つのが精一杯のジャック



「もう無駄でしょ。わかっていますか今の状況?次で終わって消えるんですよ?最後までここであなた達の負けを見せてあげるんですから、ありがたく這いつくばってなさい」





(何が起こってるんだ? 走っていったジャックがリントの2mほど手前で止まって攻撃をしている。そしてリントは空間魔法か何かで手を飛ばしてジャックを殴っている。なんでジャックはそんな場所で止まって攻撃をしているんだ?)

 さっきのダメージで動けずその場で見ていたデン君がジャックの戦い方に疑問になる。



 リントがジャックに近づくまた2mほどの位置でジャックが向かってくるリントにナイフをかざす。

 もちろん当たるわけがない、しかしジャックは本気で狙っているようだった。



「ジャ、ックな、にしてんだ」

 届きそうもない声で話すデン君



「おらぁお前の攻撃なんぞ……グフゥ」

 ボディブローを喰らうジャック。

 口から赤い血を吐き出す。

「もうやめておきなさい。実力不足です」



 よろよろ歩いてくるデン君

「何だよ、デン君……お前に勝てる相手じゃない」

 デン君は肩を貸しジャックを立たせると1人リントに向かって歩き出した。



「おいっ辞めておけ。お前じゃ何もできな……」

 ジャックは目を疑った。

 デン君は凛とに真っ直ぐ向かったと思えばリントにぶつからずにすり抜けていった。



「ちっお前はここで寝てなさい」

 向かってくるデン君を思いっきり殴るリント

 もらふらのデン君は避けけることもできずに吹っ飛びピクリとも動かない。



「おいっデン君」

 ジャックはデン君に抱え上げられた時に少し回復してもらっていた。デン君はサポート前衛者で多少は回復魔法を使える少しレアなタイプだった。

「……2メー、タ」

 デン君が何かを行った。ピースサインをしている

「2? そうかそういうことか。ありがとうデン君」

「種がわかればもう怖くないぞ」



「バレましたか? けどたった1つの魔法見きったぐらいで何を?」

 リントは全然動じていなかった。

「良いんだよ。思いっ切りぶち込む…ヘイスア・キュリーライン」

 そう唱えるとスピードが上がり真っ直ぐリントに向かって猛突進した。

「距離感がわからないならまっすぐ突っ込めばいいとか? 子供と同じ考えですね。避けてしまえば?!」



 避ける動作に入る前にリントに異変が起こった。

「一発食らっとけ眼鏡」

 ニタァとボコボコの顔面のデン君が足にしがみついていた。

「おれとデン君の力だ!」



 ジャックはそのまま真っすぐにものすごいスピードでリントに突っ込んだ。

「離せおま……」

 そう言うリントにまっすぐジャックが突進を決めた。

 リントはその勢いのまま後ろの方へ吹き飛ばされ岩に激突した。

 デン君とジャックはその場で崩れ倒れ込んだ。



「ナイス、デン君助かったよなんとかなった」

「おれもあいつ嫌いなんでなんとしても一発お見舞いしたかった」



 ガサガサ

「お前らよくも……」

 倒れているジャックたちの前にリントが足を引きずって歩いてくる。眼鏡もボロボロだったが退場はしていない。

「あれくらってまだ歩けるのかこいつ……」

「ギリギリ防御魔法が間に合いましたよ。めったに使わない魔法を私に使わせたことは褒めましょう。しかしこれで終わりです」



 2人に向かって魔法を唱えるリント

「クソっここまでか」

 諦めるジャックとデン君



「うわぁぁぁぁ、ごめんごめんごめんそこどいてぇ」

 そう叫びながら下から俺が走ってきた。

 なんかものすごい恐竜みたいなモンスターに追いかけられている。



「え?」

 そう思ったのもつかの間リントは踏み潰されて消えてしまった。



「お前ってやつはいつも変なタイミング面白いことしてくれるな」

 ジャックは笑っている。

「おっ? ジャックかボロボロだな……デン君も」

「すいません、もうここまでみたいです」

 デン君が申し訳無さそうに言う



「借りは返したか?」

「はい。いい気味です」

「そうか良かったな。ジャックもお疲れ後は任せろ」

「うるせぇおれはまだ戦え……」

 デン君とジャックは二人して気を失った。

コメント

コメントを書く

「SF」の人気作品

書籍化作品