大賢者は剣士がしたい

水止 鏡明

最終局面・・・アーサーの戦い

 スザクは避けていて無傷だった。



「やぁやぁスザク~前の続きやろうよ」

 もう一人イリュウも来ていた。



「すまないスザク抜かれた」

 そこにスザクの取巻き2人も帰ってきた。

 これで向こうは主力、学園1位、3位、4位、5位が揃った。もう最終局面になっている。



「まてまて状況がつかめん」

 おれはこの予想外のことに戸惑う



「ルーシュがこっちに飛んでいったってメロくんに聞いてみんなで向かってきたんだよっ」

 リリスが答える。



「流石に全員でって訳には行かなかったから犠牲払ってきてしまったがな」

 ジャックが続けて話す。



 その時モニターが鳴るピコン

 前衛8人、後衛12人



「多分アーサーとメロが下で3人抑えている。さっさと大将とって終わりと行こうじゃないか」



 ジャックの掛け声とともに全員が襲いかかった。

 後衛組も魔法で迎え撃ち距離を取ろうとしていた。



「おい散れ」

 スザクのその一言で取巻き3人を除く5人が下に向かった。



(アーサーとメロをやればこっちは5人、万が一でも下にいる後衛8人が逃げれば勝ち残れるってか)



「ジャックここ任せる。俺は下の援護に行く」

「おう、行ってこい美味しいところはおれらに任せとけ」

「気をつけろよ」



 おれは抜け出した5人を追って下に降りてきた。

 やはり後衛組が山上で陣取っていた場所の下で持ちこたえてくれていたのはアーサーとメロだった。



「ルーシュさんっ」

「間に合った、大丈夫か?」

「ギリギリですよ。最初から居なくなるんですから焦りますよ。なんで本陣に単騎殴り込みに?」

「単騎じゃねぇよ。デン君も居ただろ」

 俺は笑いながら答える。

「デン君はあそこでは戦力外です。それになんで連れて行ったんですか?」

「酷いなぁ。あいつまだ生存して上で戦ってるんだぞ。なんとなくだよ」



『ひぃぃ助けてぇ』

 という声が聞こえてきそうだが俺はデン君が作戦をばらしたことは内緒にした。

 今後のことを考えても向こうがルール違反していたことも喋らないだろう。その報いは受けてもらうがな。



「8対3だ。どうする?」

「そうですね。アーサー先輩に突っ込んでもらって覚醒してもらうのが先ですね」

「おいおいさらっとやばいこと言うんじゃねぇよ。覚醒する前に消えてなくなるわ」

 そこに魔法攻撃が降ってくる。

 下級魔法ファイヤだが7人も居て流石にめんどくさい。



「アーサーお前の変身条件教えろ」

「はいっ。まず一定量まで魔晄を溜めます。魔晄はこの青白い光のことで攻撃防御どちらでも発生します。これは敵の魔力を媒体にするので攻撃の際は1m以内でしか魔光が出ません。防御はうまいことこの篭手で防ぐ必要があります」

「よしあとどれくらいで貯まる?」

「多分後2割です。でも下級魔法ばっかだと、まだまだかかりますが上級なら1発だと」

「わかった。メロついてこい」

「はい」

「アーサー俺らは5人引き連れる。それでわ・ざ・と・3人無視するから3人の攻撃、多分アーサー1人なら上級撃って決めてくるだろそれを食って覚醒しろ」

「ちょっと?! 防げないとかミスったらどうするんですか? 防がないといけないわけで撃たれたらオッケーじゃないんですよ?」

「その後はまた2人で考えるよ。ありがとなアーサー」

「待って待って早い早い諦めんの早くないですか?」



 テンパるアーサー

 メロと俺はいじられキャラのアーサーをからかって笑っている。



「どっちにしろこの状況お前頼みだ覚醒したら暴れろ」

 そう言って俺とメロは散らばっている5人をうまく誘導しアーサーから離した。



「さすが本陣に居た奴等だ強いな。それに隠れている全然場所がわからん。後衛の特性うまいこと使われてるな」

「そうですよ。さっきから攻撃してもしてもどこにもいないんすよ」

「じゃぁ後衛ならどこから攻める」

「見つかりにくい場所……上とかですね」

「そうだなけどこいつら遠隔魔法使いがいるな。攻撃場所を別のところから撃って遠隔魔法であらぬ場所から攻撃し居場所をわからなくしている」

「しかし無意識だろうが居場所から遠ざけている感じがあるな」



 パチンッ

 俺は剣を構え怪しい場所に斬撃を打つ。

 すると攻撃の手が止む

 やはり後衛組は遠隔魔法使いがいるようだった。敵は使用した魔法を別の場所から放てる魔法陣をあらゆる場所に仕掛け安全な場所から攻撃し、その魔法陣から攻撃しているように見せている。魔法陣の数も多く詠唱も早い。そして正確にこちらを追い詰める布陣だった。



「おお流石ですね」

「でも避けられて場所を変えられた。避けられなくする必要があるな」

「メロ」

 (ゴニョニョ)

 俺は作戦を伝えた。





「なんなんだよこいつら、本当に学生かよ上級魔法とか大人になってから使えよ」

 そう愚痴をこぼすアーサー

 アーサーの目の前に大きな燃える龍が居た。

「地味にかっこいい魔法だなもう」

 逃げながらこの龍の攻撃を交わすアーサー

 防ぐのが難しく逃げるのが精一杯のようだった。

 燃える龍は15mほどの大きさで蛇のような龍だった。

 それが木々を避け速いスピードで追いかけてくる。

 アーサーはスキを見ては殴りかかるが熱くて近くに立っていられない、それもありダメージが少なく龍を消せるほどのダメージを与えられていなかった。



「こんなん変身してから戦う魔法だって。なんで変身するためにこれと戦ってるんだよおかしい」

 独言が大きい。無茶振りされて怒っているが助けは来ないことも知っている。

「一か八かだ。おれが先かお前が先か勝負だ」



 アーサーは走り出す。木々を使い10mほど木を登ってきた。

 そして大きくジャンプした。

 龍は真下から追いかけてきておりアーサーを喰らおうとしていた。



「いくぞ! チャージ・ギア・ブルー」



 そう詠唱すると

 右手いっぱいに光が集まった。そのまま真下に向かって龍の口の中に拳を力いっぱいに振りかざした。

 龍の中でもがくアーサー。

 龍を半分ほど殴った時点で青白い光は消え失せ、意識が飛びそうになった。



「耐えろおれ」



 龍の魔法で覚醒するまでの時間この攻撃を耐えなければならなかった、ここで消えるわけにはいかないと我慢した。

 ちょうど龍の半分ぐらいで青白い光が爆発し龍を消し飛ばした。

 龍に飲み込まれている間にアーサーはギリギリのところで覚醒ができたようだった。

 あのときの鎧をまとった騎士のような出で立ちそれに最初から全力なのだろう白い羽根も展開して3人を探していた。



「おまえらおれを食ったな……覚悟しとけ。ギア!」



 そう言うと隠れている後衛組に向かって突っ込んでいった。


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