おれたち天使の部屋の極悪兄弟

文戸玲

これからのこと



 「お菓子が欲しかったの?」

 帰り道に母親は顔を覗き込むようにして問いかけた。正弥はその顔を見ないようにそっぽを向いて,何も答えなかった。
 実際,正弥はお菓子が欲しかったわけではなかった。

「今度は,ばれないようにするよ」

 正弥のほっぺたに電流が走った。肩を強くつかまれた。

「どうしてそんなこと言うの! もう,どうしてそんな困らせることを言うの! ・・・・・・人様に迷惑をかけないの! あとは・・・・・・,勝手にしなさい」

 市営住宅が見えると母親は一人先に部屋へと向かった。いつもなら,母親が返ってくるには少し早い時間だ。
 正弥の頭にふと疑問が浮かんだ。

 そういえば,今日仕事はどうしたんだろう・・・・・・。まあ,どうでもいっか。

 正弥の頭の中はこれからのことを考えていた。

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