恋愛話をし始める料理人

チェスを娯楽のアイテムとしてレストランに取り入れたいと思ったライトニング。

　有料でチェスが出来るレストランかつ芸人のライブが見れるレストラン。

　これは面白いと感じたライトニングはラップに相談してみた。

「ラップ、思いついたよ」

「何が？」

「私、さっきまでチェスやっていたでしょ」

「一緒にやっていたから分かるよ」

「あれを私のレストランに取り入れようと思うの」

「レストランにチェスを？」

「そういうこと。レストラン、ボルテックスにチェスを導入する。しかも芸人で俺の店で働きたい人もいるらしくてね」

「芸人？」

「そう、突撃姉妹一族だとか？」

「聞いたことない」

「知名度もない無名の姉妹コンビだって。貧乏らしくて」

「そうなんだ」

「それで、バイトで金稼ぎしながら売れる芸人目指すんだって」

「そういう人もいるんだ。男の娘カフェ経営の僕には分からない」

　ラップは夜のガーデンで風に当たりながら椅子でぐったりする。

ライトニングの膝でラップは寝ていた。要するにライトニングはラップに膝枕されている状態だ。

「いい気分だよ、ライトニング」

「そう」

これが膝枕かと思ったライトニング。心はまだ男なのに女の子っぽい男に膝枕される感覚が複雑であった。

　しかしこれはこれでよいものであった。

　ライトニングとラップはガーデンでしばらく休んだ後、自室へ戻った。

　ラップが風呂場へ行こうとすると、ライトニングが一緒に行こうと誘う。またメカ魔物に襲われると危ないと感じたからである。

「ラップ、１人だとまたメカ魔物に襲われるかも」

「大丈夫だよ」

「大丈夫じゃないでしょ？　メカ魔物は１体でも強いから」

「そう、一緒にくるの？」

「更衣室までは一緒に入られないけどね」

「そりゃあそうだよ！」

「俺の着替えをのぞくつもりなの？」

「何言っているの？　ついてきたければついてくるといいよ」

　動揺もせずに部屋を出るラップ。ライトニングが転生前に読んだラブコメならばこれで男が動揺するはずなのに、ラップはそうはならなかった。

　異世界に転生しても、ラブコメのようにはならないと理解するライトニングであった。

　更衣室で裸になって女風呂に入るライトニング。

　ボルト館と違って若い女の子が多く、女子の裸を見ることに罪悪感を持つ。

　そんな中、ライトニングは１人の小さい女の子と会う。チャーンである。

「あら、あなたってライトニング？」

「チャーンさんですか？」

「チャーンでいいって。年下だから」

「じゃあ、チャーン」

「何、昼は助けてくれてありがとう」

「いえ、助けるのはあたりまえだから」

「でも、あの時は油断していたし、あんたがまだ１０分くらい遅れてきても倒せたかもね」

「強気ですね」

「強気？　もちろんよ！　中華料理店経営でお店を経営しているんだから」

「すごいです。俺なんてチャーンの年のころじゃ計算も接客も出来ないよ」

「あっそ、分からなくはないわ。変な奴の相手するのも辛いしね。だから料理店経営ではどんなときも自信をもって強気でいるの」

「勉強になるよ」

「そう？　なら嬉しいけどね」


　チャーンとの料理店経営の話で盛り上がるライトニング。

　チャーンは次に恋愛の話を始める。

「私、ブルースっていう肉専門の料理人と付き合っているの」

「そうなの？　ブルースさんってあの銃を使いこなすイケメンさん」

「イケメン？　あれがイケメンだなんて。私からしてみれば筋肉馬鹿よ」

「申し訳ないです」

「何で謝るのよ？」

「失礼なことを申しました」

「別にいいわよ。彼は私より10歳も年上で大人って感じ。だから付き合うには大人すぎて最初は嫌だったの。でも一緒にいるたびに恋心を抱いちゃったの。メカ魔物退治で彼がかっこよくて」

　ブルースの話を楽しくライトニングに話すチャーン。ライトニングも負けずにラップについて話し始めるのであった。