MMORPG でレベルマックスのアバターに転生したが、料理人として生きたい為料理店経営する。

パペット信繁

豚の魔物

 レストラン、ボルテックスの留守をヒーラーに託してライトニングはコハナと豚の魔物を倒しに行った。



 草原に向かう途中でコハナはダークカンパニーの話をする。



 コハナもダークカンパニーのことは知っていた。コハナの話によるとダークカンパニーは豚の魔物を利用した高級料理を作っているホテルを経営しているようで、そこに多くの料理店の店長が集まるようだ。



「そんなホテルがあるのか?」



「はい。ダークカンパニーホテルです。森を通りかかった人がよく噂しておりました。しかし私もそのホテルがどのような場所かは分かりません」



「ホテルか。チェーン店だけではなくホテルまで経営しているのか」



「そこではジャンルに関係なく料理人を集め、彼らが作った料理を社長が実食するそうです」



「面白そうだが、社長に実食は緊張もする。うまいといってくれるか」



「ヒーラーさんの説得でライトニングさんはボルテックスを大きな店にするつもりでしょうが、まずはその企業に接触してはいかがですか?」



「考えておく。しかし、レストラン、ボルテックスをしばらくコハナとヒーラーに託すことになる」



「ヒーラーさんがいらっしゃれば大丈夫です。それに私も休日はダンス教室に通いますからね」



「ああ、教室見つかったのか?」



「ええ、アンペア商店街にあったのが良かったです。ヌルさんに教えてもらい、高いですが教えは上手な先生だそうです」



「そうか、それでダンスのジャンルは?」



 ダンスはジャンルがある。それは転生前からダンスをしたくないライトニングでも分かること。転生前、西南雷気だった時のライトニングは踊るのが恥ずかしいといる理由で踊りたくないライトニングであったが、女になっても踊りたくない気分である。



 踊れば間違えなく下手すぎてバカにされるのがオチだ。



 しかしコハナは踊る気満々で、今でもダンスの練習をし始める。それはアイドルの踊りに近い。



「もしかしてコハナ。アイドル教室に入ったのか?」



「アイドルかどうかは分かりませんが、歌の発声練習はありました」



「踊って歌うならアイドルだな」



「一緒に練習する2人のお仲間さんもおりますので頑張りますよ」



 豚の魔物を倒してその肉を手に入れるつもりが、ダークカンパニーの話とコハナのダンス教室の話となって話が脱線してきた。



 しかし、草原につくと、気を取り直して豚の魔物の狩りに集中する。



 豚の魔物はリンゴの木のリンゴを食べるために、リンゴの木あたりにいれば見つけることが出来るとライトニングはコハナから教わった。



 コハナは豚の魔物に関する内容は仕事で教わったようで、それがここで貢献された。



 思えばコハナがやってきた仕事というのは無駄なことばかりではなかったのだ。



 リンゴの木にいると、豚の魔物が現れる。豚というよりはライオンのようで凶暴で体系も大きく、全長3メートルある豚の魔物。突然現れるといきなりリンゴの木に体当たりした。



木は倒れ豚の魔物は猛獣のようにリンゴを食べる。



「コハナ、こりゃあ魔獣だな」



「魔物ですから当たり前です。しかし肉はおいしいです」



「おいしいさは今はどうでもいい! それより奴を倒せるかだな」



 ライトニングは豚の魔物に向けて矢を放つ。



 この豚も前にライトニングが戦ったことがある牛の魔物と同じで体が硬い。ライトニングの放った矢が当たっても矢は刺さったままライトニングを襲う。



 ライトニングは連続で矢を放ち、10本の矢を豚の魔物に食らわせ、最後の10本目の矢は豚の魔物の頭に命中してやっと倒せたと思ったらまだ20秒も動けていたため、信じられなかった。しかし20秒後に倒れて死んだためライトニングは安心した。





「頭に当たったのに即死じゃになんて」



「豚の魔物の脳が人間の脳と比べて安定しているからとか。しかし長時間脳がおかしくなれば流石に脳の働きがなくなって死にます」



 豚の魔物の脳についても気になったが、もう1つ気になる集団がいた。青い作業服と青い帽子をかぶっている作業員のような人達が豚の魔物の死体を次々と全自動輸送トラックに入れていた。



「あの作業員は?」



「おそらく、ダークカンパニーの社員ですね。青い作業服と青い帽子はダークカンパニーの兵士です」



「兵士?」



「魔物を倒す作業を行う兵士部というのがありまして、彼らは魔物を狩って本社に輸送するのが仕事です」



「なるほど、彼らもちゃんと働いているんだな」



 ライトニングは彼らを見て、自分もかつてはこのように辛い思いをしながら仕事をしていたことを思い出した。



 あの時のことを思い出して、今の自分がだらしないようで恥ずかしかった。


コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品