MMORPG でレベルマックスのアバターに転生したが、料理人として生きたい為料理店経営する。

パペット信繁

コハナがダンスをしたい理由

ライトニングがボルト館でおりゅ改め風呂を楽しんでいる一方でコハナとヒーラーは店を10時まで営業し続ける。しかしコハナがまだ酔っているためヒーラーがどうにかして店を経営するしかない。



 注文を聞いてそれを作っては客のところまで運ぶ。



 こういったことで大忙しなのであるが、ヒーラーはアンドロイドで疲れというものがない。



 しかしバッテリーがなくなるというものがあるため、時間があるときには充電しなければいけない。ヒーラーの体は電気の魔力で充電するシステムになっている。



 それを得てヒーラーは体を動かしているようなので、休む時は魔力充電をし、終えたらまた働く。これを繰り返していた。



 充電中は寝ているようなものであるため酔っているコハナをほったらかしにしては店を空けているも同然のような感じだ。



 それがヒーラーにとっても怖いことであったが、コハナは酔いがさめるのが早いのかヒーラーの充電が無くなりそうであることに気づくとすぐに対処する。



「大丈夫なのですか? ヒーラーさん」



「バッテリーが無くなりそうなだけだよ。少し寝れば大丈夫。それよりもコハナちゃんは酔ってるんだから仕事しちゃダメだって」



「仕事が大変なら酔いも覚めます。これから私もダンス教室の資金を集めないとですから頑張らなければ」



 仕事に戻ってヒーラーに代わり努力をするコハナ。しかし酔いが原因でふらつきがあり、皿洗いで皿を割ったり、客に水をこぼしたりしたときの謝罪。さらには客のメニューの苦情で苦しんだりと辛い面もある。



 そんな状況を見てヒーラーはコハナをサポートする。



「私はアンドロイドだから完璧にストレスなく出来るけど、コハナちゃんは人間だから無理しちゃだめだよ」



「そうでしょうか? ですが全てをヒーラーさんに任せてはおけません。出来ることは全てでなくても、やれるものはやらないと」



「そうなんだね。そういえば、コハナちゃんは何でダンスがしたいの?」



 これはライトニングでも知らないことであるが、コハナがダンスをしたい理由が分からない。それについてヒーラーはライトニングよりも先に知っておこうと今聞けそうなダンスの話をコハナにしてみるのであった。



「そうでしたね。ちゃんとした話はライトニングさんにもしておりませんでしたね」



「聞きたいな」



 コハナがダンスをしたい理由は、貧乏で友達もいなくて1人退屈で学校にも行けず家で朝から晩まで家族の借金返済で労働することが人生だったコハナ。自由が欲しいコハナは外の世界にあこがれていたのだが、そんなときにコハナは家から離れた森で仕事中に薪を運んでいるときに、コハナの家の周辺の住民が、3人の少女ダンサーのダンスを見ていた。



 それを見たコハナはダンサーのダンスに感動し、いつか自分もそんな感じになりたいと願っていた。



 ダンサーは何回か森に来ていたのでコハナも時に仕事の最中にダンサーのダンスを見る。



 それで時間を見つけてはダンサーのダンスを踊っていた。



 そんな日々であったが、現実は本物のダンサーにはなれない。どんなに働いても森からは出られないし、自分のダンスを見てくれるダンサーなんていない。



 森で働き借金も返せないままやこのまま自分は人生を森で終えるのかと思っていた時にライトニングと出会い、彼女は外の世界へ自分を連れ出してくれた。



 借金ともおさらばで自由を手に入れたコハナは、ダンスの世界を夢見ることが出来る希望を持つことが出来た。それがあと少しで叶うならと考えてコハナはどんな精神的に辛いことでも耐え続けるのであった。



 ヒーラーはこれを聞いて涙する。



「アンドロイドでも涙が出るのですか?」



「まあね。水も摂取しないと熱暴走をおこすらしくて。でも私は心があるから悲しい話を聞くと……」



 ヒーラーはコハナの想いに答えるためにもレストラン、ボルテックスの経営に全力を尽くすのであった。

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