MMORPG でレベルマックスのアバターに転生したが、料理人として生きたい為料理店経営する。

パペット信繁

コンカの洞窟 3階層

3階層まで進んだライトニングとコハナ。魔物も強くなり、ネズミの魔物だけではなくカラスの魔物まで現れる。



 ライトニングは何ともなく簡単にカラスであろうがネズミであろうが倒していくが、コハナは短剣を装備しているだけで戦闘も得意ではない。



 ケガをすれば体力も消耗しやすい。すっかり体はボロボロの状態。



 ライトニングはここで知恵を絞る。ネズミの魔物を料理の素材にしようと考えた。



 今は鞄には蜂蜜しかなく、そろそろ無くなりそうである。そこで少しでも肉や魔物の血でも良いから飲んでおこうと考え、さらには魔物の肉を焼いて食べようと考えるのであった。



 西南雷気だった時のライトニングはネズミを食べたことはなかったが、肉は焼いたり煮たりすれば食えるものであると考えているため、ネズミも焼けば食えると信じていた。



 さらにコハナは怪我をしているため、傷口を手当てするための皮が必要だった。



 その皮でちょうど良いのがカラスの魔物の皮であった。



 カラスの魔物の皮はライトニングがこの世界に来る前の世界にいたカラスの皮とは違い、厚い皮のようであった。



 そもそもカラスの魔物が全長150センチで人間と大きさが変わらないのと、ライトニングが前にいた前世のカラスよりも動きが遅い。そのためライトニングの弓矢はカラスの魔物に必ず命中する。



 しかもカラスの足とくちばしで矢も作れていいことだらけであった。



 カラスも当然ライトニングは前いた世界では食べたことはないが、生きていくためには背に腹は代えられない。



 ライトニングは生きるためにネズミとカラスの魔物の肉を食すために焼いて食べることにした。



 火を起こすためには燃やすものが必要だが、そういったものはネズミとカラスの魔物の皮を燃やすだけで、木材は必要なく、洞窟にあった石で火をおこし続けるだけでよかった。



 ライトニングは鞄に初めからあったキャンプ用の小さな直径15センチのフライパンを取り出して少しずつネズミとカラスの魔物の肉を焼いていく。



 そして3階層の洞窟の石で作った皿とスプーンを用意してコハナと一緒に食事を楽しんだ。



 ネズミとカラスの肉も余ったため、ライトニングは鞄から余りものの食べ物を保管するタッパーをカバンから取り出してネズミとカラスの魔物の肉をしまう。



 コハナはネズミとカラスの魔物の肉を食べておいしくはなかったようだが、喜んでいた。



「不味い肉だった。硬くて味が変でおまけに塩とかの調味料もないなんて」



「やはり調味料は大事ってこと」



「それはもう、死にかけた洞窟探索をしていますからこの肉が不味くてもおいしく感じます」



「そう……」



「ああ、また失礼なことを言ってしまいました!」



 反省して慌ててふさぎ込もうとするコハナだったが、ライトニングは気にせずコハナを慰める。



「いいさ、不味くても仕方がない。鞄にはフライパンとかタッパーしかなかったから。調味料がないんだよ」



「これから手に入れましょう! それにライトニングさんはお皿にスプーンも作れるのですね」



食器はMMORPGゲームで得た生活関連スキルの下級スキルであるアイテム政策であって誰でも手に入れられるようなスキルであるため自慢はできない。



 箸とフォークとナイフではなくスプーンを作ったのも、ライトニングのスキルでは皿とマグカップとスプーンしか作れない。



 そのため、料理系でどこでも作れるアイテムというのも限られていた。



 唯一フライパンがあるだけでもありがたいと感じていた。これはクエストでなければ手に入らないようなレアアイテムだからである。



 これから4階層に向かうライトニングとコハナであるが、これは最下層ではないとライトニングは考えていた。



 そこは目の前に5階層へ続くだろうと思われる怪しいエレベーターがあったからだ。



 エレベーターは魔法で動く魔導式エレベーターであり、そこから誰かが外へ出てきた。



 見た目は人のようだが人じゃない。



 人型で見た目は白兎。そして大きな虹色の羽をはやした身長2メートルの魔物であった。



「コハナ、あれはこの階層の守護者かな?」



「かもしれないですがもしかするとこの洞窟の主かもですよ」



 人型兎の魔物はうなり声だけをあげてライトニングに襲い掛かる。



 空を飛んでひっかき攻撃をしたり炎のブレスを吐いたりする。



「俺の着ているビキニは火に強く、この体も火体制がある。心配はないがコハナは焼かれたら即死だな」



 ライトニングは弓矢を撃ち続けてコハナを守りながら人型兎の魔物と戦うのであった。


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