MMORPG でレベルマックスのアバターに転生したが、料理人として生きたい為料理店経営する。

パペット信繁

ライトニング

どれくらい歩いたのか分からないが、西南雷気がかつて自分がMMORPG ゲームで操作してた女性アバターのライトニングになって草原で目を覚ましてから10日か経過した。



 歩いても歩いても草原が続くだけで周りにはハチの魔物。倒せば蜂蜜が手に入るから良いのであるが、喉が渇いた時の飲み物でしかない。採取でキノコは取れる為、食べ物は食べれないこともないが、そろそろ他のものが食べたいと思ってくる。



 しかし他の魔物が現れないのも妙である。



 ここは夢の中なのか、それとも自分がいた世界とは別の世界なのか、死んで天国へ行ったのか。



 召喚でこの世界に連れて来られて、姿もライトニングに変えられたのか。



 全く何が何だか分からない。



 しかし走っても走っても草原が続く事から、ライトニングは草原が出口のないダンジョンのように感じて辛かった。



 そんな時に草原から今度はハチではなく別の魔物が現れた。大きな玉ねぎに顔があり短い手足の魔物だ。



 野菜の姿をした植物系の魔物のようであるが、その強さはどうなのかライトニングはあえて玉ねぎの魔物の攻撃を喰らう。



 攻撃は体当たりだったが、ライトニングは痛くも痒くもない。



 反撃で足で蹴飛ばしただけで簡単に倒せた。



 ハチの魔物どの戦いの時もそうであるが、魔物をあっさり倒すことができる。



 これは西南雷気である時にMMORPG ゲームでライトニングを育ててレベルマックスの状態が、そのままこの世界で引き継がれている事が原因なのかとライトニングは考えていた。



 そうでもなければここまで強いはずはない。



 西南雷気だった時のライトニングはは運動は得意ではないし、魔物と実際に戦えば簡単に死ぬような男である。



 普通ならばファンタジー世界に憧れて冒険をした実戦がシロートなパーティーメンバーは下級の魔物にあっさり倒される。



 ファンタジー世界は明るい感じのように見えて実は暗い。



 ライトニングは自分の強さに不思議と恐怖を覚えた。



 特に恐怖なのは弓攻撃である。



 ライトニングが放つ矢の威力は、岩を粉々にするほどの威力。首のある魔物ならばライトニングの放った矢が首に命中すれば切断されるほどだ。



 突然現れた大きな熊の魔物が現れ、熊の魔物は玉ねぎの魔物を襲っては食べ続けていた。



 そして今度はライトニングを狙ってきたのだ。ライトニングは逃げ出すも熊はどこまでも追ってきた。



 流石に戦うしかないと思いライトニングは弓を構えて矢を放つ。



 矢は熊の魔物の首に命中し、熊の魔物の首は切断されて飛んだ。



 ライトニングは熊の魔物の肉を手に入れた。



 この世界では魔物の肉は食えるのか分からないが、肉が食べたくて仕方がないライトニングは、火をつけるための薪を草原で探す。薪はすぐに集まった。鞄には鏡石があり、太陽に鏡石を当てて反射し、集めた薪に当てて火をつけた。



「サバイバルはあまりしたくはないな。それに玉ねぎの魔物から本物の玉ねぎを落としてくれたからいいね。それと熊の魔物の肉」



食えるのかと不安なライトニングであるが、蜂蜜も美味しく飲めて体調も良好になった為、玉ねぎと熊の魔物の肉は大丈夫だろうとライトニングは考え直した。



 ライトニングは玉ねぎと熊の魔物の肉を焼いて覚悟して食べる。



 その味は美味しかった。しかも体も温まり、疲れがなくなるほどの素晴らしい食べ物だった。



 特に熊の魔物の肉はかつてライトニングが西南雷気だった時にたまに行ってた焼肉屋の牛肉の味と同じで、いくらでも食べれるほどだった。



 こんなに美味しいものが食べられる世界なんて素晴らしいと感じ、しかも自分は強い。



 仕事があって退屈な世界で西南雷気として生きるよりはこっちで生きていたいと思うようになった。



 毎日熊の魔物を退治してはこうやって食事をしたり、玉ねぎの魔物を倒して玉ねぎを得て焼いて食べたりと毎日をこうやって過ごしたいと思うようになった。



 そんな気持ちでライトニングは草原を走る。



「こんな楽しい事はいつぶりだろう。美味しいものを食べれるなんて。社会人になってからいつも自分の作った健康的な食事ばかりだったしね」



 西南雷気の時のライトニングは健康食マニアで体に良い食べ物を研究しては食事制限なども考える性格だった。



 特にライトニングは揚げ物と酒、ラーメンなどといった油っこいものは1ヶ月に1度しか食べない性格。



 しかしライトニングはそんな事も忘れて今は美味しいものを食べれる事に喜びを感じていた。



 それから何日かこういった食事を続けているとまた飽きる。



 気がつけばこの世界にライトニングとして生きて何日になるかライトニングには分からなくなった。



 ライトニングは1人の食事遠繰り返しハチと玉ねぎの魔物を倒し続けるだけの旅でつまらなくなった。



 そろそろ本物の水を飲みたくなる。



 水分はこれまで蜂蜜だけで取ってきたが、蜂蜜では水分は少ない。1カ月は蜂蜜だけでもこの世界は生きていけるようだがそれ以上は厳しい感じである。



 その為ライトニングは今、水が欲しかった。



 クラクラしながらも水を探そうと草原を歩いていると、川を発見する。



「おお〜、ようやく見つけた。今は水だ」



 そんな感じで喜んで川に近づくと、その川は濁っていた。



 泥んこの水でゴミが流れており飲める水とは言い難い。



 どうするべきかとライトニングは思うが、今は川の水を浄水する方法が喉が渇いて思いつかない。



 ライトニングは蜂蜜を飲みながら喉を少しでも潤して考える。



 そんな時、遠くから誰かが川の水を飲もうとしている。



 それは中学生くらいの女の子でボロい布の服と布のズボン。肌も泥で汚れており髪も黒髪で長い。



 ライトニングは水を飲んだらお腹を壊すと説得しようとした。



「待ってって。飲んだら死ぬって!」



「飲ませてください!」



「喉が渇いているのでしょう? でも流石にこんなに汚れた川を飲んだら毒を飲むと同じだって!」



「飲ませてください! もう3日も飲んでないのです。あなたがおっしゃる事は理解出来ますが、毒でも何でも今は飲まないと!」



必死に川の水を飲もうとする女の子。



 言葉が通じる事にライトニングは驚いたが、今は女の子に川の水を飲ませない事が重要であった。

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