全ての魔法を極めた勇者が魔王学園の保健室で働くワケ
ルクスリアの後悔
「それそうと、思念魔法か……。ルミナリエの奴、そんな魔法まで使えるんだな」
ルクスリアは、ルミナリエから緊急通信で連絡を受けたと言っていた。
俺は、ルミナリエが思念魔法を使えるなんて知らなかったから、使い魔を介した伝言を頼んだんだけど、確かに、思念による通信の方が確実で速いよな。
ただ、100年前は無かった魔法だし、改めて覚える必要性も感じなかったから、俺は習得していない。
俺の場合、『急ぎで伝えたい事は転移して直接、伝えれば良いだろう』という考えだったからなぁ。
逆に、急ぎで無いなら手紙を出せば事足りる訳だし。
だけど、今回のように、その場から動けない状況で連絡が必要になる場面も、この先あるかも知れない。
適当に時間を見つけて練習した方が良いかもな。
「ふっふっふ。それくらいは、当然ですよ! なんと言っても、姫様は魔王様の実の娘ですからね! そして、いずれは【魔王】を継承し、この魔界を統べる偉大な御方なのですから!」
まるで自分の事のように……いや、むしろ自分の事よりも遥かに誇らしそうに、ルミナリエを賛美して胸を張るルクスリア。
コイツ、本当にルミナリエの事が大好きなんだな。
だけど……。
「あー、盛り上がってるところ悪いんだけどさ、ルクスリア? その“魔王様の娘だから出来て当然”っていうの止めた方が良いと思うぞ。アイツ、かなり気にしてたし、プレッシャーも感じてたみたいだからさ」
教会で、ルミナリエから打ち明けられた悩み……いや、本人は悩みとも思って無かったみたいだけど。
とにかく、その心の奥に秘められていた蟠蟠りを詳しく説明する。
すると、ルクスリアの顔から、どんどん血の気が失せていき、元から青白かった肌が更に青くなった。
「そんな……まさか……姫様に聞かれていたというのですか……?」
「……ん? もしかして、面と向かって言った訳じゃないのか?」
ルクスリアの驚きは、ようやく自分の失言に気付いた、というよりも、むしろ隠していた秘密を暴かれた時のそれに近かった。
「当然です! 本人を目の前にして、そんな事を言う筈が無いでしょう! ……ただ、あの魔王様の血を受け継ぐ方ですから、どうしても期待してしまうのです。姫様の限界は、こんなものじゃない。こんなのは、まだまだ序の口だと……」
「……まぁ、その気持ちは分かる」
魔法の才能は、容姿や性格以上に、親の影響を受けやすいからな。
教会では、ルミナリエの選択を尊重すると言った俺自身も、彼女の潜在能力には期待を抱かずに居られないし。
このまま順調に成長したら、どこまでの高みに上り詰めるのか、その到達点を見届けてみたい気持ちは確かにある。
ましてや、魔王と、その娘に対する過剰な敬愛を拗らせているルクスリアなら、その期待の大きさは計り知れない。
だから、きっと、あちこちで、その話題を口にしていて、うっかり本人に聞かれてしまったんだろうな。
ルクスリアの事だから、この話をする時は相当にエキサイトして、声もデカくなってるだろうし、周りも見えなくなってそうだ。
「……ああっ、私としたことが、姫様を傷付けている事に気付かなかったなんて!」
……まぁ、ぶっちゃけ、ルクスリア以外の口からしか聞いてないという可能性もあるけど、せっかく反省してるみたいだし、余計な事は言わないでおくか。
これからは無闇に興奮しないよう、自重して貰うとしよう。
ルクスリアは、ルミナリエから緊急通信で連絡を受けたと言っていた。
俺は、ルミナリエが思念魔法を使えるなんて知らなかったから、使い魔を介した伝言を頼んだんだけど、確かに、思念による通信の方が確実で速いよな。
ただ、100年前は無かった魔法だし、改めて覚える必要性も感じなかったから、俺は習得していない。
俺の場合、『急ぎで伝えたい事は転移して直接、伝えれば良いだろう』という考えだったからなぁ。
逆に、急ぎで無いなら手紙を出せば事足りる訳だし。
だけど、今回のように、その場から動けない状況で連絡が必要になる場面も、この先あるかも知れない。
適当に時間を見つけて練習した方が良いかもな。
「ふっふっふ。それくらいは、当然ですよ! なんと言っても、姫様は魔王様の実の娘ですからね! そして、いずれは【魔王】を継承し、この魔界を統べる偉大な御方なのですから!」
まるで自分の事のように……いや、むしろ自分の事よりも遥かに誇らしそうに、ルミナリエを賛美して胸を張るルクスリア。
コイツ、本当にルミナリエの事が大好きなんだな。
だけど……。
「あー、盛り上がってるところ悪いんだけどさ、ルクスリア? その“魔王様の娘だから出来て当然”っていうの止めた方が良いと思うぞ。アイツ、かなり気にしてたし、プレッシャーも感じてたみたいだからさ」
教会で、ルミナリエから打ち明けられた悩み……いや、本人は悩みとも思って無かったみたいだけど。
とにかく、その心の奥に秘められていた蟠蟠りを詳しく説明する。
すると、ルクスリアの顔から、どんどん血の気が失せていき、元から青白かった肌が更に青くなった。
「そんな……まさか……姫様に聞かれていたというのですか……?」
「……ん? もしかして、面と向かって言った訳じゃないのか?」
ルクスリアの驚きは、ようやく自分の失言に気付いた、というよりも、むしろ隠していた秘密を暴かれた時のそれに近かった。
「当然です! 本人を目の前にして、そんな事を言う筈が無いでしょう! ……ただ、あの魔王様の血を受け継ぐ方ですから、どうしても期待してしまうのです。姫様の限界は、こんなものじゃない。こんなのは、まだまだ序の口だと……」
「……まぁ、その気持ちは分かる」
魔法の才能は、容姿や性格以上に、親の影響を受けやすいからな。
教会では、ルミナリエの選択を尊重すると言った俺自身も、彼女の潜在能力には期待を抱かずに居られないし。
このまま順調に成長したら、どこまでの高みに上り詰めるのか、その到達点を見届けてみたい気持ちは確かにある。
ましてや、魔王と、その娘に対する過剰な敬愛を拗らせているルクスリアなら、その期待の大きさは計り知れない。
だから、きっと、あちこちで、その話題を口にしていて、うっかり本人に聞かれてしまったんだろうな。
ルクスリアの事だから、この話をする時は相当にエキサイトして、声もデカくなってるだろうし、周りも見えなくなってそうだ。
「……ああっ、私としたことが、姫様を傷付けている事に気付かなかったなんて!」
……まぁ、ぶっちゃけ、ルクスリア以外の口からしか聞いてないという可能性もあるけど、せっかく反省してるみたいだし、余計な事は言わないでおくか。
これからは無闇に興奮しないよう、自重して貰うとしよう。
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