全ての魔法を極めた勇者が魔王学園の保健室で働くワケ
駆け付けたのは
「おっ、この魔力は……」
結界が破られたのは、人が1人通れるような狭い範囲で、すぐさま再生した。
しかし、当の本人が通り抜けるには、それで充分だったらしく、凄い勢いで接近してくる。
そんなに慌てなくても、問題なら無事に解決したのにな。
「シルクさん! 大丈夫ですか!?」
「見れば分かるだろ、ルクスリア。この通りピンピンしてるよ」
そう、結界を強引に突破して侵入して来たのは、魔王の右腕ルクスリアだ。
わざわざ俺の身体をペタペタと触って、傷が無いことを確認すると、彼女は漸く肩の力を抜いた。
「……はぁ。それなら良かったです」
「なんで、そんなに慌ててるんだ? というか、どうして、お前がココに?」
コイツは俺の魔法を受けて、女子寮で寝てた筈だけど。
それとも、とっくに目が覚めて、この近くまで試験を見に来てたのか?
「どうしても何も、姫様から緊急通信が届いたのです。それで反射的に飛び起きて話を聞いたら、シルクさんが正体不明の敵と交戦中とのことでした。その上、シルクさんが姫様を遠ざける程に危険な相手だとか。……そ、そんな話を聞かされたら心配で、居ても立っても居られないじゃないですかっ」
どこか言い訳がましく捲し立てるルクスリア。
俺は別に責めたつもりは無いんだけどな。
……いや、僅かに顔が赤くなってるから、一人相撲の羞恥心を取り繕いたかったのか?
「そ、そうなのか。余計な心配を掛けて悪かったな」
「……いえ。私の方こそ冷静に対応すべきでしたね。本当に切迫した状況なら魔王様から命令が下る筈ですから。それが無かったということは、シルクさんだけで対処可能だと判断されたのでしょう」
ばつが悪そうに目を背けるルクスリア。
寝起きの頭と本調子でない身体で、咄嗟に動けるだけ大したもんだと思うけどなぁ。
「例え、そうだとしても、俺は嬉しかったけどな。ルクスリアが心配してくれて」
――なんせ、勇者としての俺を心配してくれたのは、ほんの一握りの人間だけだったからな。
「な、何を言ってるんですか。まったく……元勇者ともあろう者が、人をこんなに不安にさせて。精進が足りませんよっ!」
「へいへい」
……それにしても、ルミナリエの奴、この対応は本当に心配してたのか、それとも仲間外れにした腹いせなのか、いったいどっちなんだろう。
可能性としては、どちらも半々の割合というのが、一番ありそうだな。
ルミナリエの事だから、俺を困らせたいだけなら他人を巻き込んだりしないだろうし。
結界が破られたのは、人が1人通れるような狭い範囲で、すぐさま再生した。
しかし、当の本人が通り抜けるには、それで充分だったらしく、凄い勢いで接近してくる。
そんなに慌てなくても、問題なら無事に解決したのにな。
「シルクさん! 大丈夫ですか!?」
「見れば分かるだろ、ルクスリア。この通りピンピンしてるよ」
そう、結界を強引に突破して侵入して来たのは、魔王の右腕ルクスリアだ。
わざわざ俺の身体をペタペタと触って、傷が無いことを確認すると、彼女は漸く肩の力を抜いた。
「……はぁ。それなら良かったです」
「なんで、そんなに慌ててるんだ? というか、どうして、お前がココに?」
コイツは俺の魔法を受けて、女子寮で寝てた筈だけど。
それとも、とっくに目が覚めて、この近くまで試験を見に来てたのか?
「どうしても何も、姫様から緊急通信が届いたのです。それで反射的に飛び起きて話を聞いたら、シルクさんが正体不明の敵と交戦中とのことでした。その上、シルクさんが姫様を遠ざける程に危険な相手だとか。……そ、そんな話を聞かされたら心配で、居ても立っても居られないじゃないですかっ」
どこか言い訳がましく捲し立てるルクスリア。
俺は別に責めたつもりは無いんだけどな。
……いや、僅かに顔が赤くなってるから、一人相撲の羞恥心を取り繕いたかったのか?
「そ、そうなのか。余計な心配を掛けて悪かったな」
「……いえ。私の方こそ冷静に対応すべきでしたね。本当に切迫した状況なら魔王様から命令が下る筈ですから。それが無かったということは、シルクさんだけで対処可能だと判断されたのでしょう」
ばつが悪そうに目を背けるルクスリア。
寝起きの頭と本調子でない身体で、咄嗟に動けるだけ大したもんだと思うけどなぁ。
「例え、そうだとしても、俺は嬉しかったけどな。ルクスリアが心配してくれて」
――なんせ、勇者としての俺を心配してくれたのは、ほんの一握りの人間だけだったからな。
「な、何を言ってるんですか。まったく……元勇者ともあろう者が、人をこんなに不安にさせて。精進が足りませんよっ!」
「へいへい」
……それにしても、ルミナリエの奴、この対応は本当に心配してたのか、それとも仲間外れにした腹いせなのか、いったいどっちなんだろう。
可能性としては、どちらも半々の割合というのが、一番ありそうだな。
ルミナリエの事だから、俺を困らせたいだけなら他人を巻き込んだりしないだろうし。
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