不幸でも異世界チーレム!

千歳

■第11話 近衛騎士団団長



ノックの音が聞こえた。


「はーい。どちら様ですかー。」


エリーが答えた。


「私です姫様。」


それは女性の声。凛々しさのある声だった。


「あなたなの?レベッカ」


「はい。ただいま到着致しました。」


ガチャ


エリーが扉を開ける。
するとそこには兜なしの甲冑の女性が佇んでいた。
甲冑と言っても軽装備だ。
胸当てと手甲、それに腰当。
腰には立派な剣を装備している。


「お久しぶりです。姫様。」


「レベッカ久しぶりね。」


「お変わりはございませんか?」


「えぇ大丈夫よ。立ち話もなんだし入って。」


「ありがとうございます。っとそちらの殿方は?」


「あ、紹介するわね。こちらカンザキ・マサキ。私のパーティメンバーで将来の婿さん。」


「は!?!?」


「ちょっ!今はまだそれ言うの早すぎるだろ!!」


「貴様!!姫様を誑かしたのか!!!殺してやる!!」


「ちょっと!レベッカ落ち着いて!!私もマサキを愛してるんだから!!
ていうかあなたより強いからやめて!逆に怪我する!!」


「姫様!!こやつはそんな柄には見えません!!ここで一太刀すれば!!!」


「ちょ!やめろって!!誑かしてなんかいないから!」


「レベッカ!!落ち着きなさい!!これは命令です!!」


「姫様...!!しかし...!!」


「黙りなさい!!」


「はい...」


「分かってくれたのなら良いわ。とりあえず座って。話しを聞いて頂戴。」


「分かりました...。」


座ったレベッカ。
レベッカという女性はこちらをギロッと睨んでいる。
話しずらい...


「さっきも説明したとおりこちらはカンザキ・マサキ。異世界人よ。」


「異世界人?姫様本当に誑かされて...?」


「されてないから!!因みにこれが証拠よ。マサキ見せてあげて。」


「あぁ分かった。」


俺は隠蔽を外したギルドカードをレベッカに見せた。


「2742レベル...どういうことだ...それに神の使いって...
これを見せられて異世界人じゃないとは流石に私とて言えませんね...。」


「分かってくれたのならありがたい。それでキミは?エリー紹介してくれるか?」


「えぇ。この子はレベッカ。レベッカ・トルフォニカ。私の正真正銘の騎士よ。
因みにこの子は近衛騎士団団長よ。女性初のね。この世界では珍しいと思ってくれればいいわ。
あなたよりは弱いかもだけど。技術は世界レベル。あなたが来るまでは世界最強だったのよ。」


「マジかよ...レベッカ...さん。よろしくお願いします。」


「あぁ。マサキ...と言ったか。貴方がどれほど強いのか分からない。あとで手合わせ願おう。」


「いや俺強くないから。正直技術が世界最強とか言われたら俺負けるから。
魔物相手だったらって話だから。やめてマジで。」


「むぅ。分かった。マサキがそこまで強そうとも思えないのでな。
この世界では"達人級になると相手の力量が見れば分かる"と言うのだよ。まぁそういう事だ。」


「それでねレベッカ、話は変わるんだけれど、私達旅をしようと思うの。
それに着いてきてくれないかな?」


事の発端を全て話した。
俺が転生者、エリーとの出会い、討伐した魔物の事、その他etc...
エリーが必須事項の事の様に俺との夜の営みの事も話そうとしたがそこは俺が全力で止めた。
話したら俺は肉の塊になってる頃だろうしな...
そしてエリーと俺は話を終えると次にレベッカの事を話してくれた。


詳細はこうだ。




●レベッカ・トルフォニカ
箱庭の宮廷アミスコーリアットの近衛騎士団初の女性団長
エリーが冒険者になる前はしっかり騎士団の育成に手を焼いていた。
だがエリーの冒険者宣言を聞いてから、国王が命令を下さし、
今はエリーの騎士として近くにいる。
これまで姿を見なかったのは急ぎの仕事があったとかなんとか。




そして俺から見た容姿はこうだな。
先程の軽装備以外の容姿は、髪色は綺麗な黒髪ボブ。
身長はエリーと同じくらいか少し高い程度。
腕や足を見る限り、鍛えてるせいか筋肉質。だがいい鍛え方をしているようで、
そこまでゴツゴツはしていない。なんなら細い。だがお尻は安産型。いい形をしている。
胸の方は胸当てのせいで見えない部分もあるが多分貧乳なのだろう。というかスレンダー?
というか部屋の中なんだから装備取れよ...そこはプライド的なのも入ってるんだろうけども。


といった感じの容姿だ。
俺はちょっと妄想する。
レベッカとの夜を想像する。
これはこれで悪くない。ジュルリ。
おっといかんいかん話がそれてしまう。


そんな妄想をしているのを知ってか知らずかレベッカが話だす。


「分かりました。
姫様が旅に出ると言うならば私も同行致します。
ただ一度宮廷に戻り国王様にご報告しなければなりません。
なので明後日が出発になると思います。」


「明後日ってよくわかるな。国王様はそれでもエリーの父親だ。
俺が言うのもあれだが、反対するんじゃないのか?」


「そこは大丈夫でしょう。既に冒険者になると姫様が仰っております。
そしてその許可は出ています。それに自分で言うのもあれですが私もいます。
これでも強い方なのです。なので報告だけで済むと思います。
あと国王様の性格も含みますね。」


「マサキ大丈夫よ。レベッカが言う通り、パパはそんな事じゃ反対しないわ。
なんならいいよーくらいの軽い感じで言ってくると思うから。」


「国王様軽いのか...まぁならいいけど。
じゃあ俺たちはここで待ってればいいのか?」


「はい。そうですね。見るところ身支度なども既に済まされているようですので、
お待ち頂く形になります。」


「それは了解した。それとなんだけど、
今言うのはなんだが俺はこの世界の事をあまり知らない。
なので今いるエリーとレベッカさんにこの世界について教えて貰いたい。
というかそれ聞かないと旅の行き先を決められないんだよね。」


「なるほど。分かりました。私も騎士団に入る前は世界を旅しておりましたので
僭越ながら私からご説明致しましょう。」


それから何時間かかけてこの世界の事を説明してもらった。
既に説明されている事を省くと、
まずこの世界には大きく括ると5ヶ国存在する。
今俺らがいる所は東に当たる。
東のアミスコーリアット
西のマフォール
南のエールニカ
北のダスコール
これらの国は地図で表すと4ヶ国とも端っこにある。
そしてもう一つ。魔王の国。ゲヘナ。
魔王の国の近くをゲヘナエリアとも呼ぶらしい。
中央に魔王の国があるとそこを通らなくてはいけないと思われるが、それは違う。
ちゃんと道は整備されている見たいだ。ただすっごく遠回りになるらしい。
真ん中を突っ切るのもいいらしいが危険が伴う。なんなら死に相当するらしい。
多分俺には関係ないんだがエリーを守りながらって結構辛いと思うんだよね。
まぁ行くならそこはなんとかするけれども。


「という感じで5ヶ国がこの世界の国になります。」


「その中でレベッカさんが行ったことある国ってどこになるのかな?」


「そうですね。全てですかね。」


「マジか」


「マジです。」


「ゲヘナにも行ったことあるってことだよね?」


「行ったことがあると言われればそうですね。
ただ私の場合行ったとしても遠征っという名目でなりますが。」


「あぁなるほど。任務でなんですね。」


「はいそうなります。」


「なるほど。とりあえず聞いたところによると近場に国があるのはアミスコーリアットだけになるんですね。」


「はい。」


「まずは近場からせめた方がいいかもなんだけどなんだろう。ここはあえて違う国に行ってみたいんだよなぁ。
レベッカさんのオススメはどこになりますか?あ、アミスコーリアット以外で。」


「そうですね。旅をするだけというならば、西のマフォールなんかはどうでしょうか。
あそこは男性が好きそうな浪漫と言えるようなものもあれば、
街並みも大分綺麗ですよ。夜景を楽しみながらのお酒も悪くない所です。」


「なるほど。レベッカさんが行きたいということは分かりました。
じゃあそこにしましょう。」


「い、いえ私が行きたいのはそうですが...」


あ、レベッカが俯いてしまった。一瞬頬を赤らめていた気がしたけど。まぁいいか。


「じゃあ明後日は西に旅をしましょう。エリーもそれでいいかな?」


「いいわよ。」


「それでは私は一度宮廷に戻ります。ご緩りとお休みなさっていて下さい。」


「わかりました。それではお願いいします。」


「はい。」


そういうとレベッカは部屋から出た。
そしてレベッカが2日後に戻ってくる間、俺とエリーは一日中ゴロゴロしていた。
魔物狩りでもしてろって?いやいや、この前ほぼ壊滅させてやることないんだって。
なのでイチャイチャしてまーす。
そして戻ってくる2日後。レベッカにイチャイチャを見られて殺され掛けたのはいい思い出。
まぁ今後もこのイチャイチャはなくならないと思うのでレベッカにも慣れて頂かないと困るのだ。


そして2日後の今日。俺たちは西に向けて旅に出る。





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