話題のラノベや投稿小説を無料で読むならノベルバ

不幸でも異世界チーレム!

千歳

■第8話 ゴブリンの襲撃



マサキとエリー。
二人は森の奥でただ只管にただずんでいた。


マサキは自分のスキルの本来の使い方を知り、困惑している。
エリーは現状の把握が出来ないでいた。
ただ只管に...
魔物が現れるまでは。






今いる森の奥はゴブリンの巣の近く。






そう。ゴブリンの巣の近くなのだ。






当然の如く現れる魔物。ゴブリン。






その数、辺り一面の木々以外が埋め尽くされる程の数。








そこで気付く。2人は囲まれているのだと...


「マサキ!!マサキったら!!呆けてる場合じゃないわよっ!!!囲まれてるんだってば!!!」


「はっ!俺はなにを......って...この状況やばくね?...」


「どうすんのよこれ!!逃げ道なんてないじゃない!!なんでこうなったのよ!!!」


「本当に逃げ道がねぇな...これ1体1体にスキルなんて使ってられねぇぞ......
よしここで死ぬんだったら試してみるのもいいだろう!」


「なに!?なにするの!!手立てがあるの!?!?」


「あぁこうするんだよ。」


即座にエリーの隣へ駆け寄る。


マサキは右手を翳す。


エリーを中心に360度見渡す。
標的を"視界"で捉える為に。
彼女を...助ける為に。生きる為に。


「"ステータス吸収!!!スキル吸収!!!"」


ゴブリン達の動きがスローになっていく。
否。実際には歩く速度以下まで減少しているだけに過ぎない。
マサキはぶっつけ本番。土壇場で複数同時吸収という技術を会得したのだ。


そして一言。マサキは念じる。


「"【ブレス】"」


一瞬の内に翳している右手から半透明の青い炎がゆっくりと噴き出てくる。
右手から出る青い炎が赤い炎へと変わり前方へ噴出する。
そして"視界"の標的をことごとく消滅させていく。
ゴブリン群の中でも一際大きな魔物は体積が多い為残っていた。死骸のみの意思の無い塊が。


数分後、"視界"に残されたのは、高々と育った木々と、大きな死骸と、大量の炭の山。
まさに地獄絵図と化していた。
血の臭いはなく、プラスチックを燃やした時の臭いだけが漂っている。
鼻が馬鹿になるが、麻痺しているのか徐々に慣れていく。
戦闘において必須の習得技術の1つかもしれない。


段々と頭が冴えてくる。冷静になってきているのかもしれない。
早々にこの場から脱したいのは山々だが、今回の目的はお金なのだ。
なにか運ばない限りはお金はもらえない。
だがこの量だ。運ぶのにも限度というものがある。


ドラゴン退治後見たステータスの欄にこの世界では見慣れないボタンを見つけた。
現世では慣れ親しんでいるようなボタンにだ。
恐る恐る調べてみる。
出てきたのはメニュー欄。
そこには「インベントリ」、「地図」、「譲渡」の文字が表示されていた。


「インベントリ?インベントリってあのインベントリか?」


マサキの知識だけで言ったら、紛れもなく現世のゲームなどでよく使われているもの。
所謂"収納場所"だ。


ポチッ


ボタンを押してみると突如目の前には黒い靄がかかった30cm幅の円形の穴が出てきた。
試しに地面に落ちている小石を入れてみる。
すると石は消えていた。
ちゃんと収納されている証拠だ。


ひとまずここを脱したいマサキは片っ端から魔物を「インベントリ」に収納していった。
エリーもそれを見て驚いてはいたが、同じ気持ちなのだろう。なにも聞かずすぐに手伝ってくれた。


数分、魔物の死骸を手に取って「インベントリ」に収納する二人。
さすがにこの数を収納するには一苦労である。
この「インベントリ」は数あるゲームや小説、アニメなどではお決まりなものなので
もしかしたらと思い、試した。


"視界"に入る魔物の死骸。
それを見渡し念じる。


「"収納"」


出来てしまった。大量にあった魔物の死骸。塵1つ消えていたのだ。
やってみるもんだなぁとマサキは関心していた。
やはりこの世界を作った創造主はその類を好んでいるのではないだろうかと、
疑問に思ってしまう。


「"絶対知ってるだろ。
というか神様が与えた能力だもんな。
なにかはあるはずだと考えた方がいいよな。"」


―――よく神とは語ったもんですねぇ。...っは!またわたしは...―――


「"またなんか聞こえたぞ...とりあえずは無視しておくか..."」










◆◆◆












「こ、こ、こ、これは!!!これって!!!」


冒険者ギルドにやってきた。


森での一連の後、陽は既に落ちていた。
なので、早々に換金してもらうためにも直行したのだ。
そしてなんか受付カウンターの女性が騒いでいる。
嫌な予感しかしない。まぁドラゴン狩っちゃったからね...こうなるよね...


「このゴブリン!!!このゴブリンですよ!!
この魔物。正式名称はキング・ゴブリン!
S級指定依頼で討伐対象として依頼板に張り出されているやつですよ!!!
どこでこれを!?!?」


「"え?今この人なんていった?S級?討伐対象?
おっとぉ...これは予想の斜め上だぞぉ...
ちょっとデカイなぁーくらいにしか思ってなかったのに...."」


「えっとですねぇ...そこのドラゴンを倒したらですねぇ...ゴブリン群に囲まれましてぇ...
それからはあ~んなことやこ~んなことがあったんですよぉ...はい。」


「あ~んなことやこ~んなこと。じゃあわかりませんよ!!!
詳しく説明して頂きます!!今からギルドマスターをお呼び致しますので少々お待ち下さい!!」


「"いやぁ話しても信用してくれないと思うんだけど...どうしようかな..."」


エリーを見る。


「"あ~だめだ~この子、なに?って顔してるよ~...参ったなぁ~..."」


2階の階段からあと1段で降りれるというところでこける受付嬢。


「"あ、パンツ見えた。水色かぁ~しかもなんかエロい。"」


その後ろからは大男が降りてきた。
ドジっ子を見るその目は凝視していた。


「"うん。そうだよね。男だもんね。そりゃそうもなるよね。うんうん。
いやいや納得している場合じゃないって。"」


「キミがあの転がってる女性が言ってた冒険者かい?
見るからに"あれ"を倒したヤツには見えねぇんだよなぁ。
それに倒したとしてどういうやり方だ?
あれはレイドパーティでようやく死人が2人で済むかも知れねぇヤツなんだぞ。」


「それは私から話そう。」


「エリー?!」


「私は、箱庭の宮廷アミスコーリアット、第一皇女、アミスコーリアット・エリー・ブライトと言う。
なにぶん訳あって身分を隠していた。この者は私のお抱え騎士なのだ。最近になって配属されたのだ。
皆が知らないのは無理はない。昨日やっと合流したばかりなのだから。
私が王族だという証が欲しいなら宿屋のマクベルとキャムレットに聞くが良い。
なんなら皇帝に聞くってのもありだが?」


「姫様!この場でそのような行いは...」


「良いのだ。大衆の面前で話さなければ私の騎士が疑われてしまうのでな。仕方の無いことだ。」


「ですが......わ、わかりました。ギルドマスターの私はあなたの正体も元から存じております故、
今回はお嬢様の言葉を信じましょう。あの"最強の剣士が召還した王家"なのですから。」


「恩に着る。」


「エリー...これはどういう...」


「気にするな。マサキはそのままでいてくれればいいのだ。」


「わ、わかった。」


「"なんかすごくやりずらい...口調も変わってるし...何が何だか..."」




そんなこんながあり、結局エリーが最後まで話を通してくれた。
先程のキング・ゴブリンといい、ドラゴンといい、
S級指定討伐の魔物とA級指定討伐の魔物を含む多くの魔物を換金したおかげで、
かなりの大金が懐に入ってきた。白金貨にして200枚。
白金貨は1枚あるだけで2~3年は悠々自適な生活が過ごせるそうだ。


話していなかったが、この世界では共通通貨が扱われている。
銅、銀、金、白金という順番で高価になっていく。
単位を計算すると、
10銅貨で1銀貨、
100銀貨1金貨、
1000金貨で1白金貨という事になる。
アミスコーリアットの出店で飲食する場合は、ほとんど2銀貨程度で済むらしい。
外れの町などは5銅貨で飲食は出来るらしいが、味などの保障はしないとのことだ。


エリーが言ってる悠々自適というのは本当らしい。
それでなくても、家を買うとなると白金貨10枚で済むらしい。
S級討伐というのはそれほどに価値があるものなのだ。










◆◆◆








やっとこさ「宿屋」に戻ってきた。
俺はエリーに感謝の言葉と、これからの事を話す。


「エリー本当にありがとう。俺のスキルの話しはエリー以外信じてくれる人はいないと思う。
このスキルを知られてしまったら、利用してくるやつらや、
あるいは暗殺なんかもありえるかもしれない。本当にありがとう。」


「いいのよ。私が好きでやったことなんだし。
それにマサキには何度も助けられてるからね。
そのお礼ってことにしといてくれるとわたしも嬉しいかな。」


「あぁわかったよ。
それでなんだけど、今後のことを話しておこうと思う。
俺は今後、準備が終わり次第この町を出て旅に出ようと思う。」


「わ、わたしは?置いていかれちゃうの?」


「違う。そうじゃない。エリー、キミには俺と一緒に旅に出て欲しいんだ。
でもキミには家族や家柄がある。強制はしない。ただ俺が一緒にいたいんだ。
ついてきれくれるかい?」


「家柄は大丈夫。だってもう冒険者になるって言ったし!
旅に出てるのと一緒よ!だから私も一緒に行く!
ダメって言っても強引にでもついて行くんだから!!」


「エリー...ありがとう...でもね、もうひとつあるんだ。」


「なに?」


「旅に出ながら、パーティメンバーを見つけようと思うんだ。
俺が信用できる人、エリーを一緒に大切にできる人を。
もちろん男なんて入れないよ。エリーが獲られちゃうよ。」


「え、それって要は女性ってことよね...うんいいよ。」


「え!?いいの?!」


「いいよ。...っと言っても本当は嫌だけど、でも、
マサキがモテるのは私にとっても嬉しいことだから。
それにこの世界は重婚なんて当たり前よ?
そんな弱った精神じゃやっていけないわぁ!」


「エリー。ありがとう。
最初に出会った女性が、キミで良かったよ。
よし!明日からは準備に取り掛かろう!
...っとその前に。まずはお風呂いこっか。」


「うん!」






エリーと俺は一緒に風呂に入った。
やはり告白じみた事を言った後なのか少し緊張していた。
そんな俺を見かねたエリーは、
心も身体もエリー自らほぐしてくれた。気持ちよかった。
どこってそりゃぁねぇ。分かってるくせに。


その後ベットでは、お互いの愛を確かめるかのように、
ねっとりとした時間を過ごした。
因みに俺はこの世界に来てそうそうに童貞を卒業した。
そんな日の翌日だ。やはり興奮は抑えきれないというのが男の性というものなのだろうか。
いやはや、色々格好悪いところをエリーに見せてるが、
ベットの上でくらい格好いいところを見せたいよね。うんうん。




さてさて、明日はようやく色々な準備にとりかかれそうだ。
今日も疲れた身体を女体の山頂に頭を押し付けて寝る。
......なんか頭撫でられてる...恥ずかしい。

「不幸でも異世界チーレム!」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く