童貞力チート ~三十路童貞はチートを生かして異世界を謳歌する~

千歳

13話

「それでですねぇ。その事情と言うのが……」


このエリーの話を真面目に聞いてから30分は経っただろう。
要約するとこうだ。


ギルドで冒険者をやっていて、久々に腕の鳴りそうな依頼書が掲示板に張り出されたそうだ。
自分が依頼を完遂してくると豪語したら他の冒険者が無理だと言って来て喧嘩になった。
泣きながらギルドを出て行き森へと向かったエリーは数日後、歌いながら歩いてると崖から落ちてしまい、
その時に荷物を杖以外全部無くしてしまったとの事。


その時の依頼内容がこうらしい。




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依頼内容


調査依頼:オークの巣を調査せよ


最近、森に出没したオーク。
オークの森での発見は10数年ぶりになります。
もしかしたら巣を作っている可能性が高いです。
もし、その巣を見つけら報告。
後、壊滅の為別途依頼を出します。
もちろん出来るのであれば巣を壊滅しても良いです。
その時は追加報酬を出します。
女性は成るべくこの依頼を受けない様お願いします。


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との事だ。
なぜここまで覚えているのかと思うが、これでもかなり端折られているそうだ。
全然谷間の方が深そうな話だった。


「一つ質問してもいいか?」


「なに?」


「その『女性は成るべく依頼を受けない様』ってどういう事なんだ?」


「はぁ? え、いやマジで言ってる?」


エリーにそう質問すると、正樹が返ってくるだろう反応とは違った反応が返ってきたので驚く。


「お、おうマジだ。え? あれ? ダメな質問だった?」


「いやまぁいいんだけど……見たところ変な格好だし、もしかして田舎から出てきたの?」


なんでそんな質問をするのかは分からない、が、一応別に答えちゃいけないわけではないので返しておく。


「あぁそ、そうだな。かなり遠くだ。魔物とも遭遇した事もない」


「なるほどねぇ。そりゃあ分からないのも無理はないか」


とエリーから返ってくるなり説明を始める。


「オークっていうのはね。豚の顔した醜い魔物で、人の、それも女性を襲って繁殖行為を行うのよ。
しかもその繁殖行為で生まれてくるってのは必ずオーク。しかもオークってのは繁殖期ってのが年中無休らしいからね。捕まって孕まされた日にはもう絶対逃げられない。誰かに助けてもらうとか、かなり力がある女性じゃない限りね。しかもオークを生むのよ。精神なんかやられて当然。死んだ方がましだろうと思えるような表情。言動を起こして一日を過ごすのよ。
どう?聞いただけで怒りを通り越して怖気がくるでしょ?」


「う……うん……。でも待って。なんでそんなオークの巣があるような場所に自ら飛び込んで行こうとしたの? 見てからに弱そうなんだけど」


エリーからの説明を聞いてるに凄く違和感が起こる。
なにせエリーは女性だ。なのにそんな危ないとまで言われている場所に単独で突っ込むのはどうかしていると思ってもおかしくはない。と言うのが正樹の見解なのだがエリーからの返答はそうではないらしい。


「あんたも私をバカにするの!?!? 私これでも強いんだからね!!!???
これでもDランク冒険者よ!?」


エリーは叫ぶ。
力の見極め方を叫ばれても俺にはDランク冒険者がどのくらいなのか全く検討つかないわけなのだが。
それは嘘をついてる方の『遠い田舎から来た神崎正樹』としてもそうなのだ。


「へぇ……まぁどのくらい強いのかは俺には分からんが」


「あぁ……そうだったわね……。まったく……調子狂うなぁ……。で? 正樹はどうなのよ」


「どうって?」


「だ! か! ら!
なんでこんな森の近くにぽつんと立ってるのって言ってるの!」


「あぁいやそうだね……俺は遠い田舎から、もっと栄えているだろう場所に向かっていたんだ。
だから森を突っ切ってここまできた訳なんだけど。もちろんその時は魔物なんて遭遇してないよ?」


と嘘までついて一応ここを乗り切ろうと話をしたあと、エリーから嬉しい話が返ってくる。


「でしょうね。そんなに服が綺麗なのはおかしいわ。
まぁいいわ。助けてもらったし。町まで案内するわよ」


「本当かい!? ありがたい!!」


「ちょ! 近い近い!! 近いって!! これでも一応女の子なんだよ!?!?」


正樹は歓喜しすぎて、エリーの両手を両手で覆いながら胸の近くにもって行き、
顔まであと数cmだろうところまで近づいていた。大胆である。


「いやはやすまんすまん。もうどのくらい町に行ってないかと思うとね……」


「まぁその気持ちは分からんでもないけど……一応女の子扱いしてくれてもいいんじゃないかと思うんだよ」


「すまんすまん。気をつけるよ」


と、なんとまぁよそから見たら、赤の他人に言い寄っているやばい系主人公に見えるだろう場面があったりはするのだが、これからもこの主人公はまだまだやらかすのだ。色んな意味で。

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