最強魔法戦士は戦わない ~加藤優はチートな能力をもらったけど、できるだけ穏便に過ごしたいんだあ~
第288話【トレスとの友好条約1】
<<マサル視点>>
「マサル殿、よく参られた。
昨夜は有意義な話しを聞けて良かった。
妃や王女もマサル殿の奥方と御子と仲良くさせてもらっているみたいだな。」
「トレス王、こちらこそあのような歓待を頂きありがとうございました。」
「いや、大したことも出来てはおらぬが、心ばかりと言うことじゃ。
今日は、宰相のスタグネイトと軍務大臣のラングトスを同席させておる。
ふたりにもラスク星のことについて説明してやってもらえぬか。
その上で、今後の話しを詰めていきたいと思うのじゃがな。」
「トレス王、承知しました。スタグネイト殿、ラングトス殿、よろしくお願いいたします。」
「マサル様、王から友好条約を結びたいという意向を伺っております。
我が国としましても、故郷と言うべきラスク星との交流は、お互いの文化や生活水準を高めるうえでも非常に有効かと考えています。
しかしながら、我始祖シンゲン様が何故ラスク星を離れられたのかについて、我が国でも資料が残っておらず、まずそこを解消しないことには、深いお話しが出来ないのではないかと思っておりますが。」
「これ、スタグネイト。3000年も前のことだぞ、既にラスク星でもそのような資料は失われているであろう。
初めて会う国同士の交流としては考えられぬか?」
「我が国ではそれでも構いませんが、ラスク星の方にもし遺恨を持ち続けている者がいたとしたら、厄介なことになるやもしれません。」
宰相のスタグネイト殿は、少し神経質すぎるきらいがあるが、まあ宰相として実際の運営を任されているわけだから、国難になりそうなことは避けておきたいと思うのも道理ではある。
「スタグネイト殿、その件に関してはご心配なく。
実は昨夜、女神マリス様よりお告げがありまして、シンゲンさんが何故この星に移住したのか聞いております。」
「なんと、女神マリス様だと!
はるか古代に崇拝されていたというあのマリス様の事だろうか。」
「おそらく、そのマリス様ですね。シンゲンさんを地球から召喚したのもマリス様ですし。
もちろん私もですが。」
「やはりマリス様の存在は本当だったのか。
実はな、我が星ではマリス様を信仰する国とその存在を認めない国の間で小競り合いが続いておるのじゃ。
今のマサル殿の発言は、そこに一石を投じるものになるだろう。」
「では、マリス様のお告げをお話しします。」
「「「ごくっ!」」」
3人の息をのむ声が静寂に広がる。
「シンゲンさんが移住を決意されたのは、マリス様から巨大隕石の落下を予言されたからです。」
「「「なんと、巨大隕石と!」」」
「そうです。宇宙にはこの星やわたし達の星以外にもたくさんの星があります。
中には古く脆くなり、爆発してしまう星や、他の星と衝突して壊れてしまう星もたくさんあります。
それらの破片を隕石と呼びますが、それが星の軌道上に入り込み、その星の引力に引っ張られて落ちてくることがあるのです。」
皆の顔を見ていると真剣そのものだ。
俺は話しを続ける。
「3000年前、ラスク星にひとつの隕石が落ちることをマリス様はシンゲンさんに告げたそうです。
シンゲンさんは、地球にいる時にロケットの研究をしていたようで、ロケットを作成してラスク星を離れたということです。
シンゲンさんとしては、全人類を移住させたいところだったと思いますが、当時はラスク星の中でも意思疎通が難しかったそうで、やむを得ずシンゲンさんに賛同する一部の人達を連れてロケットを発射したそうです。
まあ、ロケットに乗せられる人員も少なかっただろうし、しようが無かった話ではないでしょうか。」
「それでマサル様、その後のラスク星はどうなったのでしょうか?」
ラングトス殿の急かせるような声が響く。
「ええ、隕石は予言通り落下しました。それにより、大規模な地震が発生し文明を含む多くのものが消滅しました。
また隕石の落下により舞い上がった土埃は大気を覆い、太陽光を防ぎます。地上の温度はマイナスまで下がり、海は凍り付き人が住むには過酷すぎる世界となったみたいです。
その状態は1年間続き、人類のほとんどは死滅しました。
今ラスク星に残っているのはその生き残りの子孫です。」
「なんと、それではシンゲン様の選択は間違いではなく、我々が生きているのも全てシンゲン様の英断のおかげだということか。」
トレス王の深いため息が聞こえる。
「そうですね。ちなみに10数年前にも隕石の落下の予言がありました。
その時は、ラスク星が一致してその対策にあたり、宇宙で隕石を破壊することで難を逃れました。
本当はシンゲンさんもそうしたかったと思います。我々地球に生まれたものは隕石が近づくと宇宙で破壊する意識が根付いていますので。
ただ、シンゲンさんの時は、世界がまだ統一されておらず混とんとしていたようなので、協力体制が取れなかったのでしょうね。
ちなみに、ラスク星では全世界の国々全てが加盟する国際連合という組織がありまして、わたしがその組織の総長として運営を任されております。
今回こちらに来るにあたって、国際連合の総意として全権委任を受けておりますのでご安心下さい。」
「では、マサル殿が我等にとってのシンゲン様のような存在として認知されていると?」
「そんな大層なものではありませんが、そう考えて頂いてもよろしいかと。」
「分かりました。それでは何の懸念もなく、友好条約についての話しを進めたいと思います。」
「マサル殿、よく参られた。
昨夜は有意義な話しを聞けて良かった。
妃や王女もマサル殿の奥方と御子と仲良くさせてもらっているみたいだな。」
「トレス王、こちらこそあのような歓待を頂きありがとうございました。」
「いや、大したことも出来てはおらぬが、心ばかりと言うことじゃ。
今日は、宰相のスタグネイトと軍務大臣のラングトスを同席させておる。
ふたりにもラスク星のことについて説明してやってもらえぬか。
その上で、今後の話しを詰めていきたいと思うのじゃがな。」
「トレス王、承知しました。スタグネイト殿、ラングトス殿、よろしくお願いいたします。」
「マサル様、王から友好条約を結びたいという意向を伺っております。
我が国としましても、故郷と言うべきラスク星との交流は、お互いの文化や生活水準を高めるうえでも非常に有効かと考えています。
しかしながら、我始祖シンゲン様が何故ラスク星を離れられたのかについて、我が国でも資料が残っておらず、まずそこを解消しないことには、深いお話しが出来ないのではないかと思っておりますが。」
「これ、スタグネイト。3000年も前のことだぞ、既にラスク星でもそのような資料は失われているであろう。
初めて会う国同士の交流としては考えられぬか?」
「我が国ではそれでも構いませんが、ラスク星の方にもし遺恨を持ち続けている者がいたとしたら、厄介なことになるやもしれません。」
宰相のスタグネイト殿は、少し神経質すぎるきらいがあるが、まあ宰相として実際の運営を任されているわけだから、国難になりそうなことは避けておきたいと思うのも道理ではある。
「スタグネイト殿、その件に関してはご心配なく。
実は昨夜、女神マリス様よりお告げがありまして、シンゲンさんが何故この星に移住したのか聞いております。」
「なんと、女神マリス様だと!
はるか古代に崇拝されていたというあのマリス様の事だろうか。」
「おそらく、そのマリス様ですね。シンゲンさんを地球から召喚したのもマリス様ですし。
もちろん私もですが。」
「やはりマリス様の存在は本当だったのか。
実はな、我が星ではマリス様を信仰する国とその存在を認めない国の間で小競り合いが続いておるのじゃ。
今のマサル殿の発言は、そこに一石を投じるものになるだろう。」
「では、マリス様のお告げをお話しします。」
「「「ごくっ!」」」
3人の息をのむ声が静寂に広がる。
「シンゲンさんが移住を決意されたのは、マリス様から巨大隕石の落下を予言されたからです。」
「「「なんと、巨大隕石と!」」」
「そうです。宇宙にはこの星やわたし達の星以外にもたくさんの星があります。
中には古く脆くなり、爆発してしまう星や、他の星と衝突して壊れてしまう星もたくさんあります。
それらの破片を隕石と呼びますが、それが星の軌道上に入り込み、その星の引力に引っ張られて落ちてくることがあるのです。」
皆の顔を見ていると真剣そのものだ。
俺は話しを続ける。
「3000年前、ラスク星にひとつの隕石が落ちることをマリス様はシンゲンさんに告げたそうです。
シンゲンさんは、地球にいる時にロケットの研究をしていたようで、ロケットを作成してラスク星を離れたということです。
シンゲンさんとしては、全人類を移住させたいところだったと思いますが、当時はラスク星の中でも意思疎通が難しかったそうで、やむを得ずシンゲンさんに賛同する一部の人達を連れてロケットを発射したそうです。
まあ、ロケットに乗せられる人員も少なかっただろうし、しようが無かった話ではないでしょうか。」
「それでマサル様、その後のラスク星はどうなったのでしょうか?」
ラングトス殿の急かせるような声が響く。
「ええ、隕石は予言通り落下しました。それにより、大規模な地震が発生し文明を含む多くのものが消滅しました。
また隕石の落下により舞い上がった土埃は大気を覆い、太陽光を防ぎます。地上の温度はマイナスまで下がり、海は凍り付き人が住むには過酷すぎる世界となったみたいです。
その状態は1年間続き、人類のほとんどは死滅しました。
今ラスク星に残っているのはその生き残りの子孫です。」
「なんと、それではシンゲン様の選択は間違いではなく、我々が生きているのも全てシンゲン様の英断のおかげだということか。」
トレス王の深いため息が聞こえる。
「そうですね。ちなみに10数年前にも隕石の落下の予言がありました。
その時は、ラスク星が一致してその対策にあたり、宇宙で隕石を破壊することで難を逃れました。
本当はシンゲンさんもそうしたかったと思います。我々地球に生まれたものは隕石が近づくと宇宙で破壊する意識が根付いていますので。
ただ、シンゲンさんの時は、世界がまだ統一されておらず混とんとしていたようなので、協力体制が取れなかったのでしょうね。
ちなみに、ラスク星では全世界の国々全てが加盟する国際連合という組織がありまして、わたしがその組織の総長として運営を任されております。
今回こちらに来るにあたって、国際連合の総意として全権委任を受けておりますのでご安心下さい。」
「では、マサル殿が我等にとってのシンゲン様のような存在として認知されていると?」
「そんな大層なものではありませんが、そう考えて頂いてもよろしいかと。」
「分かりました。それでは何の懸念もなく、友好条約についての話しを進めたいと思います。」
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