最強魔法戦士は戦わない ~加藤優はチートな能力をもらったけど、できるだけ穏便に過ごしたいんだあ~
第287話【シンゲンさんは何故移住したのか】
<<マサル視点>>
リズや子供達が早速サルベスタ王妃やアルベスタ王女と意気投合してしまい明日から観光に出かける約束をしていた。
俺は明日から親善大使として今後の友好関係について国王や官僚と詰めていくことになっている。
ネクター王達からは全権大使として委任されているので、少々気は重いが、まぁ、おかしなことにはならないようにしよう。
その日は王家主催の晩さん会に招かれた。
出された料理はそれほど高価な食材は使われていないようだが、どれも調理が凝っていて見た目に美しく、食欲をそそる。
これだけで、トレス王家の品格を感じたような気がする。
この星は、『シンゲン星』と呼んでいるらしい。ここに移住を決め生活基盤をきちんと作った、俺と同じ地球からの転移者シンゲンさんの名前を付けたという。
実はトレクシス王はシンゲンさんの直系の子孫で、この星にいる王族は全てシンゲンさんの血が多少なりとも交じっているらしい。
元々、シンゲンさんが何らかの事情でラスク星を諦め、他の星に移住したらしいのだが、その時に連れてきた人族や動植物がこの星で増えて生活しているとのこと。
シンゲンさんを初代王として、長男であったトレクシス王を筆頭に、シンゲンさんの息子達がそれぞれ国を興したことになっているそうだ。
シンゲンさんが何故ラスク星を諦めこの星を目指したのか、今となっては分からなくなっているらしい。
3000年の時を経た今もシンゲンさんが残した様々な知識を応用することでこの星は発展してきたのだ。
その夜、俺はマリス様を呼び出した。
「マサルさん、おひさ~~。元気してたぁ~。」
「マリス様、相変わらずお元気ですね。ところでちょっとお聞きしたいんですけど、マリス様シンゲンさんってご存知ですか?」
「シンゲンさん?」
「3000年程前に、地球から転移してきたみたいなんですけど。」
「3000…… あー思い出した。シンゲン君の事か!懐かしい名前よね。
どうもさあ、こっちに来ると時間軸がこの世界と一緒になっちゃうから、頭が混乱しちゃうんだよね。
それで、そのシンゲン君がどうしたの?」
「いま、シンゲンさん達が移住した星にいるんです。」
「あ、ほんとだ。違う星にいるんだね。気が付かなかった。」
「それでですね。マリス様からすれば気が付かないくらい近い距離かも知れないんですけど、わたし達にはすごく遠い距離なんですよね。
それで、何故シンゲンさんがこの星に移住しなければならなかったのかを知っていたら教えてもらおうと思って。」
「えーっと?シンゲン君が移住?なんで?…… あっ、ごめんわたし用事を思い出した。ごめんね!」
俺はすぐに結界をはる。女神の移動を阻止する特別製のやつ。
「いたっ!」
「マリス様逃がしませんよ。何か良くない心当たりがあるんですね。」
「もお、マサルさん、いつの間にこんな魔法を覚えたのよ!神を拘束するなんてどういうことよ。」
「別に拘束なんてしてませんよ。マリス様が動く方向に結界を張っただけですから。
それより、教えてください。」
「わかったわよ。マサルさん、10年ほど前に氷河期が来る可能性があったじゃない。」
「あー、分かった。3000年前にも王様ゲームで負けたんでしょう。」
「うーー、正解。あの時は王様ゲームじゃなかったんだけどね。あの時は確か…………」
「ゲームのことはどうでもいいです。つまり、氷河期が来るからシンゲンさん達は移住を選んだんですね。」
「そうなのよね。あの時は、まだマサルさんほどシンゲン君の影響力が強くなくって、落ちてくる隕石を食い止めるだけの協力を得られない状況だったのよ。
シンゲン君って、もともとロケットとか得意だったみたいで、家族や移住に賛同する者達だけをロケットに乗せて移住しちゃったの。」
「その後、どうなったのですか?」
「隕石はちゃんと落ちたわよ。それでね、予想通り氷河期が訪れたの。でもこの前のマサルさんの時と違ってもっと規模は小さかったから、1年くらいで終息したわ。
だから、マサルさんの時は大きくしなくちゃいけなかったのよね。
おっと、余計なことは言わないっと。
それでね、何の防ぐ手も打てなかったから、多くの人が飢えで亡くなったし、それまでの文明もその時に、ほとんど消滅してしまったの。」
「じゃあ、今ラスク星にいる人達はその時の生き残りの子孫ってことですか?」
「そうなの。」
「事情は分かりました。やはりマリス様の仕業だったんですね!!」
「そんな怒らないでよ。わたしだって勝つ時の方が多いのよ。あの時だって、わたしの苦手な野球拳じゃなかったら。」
「野球拳なんてやってるんですか! 神様なのに!」
「いいじゃない。皆んな暇なのよ。それじゃあ帰るわね。」
「あっ、マリス様。これお土産にでも。セラフにも食べさせてあげて下さいね。」
「マ~サルさん。やっさし―。ありがとう。セラフと一緒に戴くわね~。じゃあ。」
マリス様はクッキーを持って上機嫌で帰っていった。
さあ、事情をどう説明するかな?
          
リズや子供達が早速サルベスタ王妃やアルベスタ王女と意気投合してしまい明日から観光に出かける約束をしていた。
俺は明日から親善大使として今後の友好関係について国王や官僚と詰めていくことになっている。
ネクター王達からは全権大使として委任されているので、少々気は重いが、まぁ、おかしなことにはならないようにしよう。
その日は王家主催の晩さん会に招かれた。
出された料理はそれほど高価な食材は使われていないようだが、どれも調理が凝っていて見た目に美しく、食欲をそそる。
これだけで、トレス王家の品格を感じたような気がする。
この星は、『シンゲン星』と呼んでいるらしい。ここに移住を決め生活基盤をきちんと作った、俺と同じ地球からの転移者シンゲンさんの名前を付けたという。
実はトレクシス王はシンゲンさんの直系の子孫で、この星にいる王族は全てシンゲンさんの血が多少なりとも交じっているらしい。
元々、シンゲンさんが何らかの事情でラスク星を諦め、他の星に移住したらしいのだが、その時に連れてきた人族や動植物がこの星で増えて生活しているとのこと。
シンゲンさんを初代王として、長男であったトレクシス王を筆頭に、シンゲンさんの息子達がそれぞれ国を興したことになっているそうだ。
シンゲンさんが何故ラスク星を諦めこの星を目指したのか、今となっては分からなくなっているらしい。
3000年の時を経た今もシンゲンさんが残した様々な知識を応用することでこの星は発展してきたのだ。
その夜、俺はマリス様を呼び出した。
「マサルさん、おひさ~~。元気してたぁ~。」
「マリス様、相変わらずお元気ですね。ところでちょっとお聞きしたいんですけど、マリス様シンゲンさんってご存知ですか?」
「シンゲンさん?」
「3000年程前に、地球から転移してきたみたいなんですけど。」
「3000…… あー思い出した。シンゲン君の事か!懐かしい名前よね。
どうもさあ、こっちに来ると時間軸がこの世界と一緒になっちゃうから、頭が混乱しちゃうんだよね。
それで、そのシンゲン君がどうしたの?」
「いま、シンゲンさん達が移住した星にいるんです。」
「あ、ほんとだ。違う星にいるんだね。気が付かなかった。」
「それでですね。マリス様からすれば気が付かないくらい近い距離かも知れないんですけど、わたし達にはすごく遠い距離なんですよね。
それで、何故シンゲンさんがこの星に移住しなければならなかったのかを知っていたら教えてもらおうと思って。」
「えーっと?シンゲン君が移住?なんで?…… あっ、ごめんわたし用事を思い出した。ごめんね!」
俺はすぐに結界をはる。女神の移動を阻止する特別製のやつ。
「いたっ!」
「マリス様逃がしませんよ。何か良くない心当たりがあるんですね。」
「もお、マサルさん、いつの間にこんな魔法を覚えたのよ!神を拘束するなんてどういうことよ。」
「別に拘束なんてしてませんよ。マリス様が動く方向に結界を張っただけですから。
それより、教えてください。」
「わかったわよ。マサルさん、10年ほど前に氷河期が来る可能性があったじゃない。」
「あー、分かった。3000年前にも王様ゲームで負けたんでしょう。」
「うーー、正解。あの時は王様ゲームじゃなかったんだけどね。あの時は確か…………」
「ゲームのことはどうでもいいです。つまり、氷河期が来るからシンゲンさん達は移住を選んだんですね。」
「そうなのよね。あの時は、まだマサルさんほどシンゲン君の影響力が強くなくって、落ちてくる隕石を食い止めるだけの協力を得られない状況だったのよ。
シンゲン君って、もともとロケットとか得意だったみたいで、家族や移住に賛同する者達だけをロケットに乗せて移住しちゃったの。」
「その後、どうなったのですか?」
「隕石はちゃんと落ちたわよ。それでね、予想通り氷河期が訪れたの。でもこの前のマサルさんの時と違ってもっと規模は小さかったから、1年くらいで終息したわ。
だから、マサルさんの時は大きくしなくちゃいけなかったのよね。
おっと、余計なことは言わないっと。
それでね、何の防ぐ手も打てなかったから、多くの人が飢えで亡くなったし、それまでの文明もその時に、ほとんど消滅してしまったの。」
「じゃあ、今ラスク星にいる人達はその時の生き残りの子孫ってことですか?」
「そうなの。」
「事情は分かりました。やはりマリス様の仕業だったんですね!!」
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