最強魔法戦士は戦わない ~加藤優はチートな能力をもらったけど、できるだけ穏便に過ごしたいんだあ~
第273話 【砂漠の調査3】
<<マサル視点>>
タブレットに浮かぶ複雑な紋様。
地面に大半が消えている魔方陣の断片からタブレットに搭載されたAIシステムが元の紋様を予想してくれた。
文字は読めないが、AIシステムが解析した内容では、転移の紋様のようだ。
どうやら単なる場所の移転だけでなく、異世界との行き来をも可能にするみたいだ。
これが正常に動けば、異世界からの召喚や異世界へ戻ることも可能になるだろう。
俺の場合はあちらの世界で死んでしまっているので、戻ることは出来ないだろうけどね。
しかし、これがあれば、あちらの世界の様々な物を持って来ることが出来るので、この世界の発展を考えた場合、すごく魅力的だ。
………………………………
……………………
…………
いや、今はそんなことを考えている場合ではない。
問題は、誰がこの魔方陣を描いたのだかだ。
これほどの緻密な紋様を正確に描くには、かなり高度な技術を持つ者で無ければ無理だろう。
しかも砂漠の砂の上に描くとなれば、ほぼ瞬間的に描かないと紋様を維持させることが出来ない。
そうなると、紋様を一瞬で描ける魔法を持っている者、あるいはそれに類する魔道具が必要だ。
俺もこの世界に来て20年近く経ち、世界中の要人達と接してきた。
残念ながらこの世界では魔法技術は発達しておらず、これほどの精緻な魔方陣を構築できる者がこの世界には存在しないと断言できる。
となると、この魔方陣を描いたのは一体?
また、あの大量の魔物や魔獣はどこから来たのか?
この砂漠の真ん中にあれだけの魔物が大量発生することなどありえない。
この魔方陣を使って送り込まれてきたと考える方が妥当だ。
そうなると、このさばくのどこか、もしくは、そう遠くないところにこの魔方陣を描き、召還を行った者がいることになる。
これほどの魔方陣が描けるのであれば、あるいは魔獣を生み出す技術を持っていても不思議ではない。
とにかく、もう少し調査が必要だ。
日も暮れてきたことだし、今日の調査は切り上げて、皆んなのところへ戻ろうか。
<<ハヤル視点>>
砂漠の向こうの方に飛んで行ったマサル様が俺達のところに戻ってきたのは、日もだいぶ傾いてきた頃だった。
「すいません。ずいぶん待たせちゃいましたか?」
「いえ、全然問題ないです。それよりもずいぶんと長い間砂漠に居られたようですが?」
「ええ、魔物襲撃の糸口が見つかったものですから。明日から本格的に調査を始めようと思っています。」
「「「ええええええっ!!!」」」
「疲れましたねえ、今日は引き上げましょうか。」
マサル様って……
とにかく、俺はこのオアシス内にあるウチの別荘に皆さんを案内したのだ。
別荘には既に父上も来ており、歓迎の準備もほぼ終わっているようだ。
「マサル様、終日の視察お疲れでしたでしょう。お湯の準備もできておりますので、湯屋の方にご案内いたします。」
父上に案内されてマサル様は湯屋へと入っていった。
ウチの別荘にある湯屋には、オアシスの恵みである湧水が引かれており、炎の魔道具を用いて温められている。
そこから流れ出るお湯は、浄化の魔道具を通して浄化されオアシスの駅内にある共同浴場に流れ込むようになっている。
共同浴場はオアシスに住む民やオアシスを通過する者達の憩いの場として常に繁盛しており、その付近で商売する者達にオアシスの恵みを還元しているのだ。
「いやあ、いいお湯でした。水量が豊富で安心しました。
掘り出してから15年にもなりますかねえ、本当に涸れなくて良かったです。」
「マサル様、あの時は本当にお世話になりました。
当時はまだわたしの領地ではなかったのですが、オアシスの発展と共に治安や管理の面でわたしの領地として管轄することとなったのです。
マサル様に奇跡を与えて頂いた村をわたしがつぶすわけにはいきませんからなあ、このオアシスには特別の思い入れがあります。」
リビングでマサル様と父上の会話を聞いていて、父上が広い領地の中でもこのオアシスに力を入れているのかがよく分かった。
「そうそう、旧ハミル村の村長であったヤナセも、今は隠居してこの地のアドバイザーとして協力してくれています。
今日の晩餐にも参加させて頂くと申しておりました。」
「ヤナセ村長ですか。懐かしいですね。確かわたし達の新婚旅行で王都にお邪魔した時ぶりです。」
そんな会話が交わされているうちにヤナセさんが到着し、晩餐の準備も整い、和やかな雰囲気の中で晩餐会を迎えたのだった。
翌早朝、マサル様と騎士様達は、昨日マサル様が見つけられた魔方陣に向けて出立された。
わたしもご一緒させて頂くつもりだったのだが、父上から足手まといになるからと待機を命じられたのだ。
その代わり、父上に成り代わり今後のマサル様達の接待を一任されることとなった。
父上は執務の関係で長期間屋敷を空けるわけにもいかないため、領主としての接待を託されたわけだ。
『しっかりおもてなしを頑張ろう』と別荘の執事達に檄を飛ばしておいたのだった。
タブレットに浮かぶ複雑な紋様。
地面に大半が消えている魔方陣の断片からタブレットに搭載されたAIシステムが元の紋様を予想してくれた。
文字は読めないが、AIシステムが解析した内容では、転移の紋様のようだ。
どうやら単なる場所の移転だけでなく、異世界との行き来をも可能にするみたいだ。
これが正常に動けば、異世界からの召喚や異世界へ戻ることも可能になるだろう。
俺の場合はあちらの世界で死んでしまっているので、戻ることは出来ないだろうけどね。
しかし、これがあれば、あちらの世界の様々な物を持って来ることが出来るので、この世界の発展を考えた場合、すごく魅力的だ。
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…………
いや、今はそんなことを考えている場合ではない。
問題は、誰がこの魔方陣を描いたのだかだ。
これほどの緻密な紋様を正確に描くには、かなり高度な技術を持つ者で無ければ無理だろう。
しかも砂漠の砂の上に描くとなれば、ほぼ瞬間的に描かないと紋様を維持させることが出来ない。
そうなると、紋様を一瞬で描ける魔法を持っている者、あるいはそれに類する魔道具が必要だ。
俺もこの世界に来て20年近く経ち、世界中の要人達と接してきた。
残念ながらこの世界では魔法技術は発達しておらず、これほどの精緻な魔方陣を構築できる者がこの世界には存在しないと断言できる。
となると、この魔方陣を描いたのは一体?
また、あの大量の魔物や魔獣はどこから来たのか?
この砂漠の真ん中にあれだけの魔物が大量発生することなどありえない。
この魔方陣を使って送り込まれてきたと考える方が妥当だ。
そうなると、このさばくのどこか、もしくは、そう遠くないところにこの魔方陣を描き、召還を行った者がいることになる。
これほどの魔方陣が描けるのであれば、あるいは魔獣を生み出す技術を持っていても不思議ではない。
とにかく、もう少し調査が必要だ。
日も暮れてきたことだし、今日の調査は切り上げて、皆んなのところへ戻ろうか。
<<ハヤル視点>>
砂漠の向こうの方に飛んで行ったマサル様が俺達のところに戻ってきたのは、日もだいぶ傾いてきた頃だった。
「すいません。ずいぶん待たせちゃいましたか?」
「いえ、全然問題ないです。それよりもずいぶんと長い間砂漠に居られたようですが?」
「ええ、魔物襲撃の糸口が見つかったものですから。明日から本格的に調査を始めようと思っています。」
「「「ええええええっ!!!」」」
「疲れましたねえ、今日は引き上げましょうか。」
マサル様って……
とにかく、俺はこのオアシス内にあるウチの別荘に皆さんを案内したのだ。
別荘には既に父上も来ており、歓迎の準備もほぼ終わっているようだ。
「マサル様、終日の視察お疲れでしたでしょう。お湯の準備もできておりますので、湯屋の方にご案内いたします。」
父上に案内されてマサル様は湯屋へと入っていった。
ウチの別荘にある湯屋には、オアシスの恵みである湧水が引かれており、炎の魔道具を用いて温められている。
そこから流れ出るお湯は、浄化の魔道具を通して浄化されオアシスの駅内にある共同浴場に流れ込むようになっている。
共同浴場はオアシスに住む民やオアシスを通過する者達の憩いの場として常に繁盛しており、その付近で商売する者達にオアシスの恵みを還元しているのだ。
「いやあ、いいお湯でした。水量が豊富で安心しました。
掘り出してから15年にもなりますかねえ、本当に涸れなくて良かったです。」
「マサル様、あの時は本当にお世話になりました。
当時はまだわたしの領地ではなかったのですが、オアシスの発展と共に治安や管理の面でわたしの領地として管轄することとなったのです。
マサル様に奇跡を与えて頂いた村をわたしがつぶすわけにはいきませんからなあ、このオアシスには特別の思い入れがあります。」
リビングでマサル様と父上の会話を聞いていて、父上が広い領地の中でもこのオアシスに力を入れているのかがよく分かった。
「そうそう、旧ハミル村の村長であったヤナセも、今は隠居してこの地のアドバイザーとして協力してくれています。
今日の晩餐にも参加させて頂くと申しておりました。」
「ヤナセ村長ですか。懐かしいですね。確かわたし達の新婚旅行で王都にお邪魔した時ぶりです。」
そんな会話が交わされているうちにヤナセさんが到着し、晩餐の準備も整い、和やかな雰囲気の中で晩餐会を迎えたのだった。
翌早朝、マサル様と騎士様達は、昨日マサル様が見つけられた魔方陣に向けて出立された。
わたしもご一緒させて頂くつもりだったのだが、父上から足手まといになるからと待機を命じられたのだ。
その代わり、父上に成り代わり今後のマサル様達の接待を一任されることとなった。
父上は執務の関係で長期間屋敷を空けるわけにもいかないため、領主としての接待を託されたわけだ。
『しっかりおもてなしを頑張ろう』と別荘の執事達に檄を飛ばしておいたのだった。
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