最強魔法戦士は戦わない ~加藤優はチートな能力をもらったけど、できるだけ穏便に過ごしたいんだあ~
第263話 【ヤシムの魔力の正体】
<<イリヤ視点>>
シルビア先生達とヤシム君の家に着きました。
だいぶ薄くはなっていますが、シルビア先生のおっしゃる通り、魔力の匂いがします。
ヤシム君に近寄ると、その匂いはより濃くなって来ました。
「ヤシム、具合はどう?」
サキヤちゃんが心配そうに尋ねます。
「大丈夫。あと少ししたら動けると思う。」
「ヤシム君、君の身体から大量の魔力が溢れ出しているんだが、何かあったのかい?」
シルビア先生の問い掛けに、ヤシム君は首を横に振っています。
「シルビア先生、心当たりが無さそうですね。
ヤシム君、森の中で何か食べたとか?」
「スロウの実を食べたくらいかなあ。
そうだ、スロウの木の横に初めて見る木があって、その実も食べたっけ。
酸っぱいけど美味しかったなぁ。」
「「「それだ(よ)!」」」
「ヤシム君、君の身体からは魔力が溢れ出していて、それが上手く制御出来ていないから、身体が辛いんだ。
今から制御の仕方を教えるから、よく覚えるんだよ。」
「分かりました。」
「じゃあ、まず身体から何かが出ている感じはするかい。」
「なんとなくだけど。」
「そうかい。じゃあ、それが身体の中で動いているのは分かるかい。」
「なんとなく、身体の奥からぐるぐる回っているみたい。」
「それが魔力さ。
息を大きく吸って、止めて、吐いて、を繰り返してごらん。初めはゆっくりでいいからね。
...... .... .. .
どうだい、流れが収まってきたんじゃないかい?」
「うん、なんかそんな気がする。」
たしかに漏れてくる魔力の匂いも薄くなってきたような気がします。
「ヤシム君、これが魔力制御だ。
これをしっかり訓練しておけば、息をするように自然に魔力制御ができるようになるぞ。」
「なんだか身体が楽になったみたいだ。」
「ちょちょっとヤシム! あんたまだ病み上がりなんだからね!」
ヤシム君はベッドから降りて走り回っています。
体力もだいぶ復活したみたいで、取り敢えずは、ひと段落というところでしょうか。
「さてと、こっからが本題だねぇ。
こら、ヤシム君!
いつまで走り回ってるのだ!
聞きたいことがあるから、ここに来て座るんだ。
君が食べたという実はどんなもので、どこにあったのだ?」
「紫色で拳大の大きさだったと思う。
泉の西側のほとりで見つけたんだ。
僕の背丈ほどの木に1つだけ実っていたんだよ。」
「とりあえず、そこに行ってみようか。」
いつの間にか後ろにお父様が来ていました。
「ヤシム君、案内頼めるかい?」
「行けます。」
「じゃあ、行こう。シルビア先生はどうされます?」
「もちろん、ご一緒させて下さい。なあ、イリヤ。」
わたしももちろん行きますよ。
こうして、この前まで行った泉までは転移魔方陣で、そこからはヤシム君の案内で現場に向かいました。
「ここだよ。ほらこの木に実が実っていたんだ。」
お父様がヤシム君の指さす木を確認しています。
今は実を実らせていませんが、木からは微量な魔力が溢れています。
「どうやら、この下の土に問題がありそうだね。」
土をいじりながらお父様がそういいます。
「この木は他の木に比べて根っこが深くまで生えていて、地下深くで長く広がっているんだ。
たぶん地下の深いところに魔力の発生源があって、この木がそれを吸い上げて実に蓄積させていたんだろうね。
ちょっと深いところまで掘ってみよう。」
お父様がその木から少し離れた場所で地面の数センチ上に手を当てて、魔力を流します。
すると、手に地面が吸い付くように持ち上がってきました。
そのままお父様は地面を持ち上げるように立ち上がり、その手を大きく後ろに振りました。
手の動きに従って、持ち上げられた土はどんどん後ろに流れていきます。
やがて手の平を中心として直径3メートルくらい大きな穴が深く空き、そこから大量の魔力臭がしてきました。
「うん、思った通りだ。下にドラム缶があるみたいだ。
ちょっと引き上げてみよう。」
「「「?????」」」
お父様が重力魔法でそのドラム缶?を引き上げます。
やがて、高さ1メートルほどの円柱状の物が姿を見せました。
「ほら、これがドラム缶っていうものなんだ。
ここを見てごらん。この腐って穴が開いているところから強い魔力臭がするだろう。
これが魔素なんだ。つまりこのドラム缶から漏れ出した魔素に似た物質がこの木の根から吸収されてヤシム君が食べた実に濃縮されてしまっていたんだと思う。
量をあまり食べなかったから、魔素に似た物質に侵されても魔獣化しなかったけれど、危ないところだったかも知れない。」
お父様はそのドラム缶を結界魔法で封じ込めて魔素の漏れを封印しました。
「これは、お父さんが責任を持って封印しておくよ。それ『浄化』!」
辺り一面に漂っていた魔素は浄化魔法で消えてしまいました。
「さて、とりあえずはOKだね。ここを埋めたら一旦帰ろうか。
詳しい話しは、帰ってからするよ。」
サヤマ村に戻った私達は、村長に『原因となるものは取り除いたのでもう大丈夫』とだけ説明して、自宅に戻りました。
          
シルビア先生達とヤシム君の家に着きました。
だいぶ薄くはなっていますが、シルビア先生のおっしゃる通り、魔力の匂いがします。
ヤシム君に近寄ると、その匂いはより濃くなって来ました。
「ヤシム、具合はどう?」
サキヤちゃんが心配そうに尋ねます。
「大丈夫。あと少ししたら動けると思う。」
「ヤシム君、君の身体から大量の魔力が溢れ出しているんだが、何かあったのかい?」
シルビア先生の問い掛けに、ヤシム君は首を横に振っています。
「シルビア先生、心当たりが無さそうですね。
ヤシム君、森の中で何か食べたとか?」
「スロウの実を食べたくらいかなあ。
そうだ、スロウの木の横に初めて見る木があって、その実も食べたっけ。
酸っぱいけど美味しかったなぁ。」
「「「それだ(よ)!」」」
「ヤシム君、君の身体からは魔力が溢れ出していて、それが上手く制御出来ていないから、身体が辛いんだ。
今から制御の仕方を教えるから、よく覚えるんだよ。」
「分かりました。」
「じゃあ、まず身体から何かが出ている感じはするかい。」
「なんとなくだけど。」
「そうかい。じゃあ、それが身体の中で動いているのは分かるかい。」
「なんとなく、身体の奥からぐるぐる回っているみたい。」
「それが魔力さ。
息を大きく吸って、止めて、吐いて、を繰り返してごらん。初めはゆっくりでいいからね。
...... .... .. .
どうだい、流れが収まってきたんじゃないかい?」
「うん、なんかそんな気がする。」
たしかに漏れてくる魔力の匂いも薄くなってきたような気がします。
「ヤシム君、これが魔力制御だ。
これをしっかり訓練しておけば、息をするように自然に魔力制御ができるようになるぞ。」
「なんだか身体が楽になったみたいだ。」
「ちょちょっとヤシム! あんたまだ病み上がりなんだからね!」
ヤシム君はベッドから降りて走り回っています。
体力もだいぶ復活したみたいで、取り敢えずは、ひと段落というところでしょうか。
「さてと、こっからが本題だねぇ。
こら、ヤシム君!
いつまで走り回ってるのだ!
聞きたいことがあるから、ここに来て座るんだ。
君が食べたという実はどんなもので、どこにあったのだ?」
「紫色で拳大の大きさだったと思う。
泉の西側のほとりで見つけたんだ。
僕の背丈ほどの木に1つだけ実っていたんだよ。」
「とりあえず、そこに行ってみようか。」
いつの間にか後ろにお父様が来ていました。
「ヤシム君、案内頼めるかい?」
「行けます。」
「じゃあ、行こう。シルビア先生はどうされます?」
「もちろん、ご一緒させて下さい。なあ、イリヤ。」
わたしももちろん行きますよ。
こうして、この前まで行った泉までは転移魔方陣で、そこからはヤシム君の案内で現場に向かいました。
「ここだよ。ほらこの木に実が実っていたんだ。」
お父様がヤシム君の指さす木を確認しています。
今は実を実らせていませんが、木からは微量な魔力が溢れています。
「どうやら、この下の土に問題がありそうだね。」
土をいじりながらお父様がそういいます。
「この木は他の木に比べて根っこが深くまで生えていて、地下深くで長く広がっているんだ。
たぶん地下の深いところに魔力の発生源があって、この木がそれを吸い上げて実に蓄積させていたんだろうね。
ちょっと深いところまで掘ってみよう。」
お父様がその木から少し離れた場所で地面の数センチ上に手を当てて、魔力を流します。
すると、手に地面が吸い付くように持ち上がってきました。
そのままお父様は地面を持ち上げるように立ち上がり、その手を大きく後ろに振りました。
手の動きに従って、持ち上げられた土はどんどん後ろに流れていきます。
やがて手の平を中心として直径3メートルくらい大きな穴が深く空き、そこから大量の魔力臭がしてきました。
「うん、思った通りだ。下にドラム缶があるみたいだ。
ちょっと引き上げてみよう。」
「「「?????」」」
お父様が重力魔法でそのドラム缶?を引き上げます。
やがて、高さ1メートルほどの円柱状の物が姿を見せました。
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これが魔素なんだ。つまりこのドラム缶から漏れ出した魔素に似た物質がこの木の根から吸収されてヤシム君が食べた実に濃縮されてしまっていたんだと思う。
量をあまり食べなかったから、魔素に似た物質に侵されても魔獣化しなかったけれど、危ないところだったかも知れない。」
お父様はそのドラム缶を結界魔法で封じ込めて魔素の漏れを封印しました。
「これは、お父さんが責任を持って封印しておくよ。それ『浄化』!」
辺り一面に漂っていた魔素は浄化魔法で消えてしまいました。
「さて、とりあえずはOKだね。ここを埋めたら一旦帰ろうか。
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